表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大学生探偵・東雲倫吾のパズル帳  作者: 黒川 結
第1章 「大学生探偵の日常」
16/67

07 =消えた活動費= *解答編

「……わ、私?」

 俺が指さすと、大宮さんは怪訝そうな顔になった。そして、ふっと息を吐きだして怒らせた肩を降ろす。

「……確かに、10分あれば、なんて論理的じゃない言いがかりだったわね。ごめんなさい。

 でもそれだけよ。暴言については謝るけど、私、嘘はついてないわ」

 大宮さんはきっぱりと言い切った。平然と嘘がつけるその胆力はすげえと思う。

 だが問題はそこじゃない。俺は首を振った。

「そうじゃなくて……あんたの主張は、“活動費を入れた封筒と同じ柄の封筒を持ってるから怪しい”だったよな?」

「そうよ。何かおかしい? 言っておくけど、高橋の鞄に封筒が入ってるのを知っているのは、荷物検査の時に見ただけだから」

「いや、それでもおかしいよ。昼頃に新しくした封筒の柄を、なんであんたが知ってるんだ?」

 大宮さんの顔がさっと強張り、残りの二人が息を呑んで大宮さんの顔を見る。

「もし高橋さんが封筒を盗んだとしたら、活動費を入れた封筒の柄を大宮さんが知っているのはおかしい。見る機会がないんだから。

 倉野さんだったとしても、やっぱり大宮さんが封筒を見る必要性はないだろうから封筒の柄を知ってるのはおかしい」

 俺がそう言うと、大宮さんは少し顔を強張らせながらも、毅然とした態度でさらに言葉を続けた。

「……疑われると思ったから言わなかったけど、実は金庫を見たの。予算がいくら残ってるのか気になって。

 普段の様子で高橋だと思い込んでたけど、それなら倉野さんが犯人ってことになるのね」

「そ、そんな! ……わたし、何もしてないです!」

 俺はその叫びには答えず、横目で会長を見て質問を投げた。

「監視カメラの映像、倉野さんの出入りはどうなってます?」

「倉野さんが入ってから大宮さんが出てきて……次に長塚が入るまで誰の出入りもないね。

 そのあとは大宮さんや高橋さんが入ってきてる。一人で出てきた人はいないよ」

 会長は俺の意を汲んだ回答をくれた。俺は頷きを返す。

「つまり、もし倉野さんが犯人だと仮定すると、封筒を処分するタイミングがないんだ。部屋から封筒が見つからないのはおかしい」

 ついに大宮さんは黙り込み、白い顔でわなわなと口元を震わせていたが、やがてゆっくりと項垂れた。

「……じゃ、あとはそっちで話付けてもらえるかな?」

 会長がそう言って促すと、3人は呆けた様子で部屋を出て行ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ