DECADE
マリアとコウレイは解放され、エンに連れられ食事をしていた。
エン「本当に久しぶりだね。8年間も会ってないとなんだか感動だよ」
コウレイ「あぁ、よく生きてたな!また会えて嬉しいよ。ケンとトウカについては知ってるか?」
マリア「むしゃむしゃ」
エン「2人とも無事だよ。てか、知らなかったんだね」
エンはコーヒーを飲みながらそういった。
コウレイ「あ、当たり前だろ!そうか、無事だったのか...よかった。」
エン「ふははははっ。なんで知らないの?そんなことも知れわたらないほど田舎に流れ着いたのかっ。ふははははは」
コウレイ「昔からそのうざい笑い方は変わらないな!で、二人はどうしてるんだ?」
エン「ケンはすごいよ。この国の王に近い存在になった」
コウレイ「こ、この国の王!?」
マリア「もぐもぐ。ケン様のことも知らないのか君は。てかケン様と知り合いなの!?」
コウレイ「知るわけないだろ!逆になんで知ってるんだよ!」
マリア「ケン様は15歳の若さでこの国の首都を鬼から取り返して平和な国を作り上げている。これ、常識」
エン「ふははっ、まぁ常識だね。詳しく言うと彼は13歳で王器を見つけて使いこなした。王器には何か邪悪なものが宿っているからよく飲まれないで使いこなせたなって思ったよ」
コウレイ「邪悪なもの?」
マリア「これおいしいなー!なんて果物だろう」
コウレイ「お前さっきから果物しか食べてねぇじゃねぇか!」
エン「コウちゃんもさっきから桃しか食べてないけどね。それでね、王器はどうやら過去の王たちが封印されているらしい。僕の剣がそう教えてくれた」
コウレイ「その剣話すの!?」
エン「いや、話すってわけではないけど、心の中で囁くんだ。それで、さっき言った邪悪なものってのは神ではなく神が堕天した悪魔が封印された剣の事だよ。ケンの剣には悪魔が宿っているらしい」
コウレイ「まじかよ...じゃあ乗っ取られたら終わりじゃねぇか!」
エン「うん。コウちゃんは大丈夫なのかい?」
コウレイ「何が?」
エン「だってコウちゃんの刀って...」
マリア「ゲフッ。失礼」
ボカッ
マリア「いったぁー!なにするのよももちゃん!」
コウレイ「お前女のくせに汚いんだよ!」
エン「ふはははは、2人は仲良しだね。それにももちゃんて、桃が好きだからももちゃんなんでしょ?センスいいねマリアちゃん」
マリア「でしょでしょー!センスいいのだ!このセンスはもしかしたら神王から授かったものかもしれないね!」
エン「ふはは、そうだね〜。神王かー、どんな人なんだろう。会ってみたいな」
コウレイ「なんだその、しんおうってのは」
エン「本当に何も知らないんだね。神王は神の力を持った人だよ。ある人は神が地球に舞い降りてきたっていったり、またある人は悪魔って呼んでるけどね」
コウレイ「悪魔?なんでだ?」
エン「うん。それは人間に神の力を分け与えたからだよ。さっき王器には過去の王が封印されてるっていったよね。封印された理由は力を得た王7人のうち3人が悪の力として使ったからだよ。力を利用して鬼を倒さず、その力に溺れて人々を無差別に切り裂いたり、鬼と同盟を組んで人々を危険に脅かしたり」
コウレイ「でも平和のために使っていた奴らはなんで封印されたんだ?」
マリア「それはー、あれでしょ。自分の力に喰われてしまうかもしれないからでしょ」
エン「そうだね。自分の力が大きくなりすぎるとその分負担も大きくなるんだ。だから武器として使われた方がいいと判断したんだろうね。いまある王器のうち神の力を持つのは4つ、悪の力は3つということになるね」
コウレイ「お前のはどうなんだ?」
エン「僕のはもちろん神の力だよ。でもケンの王器は僕が思うに悪の力が宿ってると思うんだ」
コウレイ「なんでそんなことわかるんだ?」
エン「僕とケンは最初ある島に流れ着いたんだ。そこでケンは王器を見つけ、僕は修行に付き合ってた。6年くらい前の話だけどね。そうだ、僕がどうやって王器を見つけてどうやって猿達をまとめたか話すよ」
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あれは僕らがまだ10歳だった頃、僕とケンはある島に流れ着いたんだ。
「エン!起きろよエン!」
エン「ケンちゃん...ここはどこだい?」
ケン「知らねぇよ。奥に街が見える。歩けるか?」
エン「うん。でもケンちゃんはそのお腹の傷大丈夫なのかい?」
ケンの腹には鬼につけられた傷があった。
ケン「あぁ、大丈夫だ。お前の背中の方が深い傷だろ」
僕の背中には深くえぐられた傷が十字を纏うように刻まれていた
「うん。悪いけど肩を貸してくれるかい?」
僕らは街の灯に向かって歩いた。でも歩いても歩いてもその明かりにたどり着けなかった。
ケン「どうなってんだよここは。あの明かりは街じゃないのかよ!歩いても歩いても届かない」
エン「一回休もう。それよりコウちゃんとトウカが心配だ。」
ケン「あぁ...絶対四人で生き残って鬼達をぶっ殺すって『あいつら』と約束したからな」
エン「そうだ、ケンはどうやって王器を見つけ出すんだい?」
ケン「しらねぇよそんなの。歩いてりゃ見つかるだろ」
エン「鬼に立ち向かうには僕ら四人だけでは無理だと思うんだ。それに四人全員生き残ってる保証もない。だから多少力をつけたら、他の軍の力を借りに行こう」
ケン「はっ、力貸してください、はいわかりましたーなんていう軍がいると思うかよ。いたら鬼なんて存在してない。国は面倒なこと嫌いだから、面倒沙汰起こさないように俺たちみたいな子供を鬼に送ってんだよ。これが事実だ。おれはおれを捨てた親も、こんな目に合わせた鬼もゆるさねぇ。死ぬ覚悟もないこの国も許さねぇ。だから... 」
ケン『俺が国を作る』