準統治領2
「にしても、今日の午後一の呼び出しって何だろうな? アムニット知ってる?」
「ロベール様や他の一部の貴族の方たちは、領地運営の実地研修だそうですよ?」
「何それ?」
聞き返すと、領地運営の実地研修と言うのは知っていて当たり前のことなのか、かなり驚かれてしまった。
しかし、俺が無言で見つめていると、すぐに焦りだし居住まいを整え語りだした。
「竜騎士は、ただ戦うだけではなくその機動性を活かして、辺境の町の税がちゃんと支払われているかどうかを確かめる任務も負っているのです。それに合わせて、町で広まっている技術や知識を辺境の町で広め、町の増収に貢献することを目的としているんです」
「へ~」
それを学生なんかにやらしても良いもんかね、と思ったけど、この世界での成人は15歳からで、貴族は15歳を過ぎれば大人として扱われる。
平民の場合はもっと早く、12歳を過ぎると長男は家業があればそれを継ぎ、長男以下は丁稚奉公として外へと出される。
現に、この学校へ通っている俺以外の生徒はみな12歳だ。俺だけ見た目はそれくらいだが、精神年齢は3倍近く離れている。
俺が奴隷として働いていたところにも、敵国の兵士が奴隷として働いていた。
そいつは、17歳だったからな。俺のことを見下してよく突っかかってきたけど、その度にボコボコにした思い出がある。
竜騎士は、ドラゴンでの格闘戦は凄まじく強いけど、地面に降りて一対一になれば凄まじく弱い。
それは、竜騎士は空で戦う物であって、地面に降りて白兵戦をやるとはこれっぽっちも考えていないカリキュラムのせいだ。地上戦自体知らないと言うのが一番の原因である。
「あぁ~、食った食った。ごちそうさん」
指に付いたソースすら惜しいと思わせるほど、アムニットの作ってきたサンドイッチは美味かった。
「いっ、いえ……。喜んでいただけて嬉しいです」
顔を真っ赤にしながら、アムニットは俺の指をナプキンで拭き始めた。
指の間から爪の間まで甲斐甲斐しく拭くと、広げていた食器やナプキンをバスケットにしまいこんだ。
「あっ、あの、集合までまだ時間があるので、その……お昼寝――しますか……?」
スルスル、とアムニットはスカートを捲りあげた。そのまま下着が見えてくれたら嬉しかったけど、今は準竜騎士飛行服なので下はズボンだ。
これは、彼女の態度から分かるように侯爵パワーを使って強制的にやらせている訳ではなく、彼女自らの意志でやっている事だから勘違いしないでほしい。
ただ、そこには侯爵の長男のパチモンである俺に気に入られ、側室に向かい入れられれば名誉士爵であるアムニットの父の地位向上にも役立つと思っての行動だろうけど。
しかし、あの細いのにふにふにの太ももに罪は無いので、今日もしっかりと堪能させてもらおう。
ロベールは、たぶんロリコンではありません。たぶん、きっと……。
12月19日 ルビを書き換えました。