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竜騎士から始める国造り  作者: いぬのふぐり
マシュー改革編
32/174

幕間 ミナ

 初めて剣を握ったのは、私が5歳の時だった。

 その歳になるころには、一番初めに女が生まれたことへの父の落胆や、母に対する身内の冷たさを理解できるようになっていた。


 だから私は剣を取り、父に教えを乞うた。しかし、「無駄なこと」と断られた。

祖父の所へ行くと、不承不承(ふしょうぶしょう)と言った様子で教えてくれた。


 祖父()が良かったからか、10歳を過ぎる頃には近所の元兵士がやっている青空道場で、相手になる同い年の子供は居なかった。

 そして12歳になった時に、私は思い切って両親に兵士学校へ行きたいと言った。


 騎士の子供は騎士であるが、私には弟ができたので、父から騎士爵位を受け継ぐことができない。

 なので、兵士学校で成績を出し騎士に叙任されるか、できる事ならば女性皇族の近衛に取り立てられればと思った。


 弟と言う後継者も生まれ、私をどちらかと言えば政略結婚の道具として使いたかった両親だったが、祖父の鶴の一声によって兵士学校へ行くことができるようになった。


 座学も技術も申し分なく、順風満帆とまではいかないまでも、充実した訓練生生活を過ごすことができ、2年で終わる兵士としての訓練を修了し、何とか騎士課程へ進むこともできた。


 次の2年過程で優秀な成績を残せば、近衛への道が一歩近づく。落ちても、ある程度の収入の見込める下士官として生きていくことができる。

 そんな風に思い過ごしていたけど、このユスベル帝国と隣国のユーングラント王国がやっているイザコザが佳境を迎えようとしたときに事は起きた。


 父と祖父が揃って亡くなったのだ。


 そこから、家は面白いように転落していった。普通に過ごしていたら、家がなくなることは無かったのに、まあ色々とやってしまったそうだ。

 騎士学校もあと半年で卒業となった時に母に呼ばれ、言われた言葉は「貴女よりも長男が大事。だから、貴女を売るわ」だった。


 母は、すでに奴隷商からお金を受け取っていたらしく、私は何の言葉も発する事ができずに金貨80枚で売られてしまった。

 この時には、近衛にはなれなかったが下士官として道は約束されており、直ぐに金貨80枚は稼ぐ事は出来なかったが、弟を学校に通わせながら母と難なく暮らすだけの給料は貰える予定だった。



 最近、奴隷の需要は上がり調子らしい。奴隷商から話を聞いた。

 でも、兵士学校へ行っていた事が災いしたそうで、客が求める安くてある程度教養のある奴隷から私は外れているそうだ。値段を詳しく聞く気も起きないが、私の値段はかなり高額になっているようだ。


 かといって、()貴族としての箔があるわけではないので、中途半端に高く値段に釣り合う箔もない奴隷の完成である。

 そんな中、奴隷商の所に竜騎士(ドラグーン)の飛行服を来た少年がやってきた。


 奴隷商は嬉しそうに、その飛行服の少年と商談している。

 少年は、知識奴隷をご所望の様だった。その歳にしてはしっかりしているのか、夜伽を考えていないのか能力があれば男女問う事は無いと言う話だった。


 そして、奴隷商の狙い通り私が買われた。高い奴隷と、知識はあっても少年の欲しがっている知識ではない奴隷を正面に出されてしまっては、私を買うしかない。

 飛行服の少年は、奴隷商にその場でお金を渡して、私にこういった。


「初めまして。家は死ぬほど忙しいけど、その分達成感があるところだから、君の能力を存分に発揮してくれ」


 優しくも怪しい囁きで、私に対する期待感を表してくれた。

 少年は、私が応えるよりも早く奴隷商と向き直り、配送場所について話しはじめた為、それ以上話すことはできなかった。

 それがご主人様――ロベール様と出会うまでの話です。


 忘れられている可能性もあるのでブラック行政へやってきた、ミナの身の上話回です。

 騎士を目指した少女は、なかなかハードな生活をしてきたようです。

 彼女の様に落ちた家もあれば、成功した家もあります。その最もたるのが、騎馬騎士を父に持つアバス君です。

 彼の家は騎馬騎士の家系ですが、金のかかる竜騎士(ドラグーン)を輩出する事が出来ました。


7月27日 脱字修正及び文章を編集しました。

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