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竜騎士から始める国造り  作者: いぬのふぐり
マシュー改革編
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食糧自給率向上の畑

芋の世話をしていたため、いつもよりも遅い更新になっちゃいました……。

 数を獲れば良いとはいった物の、3時間かけて獲れたのが120cmくらいの油魚一匹だった。

 動力が手漕ぎのボートではトローリングをすることができず、そもそも網で獲ろうなんてした日には転覆するのは目に見えている。


 だから、基本は(モリ)漁だから効率が悪い。一応、餌として腐らせた小魚を網に入れて寄せ餌にしているのだが、あまりパッとしない。


「時間がおしているから、俺は先に戻っているぞ」

「はい。本当に申し訳ございません」

「いや。無理のないように漁を頼む。怪我をしたり、死んでしまっては元も子もないからな」


 ははー、と頭を下げる三人を湖畔に残し、俺は魚を持たせたヴィリアの背に乗って屋敷へと戻った。



「遅れて済まない」

「だだだ、大丈夫です。皆さんも、ゆっくりと集まってもらっていますので」


 魚の解体方法と焚き方を、手が空いている町の主婦たちに任せて、俺は第二の目的地へと来た。

 町のはずれにある、原っぱだった(・・・)場所だ。

 その原っぱだった場所を見て、ここへ来てくれたマシューの住民全員が唖然としている。


 「あの……、これはどうなっているのでしょうか?」


 驚くファナが聞いているのは、原っぱだったところがすでに耕されていたからだ。


「ここに畑を作る。健康な体も、家畜を育てるためにも、まずは畑が必要だからな」

「昨日まで何もなかった場所だったのに、ロベール様がお一人で耕したのですか!?」

「んな訳ないだろう。いろいろと企業秘密だが、開墾作業に体力のない子供や老人ばかりじゃできんだろう?」


 ここを耕したのは、俺ではなくヴィリアだ。ドラゴンの堅く鋭い爪でゴリゴリと一晩かけてやってくれた。

 これだけ御膳立てをしてやれば、あとは根が広く張った草を引っこ抜き石を拾うだけだ。

 それならば子供や老人だけでもできる。

 


「よし! では、今から草取りと石取りを頼んだ」


 俺の号令と共に、その場にいた全員は一斉に草抜きと石取りを開始した。すでに土が柔らかくなっているので、この分なら遅くても2週間以内には終わるだろう。



 夜も()け、俺は魚油ランプの明かりを頼りに、今後の改革スケジュールを書き込んでいる。

 今日できたことと言えば、今使っているランプの魚油が取れたことと、畑の開墾、堆肥作りの相談と言った所だ。


 魚油に関しては、あれから漁師が頑張って2メートルが1匹に1.5メートルが3匹と初日にしては幸先の良い漁獲量だった。

 だが、油魚として本領を発揮するのは2メートル越えからの様で、最初に獲れた1.2メートルの油魚は、重さ18キロ強(アラ含む)でありながら、搾り取れた油は1キロ程度だった。


 ただこれは、昼から夕方まで絞った、言わば粗搾りの状態なのであと少しくらい取れそうだ。

 とりあえずは、先ほど重りを乗せ終わった搾り機が、明日までにどの程度絞れるか見てみる必要がある。


 畑の開墾は、皆の頑張りもあって何と1枚目の3分の2が今日の時点で終わっていた。食事は出せないので、賃金として一人につき賎貨2枚を支払った。

 初めは恐縮されたが、労働に対する対価であり、搾取するだけが目的ではないので受け取らせた。

 おかげで、全員がやる気に満ち溢れた。作業速度を鑑み、明日はもっと広く開墾する事にしよう。


 そして、最後に堆肥だ。

 これは、寮に居た時は考えもしなかったことだが、この町では人糞は川に流し、家畜の糞は山に捨てるらしい。


 堆肥云々の前に、まず堆肥と言う概念が無かった。良くそんなもんで畑で作物が育つなと思ったけど、俺が夕食に食べる様な野菜は特別に大きい物が提供されていたようだ。

 他の食卓を見れば、沢庵(たくあん)のような人参が平気で並んでいた。


 なので、この町の人糞を一か所にまとめて、堆肥を作るように命令(・・)をした。尿は別途集めさせる予定だ。

 命令と言う強硬手段を使ったのは、そうしなければ、あの生返事と言うか「本気(マジ)か?」と言う態度だったので、たぶん動かないと思ったからだ。


 また、町全体で牛50頭、馬65頭いた。それらの糞も、人糞とは別に集めさせている。

 これは、食べる物が違うためだ。人糞=肥料(栄養)として考え、草食動物の糞は土壌改良用の素材と言う考えからだ。


 鶏は面倒くさいので数えなかったが、鶏は腸が短く、食った物の7割の栄養が吸収されずに排出されており、程よくこなれた生ごみと言う扱いで、人糞と同じ場所に混ぜ込むように指示した。

 明日は、森の栄養を貰いに行くとしよう。


 1haは、100m×100mです。

 狭いように思えますが、目で見ると広いです。

 そして、ホームセンターで売っている、格安の堆肥は注意しましょう(特に鶏糞)

 法律で取り決めが無いため、1%でも発酵していると『発酵堆肥』と書くことができます。

 畑に撒いて、そこに水を撒くと、鶏糞が再発酵を始めて凄まじい臭気を発します。

 また、『臭いの少ない乾燥鶏糞』と書いてあるのも、ただヒーターで乾燥しただけなので、畑に撒いて水が掛れば同じく再発酵します。

 お勧めは、撒く日より3ヶ月以上前に購入して、袋を開けて水を適量入れてかき混ぜます。

 そうすることによって、袋の中で発酵し続けるので畑に撒いても臭くなく、また根を傷める可能性も低くなります。ぜひお試しを!


3月2日 ルビを変更しました。

6月30日 加筆修正しました。

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