騎馬突撃
今日は朝から気温が高く、不快では無いもののあまり気分の良い起床ではなかった。それは、これからの事について心中が穏やかではないからか、それとも周囲が熱気に包まれているからなのか。
外がやや騒がしくなったので天幕の外に出ると、遠くに軍勢が見えた。
「お前ん家の兵士が来たぞ」
「結構、多いな……」
天幕の外で声をかけてきたのはアバスだ。ここは、兵士の集合場所を貸してくれたフレサンジュ家の領地である。
領地と言っても家とその周辺の農民の管理をするだけなので実質町長くらいの存在らしいが、馬を飼育するため広い草原を勝手に使っているのでどこまでが管理している土地なのか分からなかった。
その草原の向こうから、ストライカー侯爵家の紋章旗を掲げた軍勢がゆっくりと近づいてくる。内訳は騎馬兵100と歩兵450の大所帯。その後ろには輜重隊も付いてきているので、数はさらに倍以上になるだろう。今回の作戦では一番兵力を提供してくれている。
「これでみんな揃った事になるな」
俺の要請に応えてくれたのは、6人の貴族でその中の一つがストライカー侯爵だった。
揺さぶりをかける為に支援要請を送ったのだが、断られたり何かと理由を付けて煩く言ってくるものだとばかり思っていたが、実際は何の反論も無くあれだけの兵力を貸してくれた。
「あぁ。こっちは俺で対処しておくから、ロベールは家の方で作戦の概要を話しておいてくれ」
「わかった」
ストライカー侯爵軍の中から3騎が突出してくるのをみてアバスはそう言った。
すでにアバスの――フレサンジュ家の屋敷内ではすでに各貴族から貸し出された各貴族軍の隊長達が揃っていた。
残るは目の前に居るストライカー侯爵軍の隊長が来るだけなので、アバスはそれを含めた話し合いに先に行けと言っているのだ。
この場とストライカー侯爵軍の隊長の誘導をアバスに頼み、俺はフレサンジュ家の屋敷へと入って行った。
★
「この度は私の呼びかけに応えてくださり、ありがとうございます」
大きな部屋の上座に座る俺は来てくれた6家門の人間にお礼を言った。
それに対し、6家門の人間は静かに目礼をするだけだ。
「今回ブレイフォクサ公爵を討つことになった経緯ですが、簡単に説明させていただきますと彼は帝国貴族でありながら野盗に成り下がりました。貴族としての矜持を忘れ、我欲の徒となった唾棄すべき存在です」
この話は応援をお願いする時にすでに話している。帝国貴族――それも公爵と言う五爵位の最高位を相手取るのだから、方々の貴族達からやや非難めいた声が聞こえてきた。
しかし、ブレイフォクサ公爵は自らが保有する兵力で野盗行為をし、現に俺やマフェスト商会に多大なる損害を与えている。
その原因となったのが雫機関に参加できなかったからではないのか、とよく耳にしたが次回または次々回といつになるか分からないが参加できない訳ではない。
つまりは子供の癇癪と同じだ。今が良い。今じゃなきゃ嫌だ。そんな子供じみた言い分を通す為にこんな嫌がらせをするなど正気の沙汰ではない。
とはいえ、ブレイフォクサ公爵を我欲の徒と称したのだが、ストライカー侯爵軍を除くこの場に居る貴族軍も公爵を討つと言う俺の意見に賛同し集まったのだから我欲が強い事に他ならない。
これに参加し、戦果を挙げれば俺に覚えが良くなると言う思惑を持っての参加だ。負ければ立場が不利になるにも関わらず出張って来てくれているのだから、我欲だけではなく思い切りもそうとう良い。何とも頼もしい事だ。
「ロベール卿、少しよろしいですか?」
「なんでしょうか?」
今後の行動について説明しようとしたところで、今回の作戦に参加してくれた貴族――マッカラン子爵から質問の声が上がった。
「今回、ブレイフォクサ公爵を討つと言う事ですが、ロベール卿の兵力はロベール竜騎士隊と天駆ける矢から貸し出された軽歩兵30ほど。数は少ないながらも大変頼もしい兵力です。ここで気になるのですが、天駆ける矢から兵力が貸し出されていると言う事は、今作戦はロベリオン第二皇子も賛同してくださっていると考えてもよろしいでしょうか?」
「天駆ける矢から兵を借りたのは、この借りた兵が本来であれば私の部隊員だからだ。私に兵力を持たせたくないと考えた貴族の横やりを躱す為に、泣く泣く天駆ける矢に預けているに過ぎない。なので、この兵力を借りたからと言ってロベリオン第二皇子が賛同していると言う訳じゃない」
兵の貸し出し申請を行う時、ロベリオン第二皇子だけではなく宰相にも何のために兵を使うかとは言ってある。きちんと「野盗を討つために」と。
その黒幕が誰とまで言っていないが、隠す様な行動はとっていないので調べればすぐに分かるだろう。
質問をしたマッカラン子爵は「分かりました」と頷き姿勢を正した。
その後は特に質問もなく、ただ淡々と兵の動きについての説明だった。
こちらの兵力の合計は、竜騎士14騎。騎馬兵330騎。歩兵2010人。対してブレイフォクサ公爵は凡その見積もりだが、騎馬兵550騎。歩兵2200人くらいと出た。騎馬兵は大きく、歩兵は少しと言った差があるが、そこは竜騎士で問題なく埋められる差だった。
問題は傭兵として竜騎士を借りてきた場合だったが、今のところそう言った話は出てきていないので気にはしなかった。
★
出立の準備をするために貴族達と別れた後、俺はアバスの父親と面会した。
フレサンジュ家へ来てから何度か話しているのだが、今回素晴らしい物を貰ってしまったのでそのお礼を言いに来たのだ。
「兵力を貸していただいただけではなく、うちの人間にも立派な馬を用立てしていただき、ありがとうございます」
うちの人間とはミナの事だ。天駆ける矢の一員として、ミナも今回の作戦に歩兵として参加する予定だった。
しかし、アバスの父親がそば仕えだと思っていたミナの持った鎧を見て驚いたことから始まった。もちろん、メイドとしてそば仕えをさせているので間違いではないのだが、本人の希望で戦闘には参加しているので何を驚いているのか分からなかった。
要するにミナが着用しているのが歩兵用ではなく騎馬用の鎧だったそうで、それに気づいたアバスの父が急いで馬を貸してくれたのだ。
竜騎士用の鎧は軽歩兵より軽装だ。それ以外の鎧を見る機会は無かった。いや、機会はあるにはあったがまじまじと見るような事は無かった。
歩兵と騎兵の鎧の違いに大きな物が無く、しいて言えば尻にも装甲があるか無いか程度らしい。尻にも鎧があっては馬に乗る時に邪魔になるからな。
「それにしても、お前は騎馬用の鎧を持ってきてどうするつもりだったんだ?」
「ロベール様と同じように敵から奪うつもりでした。槍突撃では無理ですが、乱戦時に騎馬兵を叩き落すのは私の得意とするところです」
話を聞くと、踏みつぶされる危険があるにも関わらずミナは騎士学校での演習時、ガチタンク並の動きで騎馬兵と対峙していたらしい。
マシューで使われる農耕馬よりも、騎兵で使われる戦闘馬はずっと小さいと言っても、人間の何倍も重さと大きさがある。そんな馬に乗って突撃してくる騎馬兵を落っことすのだから、ミナがどれほど豪胆なのか恐ろしくあった。
話を聞いていたアバスの父はおっさん臭い笑い声を上げた。
「素晴らしい! さすがロベール様のそば仕えだ! 貸すに留めようと思っていたが、君であればもっと良いのを用意しよう」
アバスの父はそう言い近くに控えていた家人に新しく馬を出すように言った。
「さきほどの馬も立派でしたが、それ以上の馬をですか?」
「そうです。我が家の馬は、聖騎士団自らが欲しいと言ってくるほど良い馬ばかりです。本来であれば種を残すことが出来る良い馬を貴族に渡すことはありませんが、ロベール様に仕えるミナ殿であればその限りではありません」
「ですが、それほどの馬を借りても宝の持ち腐れになる可能性が……」
「貸すのではありません。差し上げるのです。彼女ほどの豪傑に並の馬を貸すのは忍びない。騎馬騎士は良き馬と出会う為に戦い、馬は良き騎馬騎士と出会う為に早く走ります。これは運命なんですよ」
仲間と言うよりも、同好の士を見つけた人の様な目でアバスの父はミナを見ていた。
何か知らんが、フレサンジュ家の馬はとても良い馬だそうなので貰っておいて損は無いだろう。
★
フレサンジュ騎馬隊 ミナ視点
フレサンジュ家を出立してから2日が過ぎた。パカポコパカポコ、と騎馬が列をなして移動している。
その中の一隊、フレサンジュ騎馬隊にミナは組み込まれた。同じくロベールの元で私兵として雇われているミーシャは馬に乗れないので、今回は歩兵として別の隊に参加している。
それぞれの軍に属している兵士は統一された鎧に身を包んでいるが、この度の戦いでは6つの貴族が応援に駆け付けているため鎧もバラバラだった。
その中でも自分は特に浮いている、とミナは思っていた。
フレサンジュ家の騎馬兵は全てフレサンジュ家の身内で固められているような物だった。
それこそ普通であれば無関係と言えるような遠縁の人間でもフレサンジュの名を冠し、今もこの戦列に加わっている。
身内で固めているからこそ間者の付け入る隙がなく、また一枚岩なので辺境と呼ばれる土地で敵の監視に当たらせても全く問題ない。その性か、フレサンジュ家は辺境専門の騎馬騎士などと呼ばれ、辺境に行っても平気でいられる田舎者扱いされている不遇な家だった。
そのフレサンジュ家は置いといて、今ミナが身に着けている鎧は「いつかは必要だろう」とロベールが買い与えた物だ。問題なのは、鎧の事を全く知らないロベールはミナに好きな物を買ってこいと金だけ渡して話を終わらせたことだ。
そのいつかとはラジュオール子爵邸襲撃作戦だったのだが、ロベールはミナが騎馬兵用の鎧を買った事に全く気付くことが無かった。
その為、自分に全く興味が無いのだろうかと消沈していたミナだったが、今日初めてロベールが歩兵用と騎馬兵用の鎧の違いを知らない事に気づき安心した。
常人には考えられない知識を有し、意図せず自分が小物に見えてしまうほど豪胆豪傑な人物であるにも関わらず、常識と言える知識が欠如している事に不思議な安心感とおかしさが胸に現れた。
自分に興味が無いわけではなく、また知らない事もあるのだと知ったミナは可笑しくなり笑みが自然と零れた。
「久しぶりの騎馬突撃で胸が高まりますね」
ミナが思い出し笑いした事を、奴隷になってから初めて騎馬突撃に参加できた事への喜びと捉えたのかアバスが笑いながら問いかけた。
「それもありますね。給金を貰っては馬を借りて馬上訓練をしていましたが、どれほど腕が落ちているのか見当もつきません」
そう考えると笑っていられる状況ではありませんね、とミナは小さくごもった。
アバスがフレサンジュ家の騎馬隊に参加しているのは、今回の作戦は竜騎士がとても危険な運用になっており、ドラゴンの扱いに並程度の腕しかないアバスはロベール竜騎士隊から外されたのだ。
もっともアバス自体、ロベール竜騎士隊に参加しているが予備扱いで11番目の人員だった。その事に不満は無いようで、外された事も自らの腕を知っていれば順当であると言った雰囲気で従っていた。
「大丈夫ですよ。自分も久しぶりの突撃ですが、今は何か解放された気分です。それに、ミナさんの馬はうちで一等上出来の馬です。怯えず、勇み過ぎず主の言う事を良く聞く馬です。誰がその馬に乗るのか心配していましたが、ミナさんにだったら俺は良かったと心から言えます」
「そっ、そんな……。それより、アバスさんは騎馬での戦闘はあるんですか?」
騎士学校在学中、フレサンジュ家の馬については良く話題に昇っていた。アバスの父が言っていた通り、騎馬騎士は良い馬と出会う為に戦っていると言っても過言ではないと騎士学校へ行っていれば理解できる。
そんな有名な産駒者から良い馬を貰い、その身内から褒められて悪い気はしない。だからミナは急いで話題を変える必要があった。だらしなく緩んだ顔を見せる訳にいかないからだ。
「えぇ、何度か。ドラゴンを譲ってもらってからそちらに掛りきりになってしまいましたが、その前は騎馬兵として戦闘に参加していました」
「その相手は野盗ですか?」
「いえ、ユーングラント兵です。ほとんどは追撃戦ばかりで、身内が露払いをした状態で討ち取って来たので本格的な戦闘は今回が初めてと言えなくはないですね」
「ユーングラントって……」
ユーングラント王国は前にユスベル帝国が戦争をしていた国だ。ミナにとっても忘れられない戦争である。
この戦争が佳境を迎え終えたのが3年ほど前の事なので、アバスは10歳の頃から騎馬兵として戦闘に参加していた事になる。
「身内と馬に助けられての追撃戦でしたが、大変良い経験になりました。ミナさんは野盗と?」
「はい。騎士学校の演習で仲間と共に。深追いしすぎで酷い目に遭いましたが、今では良い経験です」
思い返せば、気負い過ぎて騎士学校の時分は空回りし過ぎていた気がした。そう思うと、奴隷になってから一時期は気持ちが鬱屈していたが、それ以上に自然に振舞えるようになっていた自分が居た。
騎士学校と聞いたフレサンジュ家の騎馬兵が寄ってきて、自分が騎士学校に居た時の話を始めた。兵隊相手にはミナが初陣と聞いて気分をほぐす為にやって来てくれたのだろう。
身内でないにもかかわらず、仲間であるからとこう気にかけてくれることを嬉しく思いながら、ミナは前方を睨みつけた。
平原にブレイフォクサ公爵軍がすでに布陣していた。
戦場のセオリー通り、まずは口上合戦から始まった。
「帝国貴族とあろう者が野盗に成り下がり、皇帝陛下の顔に泥を塗るとは言語道断! その罪、命を以って贖え!」
「いわれなき罪をいけ高々と叫び、罪なきものを罪人として裁くとは悪魔の所業! その腐敗した魂を浄化する為、ブレイフォクサ公爵は剣を取らん!!」
口上合戦が終了し、口上合戦をしていた騎士が兵士を鼓舞するのをミナは歩兵部隊の後ろから眺めていた。
そして、合図と共に歩兵突撃が始まった。
★
ガボォン、と間抜けな音を立ててブレイフォクサ公爵軍の騎馬兵が落馬した。
今は2回目の突撃だったのだが、他の貴族軍に気を取られている所を横から討ち行った形となった。
騎馬兵の数では負けているので何とか騎馬兵の数を減らしたいところだが、自軍は寄せ集めの集団で上手い具合に命令通り動けていない。
これが戦場か、とミナはごちた。
今まで野盗を追い殺すくらいしかしたことが無く、それも学校の生徒と言う単一の部隊であったため命令系統はしっかりと確立しており、またしっかりと出た命令に従っていた。
しかし、今はそれぞれが各々の隊長に従い、その隊長はその時一番良いと思った行動を取る為、部隊ごとに隙が生まれやすく先ほどのミナが――フレサンジュ騎馬隊が横合いから突撃したのも、その隙につけ込もうとしたブレイフォクサ公爵軍のさらに隙をついた動きだった。
「上手いぞ、ミナ! それでこそ騎馬兵だ!」
アバスの直系の兄と言う男がミナを褒めた。
この突撃前に歩兵に取り囲まれているのを見て救援に向かおうとしたのだが、邪魔になるからとアバスに止められていたのだ。
歩兵にとって騎馬兵は脅威だが、突撃能力を失った――歩兵によって取り囲まれた騎馬兵は歩兵にとって良い的だ。隙を突いて引きずりおろせば落馬の衝撃と合わさって動きが鈍くなるから。
しかし、返り血を浴びたアバスの兄の姿を見れば杞憂であったと言わざるを得ない。初め見た時よりも鎧が大きく傷つけられていても、中身が無傷なら戦闘に支障はないから。
対してミナとアバスは、鎧が傷ついているものの全体的に見れば綺麗な物だった。
それは全て騎馬兵を相手どっての戦闘に注力し、歩兵には不利になりつつある味方が相対している部隊に槍突撃を仕掛けるにとどめているからだ。
ただ、戦闘が始まって2時間近く経っているのでアバスの息が上がり始めている。
人として肉体が完成に近づきつつあるミナは体格・体力共に十分であるが、14歳のアバスの体は成長途中で体格は同年代の人間に比べて良いと言っても完全ではない。
初めは敵騎馬兵の槍を体を逸らすことで上手く避けていたアバスだったが、今では槍を体にくっ付けて体全体を使って弾いている方が多かった。
「初陣のミナに比べて、アバス! 何だその体たらくは! ダラダラ動いて、死ぬのはお前だけじゃないだぞ!!」
「ハイッ!!」
肩で息をしながら、アバスは全力で返事をした。
14歳の子供に無茶を……と思わないでもないが、ここは戦場だ。体力が尽きたらそれまで。後は殺されて死体になるだけなので、兄の言い分は至極真っ当だった。厳しさもまた優しさである。
「(ロベール様……)」
戦闘が乱戦となり混乱へと移りつつある戦場で、ミナは自分の主の名を心の中で呟いた。
機が熟し次第、竜騎士も突撃を仕掛けると言っていたが空を見上げてもドラゴンの姿は無かった。
彼の性分からして怖気づいて逃げていると言うのは絶対に在りえないので、今がその気ではないのだろうと思った。
しかし、アバスの様子を見ていると早く来てくれと願ってしまう。
「次は、中央に陣取っている敵騎馬兵を歩兵たちから引き離す。ついて来い!」
息を整えるとまたすぐに馬を走らせた。騎馬は戦闘の要なので、部隊を整えるためとはいえ歩兵たちの士気を保つためにも余り戦場外で休んでいられないのだ。
「隊長、ドラゴンが!!」
フレサンジュ騎馬隊の一人が空を指さし叫んだ。
来たっ! ドラゴンと言う単語を聞いただけで、ミナの体に溜まった疲労が一気に霧散した気がした。
それはアバスも同じようで、さきほどまで疲労で若干顔色が悪くなっていたが今は血色がよくなっている。
「凄い――」
赤黒く他のドラゴンよりも巨大なドラゴンが、ほぼ垂直と言って良い角度でブレイフォクサ公爵の陣へ飛び込んで行こうとしている。
あまりの速度に、ブレイフォクサ公爵を守るために上空で待機していた竜騎士が対処できずに素通りさせてしまっているほどだ。
しかし、それに他の竜騎士がついてきていない。
いや、4頭のドラゴンがついてきているにはついてきているのだが、それの全てに竜騎士が乗っていない事から、あの4頭のドラゴンはロベールの飼っているドラゴンだと言うのが見て取れた。
「おい、今の竜騎士はロベール様だよな!?」
「はっ、はい!」
アバスの兄に問いかけられ、ミナは驚きながら答えた。
直滑降での単身突撃。幾ら竜騎士であっても危険な行為だ。自殺攻撃としか思えないその攻撃にフレサンジュ騎馬隊は声を上げた。
ロベールの駆るドラゴン――ヴィリアが地面と衝突すると共にブレイフォクサ公爵軍の兵士が空高く舞った。
ミナ=ロベールの奴隷。メイド兼兵士
アバス=ロベールのクラスメイト。フレサンジュ家の5男。
マッカラン士爵=ロベールの呼びかけに答えてくれた貴族の一人。雫機関に参加中。
ストライカー侯爵=本物のロベールの父親。ブレイフォクサ公爵とよく文通していたらしい。
ブレイフォクサ公爵=野盗を操っている貴族。
3月29日 侯爵・公爵を書き直しました。
なくなく→泣く泣くに書き直しました。




