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竜騎士から始める国造り  作者: いぬのふぐり
マシュー改革編
10/174

俺たてぬ

「やぁ、ファナ。おはよう」

「おはようございます、ロベール様」


 学校のドラゴンに乗り降りするための広場でファナと落ち合う予定だったけど、時間を指定し忘れていた。

 いつ頃から待っていたのか分からないけど、ファナには申し訳ない事をしてしまった。


  そのファナだが、服装が昨日とは若干違っており、地味なのは一緒だがこちらの流行を少しだけ取り入れた服装になっている。


「マシューでは、すでに歓迎の準備が始まっていると思います。道中、お気を付けください」

「君は、どうやって来るの?」

「私は、また馬車に乗って帰ります」


 マジか。来たのだから帰らないといけないのは当たり前だけど、4日の距離をまた戻るのか。


「馬車は、郷の馬車か?」

「いいえ。こちらから紹介していただいた組合馬車です」

「分かった」


 俺はファナからどの馬車か聞き出すと、すぐに御者と交渉して、帰り賃分を返金してもらった。

 このままでも良かったけど、今後マシューへ行ってくれなくなるのも困るので、返金してもらった分から少しお小遣いとして御者に渡した。


「はい、これお釣り」

「えっと……、どういう事でしょう?」

「馬車は時間がかかるから、俺の後ろに乗って」

「えぇぇえ!? そんな、ドラゴンって主の竜騎士(ドラグーン)以外が乗ると、その乗った人を食い殺すって……」


 何を焦っているかと思ったら、そういう事か。

 確かにそう言った話も多々聞くが、大分誇張も混ざっていたりする。そもそも、この話が生まれたのは、貴族以外がドラゴンに乗らないようにするためだし、俺自身竜騎士(ドラグーン)じゃない時期にドラゴンに乗ったけど、食い殺された事は無い。


 絶対とは言わないが、ほぼ大丈夫だと言って差し支えない。それに、ヴィリアは言葉を話すことができるので、言って聞かせる事もできるし。


「大丈夫だよ。ちゃんと言って聞かせるし」

「あっ、あの、でも……」

「ん? 乗りたくない?」

「そそそそ、そんな事はありません!」


 顔から血の気が失せたファナは、足を震わせながら背筋を伸ばし答えた。

 やっぱり、侯爵と言う肩書のせいで相手を不必要なほど委縮させてしまうのか、それともロベールが悪いのか。

 遠慮だけではない何かで乗りたくないと言っているような気がするけど、何で乗りたくないと言っているのかいまいち分からない。


「あの、ロベール様。少しよろしいですか?」


 隣に控えていたアムニットが、俺とファナの会話に入ってきた。


「何だ?」

「少し、ファナさんとお話をさせていただいてもよろしいですか?」

「かまわん」


 一言、俺に断りを入れてからアムニットはファナと話しはじめた。初めは恐縮していたファナだが、数分話すと決心したように俺を見た。

 そして、神に懺悔するように膝をついた。


「あの、ロベール様。少しだけ、10分いや5分だけお時間を頂けないでしょうか? 留守番をしている妹に、都のお土産を買って帰る約束をしているので……。お待ちいただいたロベール様に対し、非礼な振る舞いだとは重々承知しております。ただ、ただこの学校の出入り商店で良いので、お土産を買うお時間を頂けないでしょうか?」


 あー、はいはい、なるほどね。馬車ならゆっくりと皇都観光ができると思っていたけど、俺がドラゴンで送ると言った上に、帰りの馬車も勝手に解約しちゃったからね。


 長い時間待たせたうえに、ドラゴンにまで乗せて帰ろうと提案している俺に意見する事が、平民にとってどれほどの恐怖か計り知れない。

 今回の事を除けば、山を越えた先にある町からここへ来るなんてそうそうできやしないだろう。馬車も、往復で金貨4枚もしてるしな。


 それに、アムニットまでファナと同じように膝をついている。竜騎場にいる竜騎士(ドラグーン)候補生たちも何事かと見てくるが、相手が俺だと分かるとそそくさとこの場を離れて行った。


「分かった、分かった。じゃぁ、1時間――いや、2時間くらいあればいいか?」

「いっ、良いのですか?」

「これから世話になるんだ。それに、これだけ待ったんだから、2時間くらい増えても何ともない」

「あっ、ありがとうございます!!」


 膝を折っているだけでもスカートが汚れると言うのに、土下座までしてしまってはせっかくの一張羅が台無しだ。

 すぐに俺は、ファナとアムニットに立つように言った。


「町は広いからな。効率よく回るために、アムニットが案内してやれ」

「分かりました。なるべく、早く帰ってきますので」

「2時間待つから、ゆっくり遅れないように回ってこい」


 じゃな、と言うと再びファナからお礼を言われた。そして、すぐに駆け足で離れて行く足音が聞こえた。そんなに急がなくても良いのに。

 俺はと言うと、出発が延期になった事をヴィリアに伝えに行った。


竜騎士(ドラグーン)育成学校での話は、まだまだ続くんじゃ。(すんません……)


あと、私的なことですが、普段であれば土日と連続して更新してましたが、出かけるので明日の更新はなしです。

次の更新は、6月23日(月)に予約更新をしておきます。


さぁ、今夜出発して片道1010キロ。時間にして13時間30分の運転だぜぃ!


7月3日 誤字修正しました。

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