11
「乗り捨てられた車とか廃材置き場にある物資で火炎瓶や爆弾、それとワイヤーとかで罠を仕掛けて……それは見事に小父を罠にかけて動けなくなった所に爆弾と火炎瓶の苛烈な攻撃と土石流で洗い流し、トドメに……どこから手に入れたのか手りゅう弾を炸裂させて小父の第一形態を撃破したんだよね」
化け物ですか? いえ、実際の所、能力はともかく戦闘経験は豊富なようです。
もしも私がその場に居たら……何か出来る自信はありません。
あのスライム姿からはまるで想像できない武勇伝を幸長さんは持っていませんか?
どんだけ過去の伝説を持っているのでしょうか?
「ほー……すさまじいのだー」
「さすがに子供に第一形態を撃破されるとは思いもしなかったらしくて小父も止まってくれたよ。いや、むしろ警戒してたかな? 頭も冷えたって感じだった。あのまま継続してたらひん死になるまで追い詰められたんじゃないかな?」
「子供が魔王の血縁者の第一形態を沈めるなんて誰も信じませんよ」
私だって話半分にしか聞こえませんがルード様の仰ることだから信じなくてはいけない話です。
何処の勇者ですか!
「結果的になんて凄まじい人なんだとボクは兄さんを見直して憧れの感情を抱いたんだよね。その後は楽しい休みだったよ。常に頼りになるお兄さんさ。能力が低くても工夫次第で凄い事が出来るもんだ。しかも遊び道具とか廃材で色々と作ってくれて楽しい楽しい」
「強さに従ったのだ?」
「子供だからってのもあるけどね。それとロマンがある事をしてくれたのが大きいよ。木の上に秘密基地とか作ってくれた時は本当にすごいと思ったもの。ああ……兄さんが作った秘密基地、あの山にまだあるのかな?」
木の上にある秘密基地等も幸長さんが組み立ててくれたそうです。
夢がありますが実際に作るなんて出来るのですね。
「時期、わかるのだ。麻奈と出会う数日前なんじゃないかと思うのだ」
「そうなのかい?」
「なのだ。初めて会った時の幸長が愚痴ってたのだ。この前激戦を経験したばかりだってのに……ってブツブツと言ってたのだ」
ルード様との楽しい期間を満喫した数日後に麻奈を倒したのでしょうか?
幸長さんがとてつもない苦労人としか感じられなくなってきています。
△
麻奈が幸長に出会ったのは7歳の時の満月の夜だったのだ。
その時の麻奈は……世間でいう所のガキ大将のクソガキだったのだ。
山奥にある小さな学校で麻奈はクラスを支配していたのだ。
気に食わないことがあると暴力に走り、数名しかいない級友たちに理不尽な命令を下していた。
例えば逆立ちして校庭を一周しろとか、嫌いな食べ物を麻奈の代わりに食べろとか、良い物を持ってたら寄越せ、宿題を代わりにさせる。
お菓子を奢らせるなんて事もしてたのだ。
「こら麻奈! また喧嘩してきただろ! 気に食わないと暴力で解決するのをやめろ!」
「いーやーなのだー! 文句があるなら麻奈に勝ってから言うのだー! じーじもそう言ってたのだー!」
この頃の麻奈は……弱肉強食を信条とか抜かすワガママジジイの影響を受けてしかも妄信してたのだ。
道場で麻奈は叱られたのだ。
「麻奈ちゃんや、近所の連中に強い所をよく見せたのーじーじも誇り高いわい!」
「お父さん! 麻奈の教育に悪い事を教えないでください!」
「ふん! ワシの教育こそ絶対! 世の中弱肉強食じゃ! 弱い者の戯言など聞いてどうするというのじゃ!」
「ふふーん! 父上のバーカ!」
あっかんべーっと麻奈は……父上のいう事を完全に聞いてなかったのだ。
だって、麻奈のワガママを聞いてくれないのが両親だけだったのだ。
だから麻奈は麻奈に優しいジジイに懐いてた。
「じゃあ麻奈、そんなに力こそ絶対なら! パパと勝負して負けたら従うんだな?」
「聞かないのだ! お前との年齢差じゃ勝負じゃないのだー! バーカなのだー!」
であると同時に弱肉強食理論を自らの都合の良いように湾曲していたのだ。
だからどれだけ両親や道場に居る年上の門下生で麻奈より強い人のいう事も、麻奈は聞いてなかったのだ。
「はぁ……まったく、どうしようもないぞ麻奈! このままじゃお前、碌な死に方しないぞ」
「麻奈はしなないのだー! このまま強くなって屈強なドラゴンを倒して魔王だって仕留めてやるのだ! 麻奈は世界最強になるのだー!」
今にして思えばどれだけ愚かだったのかと思うような事を麻奈は心の底から思い込んで居たのだ。
「……言ったな? 戦いがどれだけ厳しいか、麻奈、お前は知らないといけないみたいだ」
父上はそう言って、知り合い……幸長の、尊敬する人と連絡を取ったらしいのだ。
「じゃあ麻奈、これから俺が紹介する。お前とほぼ同い年の相手に勝てなかったら心を入れ替えるんだ。わかったな?」
「ふん。麻奈は絶対に負けないのだー! どんな奴だって相手になるのだ」
父上の出した条件なら麻奈は絶対に負けない。
そんな確固たる自信があったのだ。
「じゃあ……次の満月の夜にその子と勝負しなさい」
「相手になるのだ!」
と、言う訳で満月の夜……バサバサと屈強な悪魔型の魔物が平賀道場に舞い降りてきたのだ。
最初、麻奈はこんな年上の父上とジジイの間くらいの奴と勝負なんかしないと思ってたのだ。
だけど、戦う相手は違ったのだ。
その悪魔の腕に抱えられた……スライム、幸長だったのだ。
「よく来てくれました」
「気にしなくて良い。随分と困っているようだったし、仲間の子が魔王領で無残に戦死されるのは申し訳ないからな」
「隊長、ここで勝負するの?」
抱えられたスライムが少しだけ楽し気に悪魔と父上に尋ねていたのだ。
そのスライムを見て父上も少しばかり不安そうな顔をしていたのだ。
「ああ、あの子らしい。ライム。やってくれるな?」
「他ならない隊長のお願いだからね。まあ……この前、激戦をしたばかりでまた戦うのかぁ……とは思うけど」
「その話は何度も聞いた」
「殿下……ルードがなんか別人ってくらい、僕に絡んでくるようになっちゃったんだよね……」
「仲が良くて良いじゃないか。そのまま良好な関係を築いてくれ」
「わかった……」
と、話をしてから降ろされたのだ。
「だ、大丈夫なんですか?」
「ああ。まったく問題ない」
ピョンっとスライムが麻奈の前に立ちはだかったのだ。
図鑑で見た事ある最弱の魔物なのだ!
「麻奈を馬鹿にするのもいい加減にしろなのだ! こんな雑魚に麻奈が負けると思ったら大間違いなのだ!」
もっと凄い奴が来ると思って麻奈は血沸き肉躍る戦いが出来るとわくわくしていたのにその対戦相手がこんな奴だと知って……この時の麻奈はそれはもう失望と怒りで頭がいっぱいだったのだ。
「ふん! 麻奈ちゃんや、麻奈ちゃんが強い事をそいつらに見せつければ良いだけじゃ!」
「うん! じーじ!」
この程度の雑魚、一撃で仕留めてやるのだ!
「では勝負をここで初めて良いですね」
戦う場所は道場の庭なのだ。
満月がとてもきれいな夜……麻奈は雑魚のスライムを相手に構え……オーラを体に纏ったのだ。
「ほう……あの歳でオーラを纏えるとは、中々の才覚と努力はしているようだな」
「ええ……ですが心根が曲がりそうな状況でして……」
父上と悪魔が腕を組んでそんな麻奈とスライムの戦いを静観していたのだ。
ジジイも勝利を確信している顔だったのだ。
「平賀流の奥義をそいつに叩き込み、ぶち殺すのじゃ!」
いや……この日本に置いては魔物であっても殺人はダメなのだ。
なのにジジイは知った事かと麻奈に命じたのだ。
「おう! 死ぬのだ!」
っと、麻奈はこれまでで一番早い歩調で目の前のスライムに接近し、拳を叩きつけたのだ。
「よっと」
サッと、目の前のスライムは麻奈の攻撃を完全に見切って避け、べちゃっと顔面にぶつかったかと思うとシュルっと体を伸ばして麻奈の手を後ろ手に締め上げたのだ。
麻奈は思いもよらぬ反撃によろめいて転んだのだ。
「ッ――!」
顔に引っ付いたスライムを剥がそうにも手が縛られて動けない。
いつの間にか縄で手を縛られ、スライムが顔を覆い続けたのだ。
「ッ! ッ! ッ――!?」
息が、息が出来ない! 離せ! すぐに千切ってやるのだ! と息が出来ずにパニックになっている状況でも麻奈は懸命に腕を振りかぶって引っぺがそうとしたのに、まったく何もできなかったのだ。
嚙み千切ってやろう息をしようとしたけど、それも効果が無かったのだ。
く……苦しい。
こんな、こんなスライムなんかに麻奈は負ける!?
そんな事ないのだぁあああああ!
カッとオーラを噴出して呼吸をしようとしたのだけど。
「おっと……」
スライムは引かないとばかりに麻奈の顔をずっと覆っていたのだ。
「ま、麻奈ちゃん!? おい! やめろ! ワシの麻奈ちゃんに何をする!」
「お父さん! 大事な勝負の最中です!」
「知らん! どけええええ!」
と、ジジイと父上の喧騒の声を聴きながら……麻奈の意識はスーッと遠くなったのだ。
……
…………
………………
「ハッ!?」
麻奈が意識を取り戻したのは……意識を失って数分も経っていなかったのだ。
気づいた時には麻奈は寝っ転がっていて、縛られている事も無かったのだ。
「気づいたか?」
「ま、麻奈は負けてないのだ!」
「卑怯なスライムに制裁だ! 喰らえ!」
「お父さん!」
麻奈が起き上がると、ジジイがスライム目掛けて拳を振りかぶって居たのだ。
「……はぁ。困った人ですね。隊長」
ってさも当然のようにスライムは攻撃をされているのに完全によそ見をして麻奈を起こした悪魔に声を掛けていたのだ。
と、同時にブチャ! っとスライムはジジイの拳を受けてはじけ飛んだのだ。
「ふはは! どうじゃ! 身の程知らずめ!」
「お父さん! なんて事を!? ガラーズ!」
父上がジジイの暴挙に声を失っていると……はじけ飛んだスライムが集まって元の姿に戻ったのだ。
「な――!?」
ジジイは再生したスライムに驚きを隠せずに居たのだ。
「何にしてもこれで勝ちで良いんだよね?」
「違うのだ!」
麻奈はそこで幸長が持っている本来の生命力に関して不思議には思わなかったのだ。
そしてスライム如きに負けたという事実が受け入れられなかったのだ。
「三回勝ったら勝ちなのだ!」
「麻奈! 後付けはやめろ! みっともない」
「みっともなくないのだ!」
もはやこの時の麻奈はスライムなんて最弱の魔物に負けたという事実が受け入れられなかったのだ。
この事実を何が何でもなかったことにしたい。
そんな想いしかなかった。
「そ、その意気じゃ! 驚かされたがその生命力も底があるはず! そう何度も再生できるはずはない!」
「……」
ちなみに幸長はどれだけ弾けても再生できるのだ。
それを知るのはもう少し後だったのだ。
「別に三回勝てば良いのなら良いけど、こっちも手立ては認められるんだよね?」
「もちろんなのだ!」
「やれるか?」
悪魔の質問にスライムは頷いたので、二回目の勝負が始まったのだ。
「もう手加減なんかしてやらないのだ! 喰らえなのだ!」
麻奈は今度こそ息の根を止めてやるつもりだったのだ。
スライムには核となる弱点部位がある種類がある。
きっとジジイはその核を潰せなかったから仕留められなかったんだと麻奈も思っていたのだ。
「あー」
ガチャっと……スライムが口を開けたかと思うとそこからライフルが出てきたのだ。
そしてバン! っとスライムは引き金を引くとゴム弾が麻奈の眉間に命中したのだ。
「ふべぇ――!?」
まだ麻奈のオーラが未熟で弾丸を弾けるほどの防御力は無かったからそのまま麻奈は失神したのだ。
やっぱり麻奈は失神してもすぐに意識を取り戻したのだ。
「おおお……麻奈ちゃん……」
「大丈夫か麻奈?」
倒れた麻奈を今度はジジイと父上が抱き起してくれていたのだ。
「いたたた……」
「一体どこからそんな代物を持ってきたんだ! ライム」
「みんなが土産って禁輸品を僕にくれたよ。この前は聖水手りゅう弾もあったから助かったよ。隊長からもお礼を言っておいてね」
「あいつら……」
で、悪魔にスライムは説教されてたのだ。
ライフルは没収されていたようだったのだ。
「麻奈は負けてないのだー!」
ガバっと起き上がり、今度こそと麻奈はスライムに向けて怒鳴ったのだ。
「じゃあ次負けたら負けで良いんだよね?」
ため息交じりにスライムは麻奈に答えた。
「もう負けないのだ!」
どんな卑怯な手だって麻奈はもう負けないのだ!
と、根拠のない自信でスライムを指さしたのだ。
「じゃあ……10分後に勝負開始で僕を捕まえられたら君の勝ちで良いよ」
「余裕なのだ! 今度こそ仕留めてやるのだ!」
「じゃ、10分後に追いかけてね」
そう言ってスライムは跳ねて行ったのだ。
カチカチと時間が過ぎ、10分にスライムはやって来たのだ。
「じゃあ……勝負……開始!」
「とー!」
麻奈は全速力でスライムに飛び掛かったけれど、スライムは跳ねて逃げて道場の裏手に行ってしまったのだ。
「待つのだー!」
この時になると麻奈は半べそをかいてたと思うのだ。
が……麻奈が追いかけた先には……。
ポンと枝のようなものを蹴った感覚と共に麻奈の右足に縄が結びついて、直後……。
「なぁああああああああああ!?」
麻奈は気づいたら木に逆さ吊りになっていたのだ。
まんまと罠にかかっていたのだ。
「これで僕の勝ちで良いのかな?」
「ぐぬぬ……まだ負けてないのだー!」
と、逆さに釣られても麻奈は根性と筋肉で足のロープを解いて着地を決めるのだ。
「あ、ごめんね。もしもに備えていたんだ」
スタっと着地すると同時に先ほどよりも多い縄が麻奈に絡みついて簀巻きにされていたのだ。
「ぬわぁああああああ!? なのだああああああ! ジージぃいいいい!」
最後に麻奈は負けを認められずにジジイに助けを求めていたのだ。
けれどジジイは麻奈を助けようとルール無視をしようとして父上に阻止されて激戦をしているようで駆けつけられなかったのだ。
「ううううう……」
「まあ、これで終わりで良いよね? もうこれ以上付き合うのは大変だし……」
殺さない様にするのは、とスライムが小さく告げて背を向けた所で麻奈は三回、死にかけたんだと理解して完全に心が折れたのだ。
「う、うわああああああああああん!」
で、麻奈は負けた事でその晩はずっと……泣き続けていたのだ。
その翌日……平賀道場で泊ったスライムが人姿となって顔合わせをして、麻奈は相手が本当に歳が近い相手だったんだと理解したのだ。
「麻奈、約束だっただろう?」
「……くううう。わかったのだ! もう乱暴な事はしないのだ!」
ここまでワガママだったけれど最後の部分で麻奈は約束を完全に反故にすることはプライドが許さなかったのだ。
非常に屈辱だったけれどスライムが強かったのは事実だと認めざるを得なかったのだ。
「おい。お前の名前はなんなのだ? ライムって名前なのだ?」
「……えーっと」
その時、スライムは人の姿になった悪魔の男性に顔を向けてどう答えたら良いかと目で会話してたのだ。
「こいつの名前は塩見幸長というんだ」
「幸長……麻奈はお前を覚えたのだ! 麻奈に勝った強いお前を麻奈は尊敬するのだ! よろしくなのだ! また麻奈と勝負するのだ!」
「手の内が完全に見られたし、後は負けで良いよ……」
「うー……」
これが麻奈と幸長の出会いと敗北の記憶なのだ。
それから交流が生まれて色々とあって麻奈は……幸長の事が好きになったのだ。
△
「幸長すごいのだー」
「兄さんはボクのものさ、その点では麻奈さんもライバルだよ」
「ぬ?」
ルード様もお戯れの作り話は程程にしてもらいたいですね。
と、話をしている所で私の携帯端末が鳴り響く。
「失礼します」
私は急いで電話に出ると……電話相手は魔王軍の部下だった。
その部下からの報告に絶句をせざるを得なかった。
「どうしたんだい?」
「……死神のウサギが来日しているそうです」
「ああ、人類の希望を絶望に変えし勇者殺し、魔王城の鉄壁の守りで有名な死神、あいつが来てるのだ?」
「彼女が来てるんだ? 麻奈さんは戦った事はあるのかい?」
「立ちはだかって少し打ち合った後に話をしたら道を譲ってくれたのだ。本気で戦ったらどうなるか……麻奈もわからない化け物なのだ」
「そうらしいね……その件の責任を問われて王城の守りから解かれて辺境警備になったんだったか。彼女が居ればシオンを追い返す事も出来たなんて言う人もいたけれどね」
ルード様がため息交じりに言いました。
「いや……シオンが来ることを見越して父上達は敢えて彼女を厳しく罰して辺境行かせたのかな?」
自分たちを殺させるために……とルード様が仰いました。
……確かに、あの頃の魔王様方は自らの死ぬべき時を見定めているような気配がありました。
それはともかく、職務を放棄したあの魔物が一体どうして日本に来るのか!
忌々しい……あの普段はボケっとしているのに戦いとなると鬼神の如き強さを見せる魔王軍四天王に上り詰めた化け物。
奴が今更なんのようで来たというのか。
「じゃあここに来るのかい?」
「いいえ……向かう先は――」
△
深夜……みんなが寝静まった時間の事……。
ピンポーン。
「誰だ? こんな夜中に……」
何度も何度もチャイムが鳴る。
無視しようかとも思ったけれど、これ以上、無視すると琴音さんたちが起きてしまう。
「どちら様でしょうか?」
「……夜中に迷惑」
あ、琴音さんとシオンが眠そうな顔をして起きて来てしまった。
「はいはーい」
玄関のガラスにはとても大きな……シルエットが写っている。なんとなく魔物っぽい。
その影は非常に大きい。隊長並みに大柄魔物だぞ。
……おかしいな。今夜は満月じゃないはずだけど。
警戒しながら、僕は玄関に近づくとガチャリと勝手に開けられてしまった。
「やっほ~ライム起きてる?」
この声には聞き覚えがあった。
玄関に立っていた巨大な……大きな二足歩行で歩く角ウサギだった。
「十年ぶり~逢いに来たよ。ライム。レイだよ~」
そう、そこには……十年ぶりに再会した戦友であるレイが果てしない成長をして立っていたのだった。
ここまで読んでくださりありがとうございます。




