ありがとう
あなたと初めて話した。。
あなたに初めて恋をした。
あなたに初めて好きと言った。。
あなたと初めてデートした。。
あなたと初めて手を繋いだ。。
あなたは忘れてるかも知れないけど、私は忘れない。。
あなたに初めて抱き締められた。。
あなたと初めてキスをした。。
八回目のデートだった。
あなたは忘れてるかもしれないけど、私は忘れない。
あなたが初めて家に来た。。
あなたに初めてお茶を出した。。
あなたと初めてやった。
あなたと出会って初めての事がいっぱいある。。
こんなにも好きで、好きで好きで大好きで、すごく嬉しい。。
でも………
あなたと初めて喧嘩した。。
あなたが私に対して冷たくなった。。
デートに手も繋がなかった。。
家で少し涙が出た。
私に飽きたんだろうか。。
こんなにも好きで、好きで好きで大好きで、すごく悲しい。
あなたの家に行った。。
あなたは何も言わずに家に入れた。。
あなたは何故か目が赤かった。。
あなたは私を見てすごく悲しそうな目をした。。
私は訳がわからなくなった。。
訳がわからないまま私は帰った。
あなたから電話がかかってきた。
別れよう……………
あなたは言った。
私は答えられず、電話を切り泣いた。
知らぬまに寝てた。。
朝起きて、携帯を見た。。
何も変化はない。。
あなたに電話をかけた。。
返事を言おうと…
電話にあなたは出なかった。。
私はまた涙がこぼれた。
涙をふき、あなたの家へ行った。
話がしたかった。
あなたは家にもいなかった。。
出かけてるらしい。。
私は帰ろうとした。
私の横でタクシーが止まった。。
あなたとあなたの母だった。。
あなたはすぐに車から出てきた。
あなたは私の腕を取り、公園へ連れて行った。
あなたは困っていた。。
私は理由を聞いた。。
あなたは嫌いになった。。
と言った。。
予想した答えだった。。
でも耐えられなかった。。
私はその場で泣いた。。
あなたは手で私の涙をふいた。。
どうして…どうしてそんなに優しいの…
嫌いなら突き放してよ…あなたが好きなだけなのに…どうしてこんなに悲しいの……
私は心の中で叫んだ。
あなたは私を置いてどこかへ行った。。
私は泣きながら家帰った。
部屋に入り音楽を大音量で鳴らした。。
大好きなあなたとの別れ。。
一週間がたった。
私は風邪をひいた。
熱がひどくて、病院に行った。
少しだけ入院した。
私は布団に潜り込んで寝ていた。
熱は三日で治った。
トイレに行きたくなって、トイレに向かった。
廊下であなたの母を見付けた。
会いたくなかった…。
そのまま通り過ぎようとした。。
でも……できなかった。。
病室の患者の名前にあなたの名があった。
あなたの母が私に声をかけた。
私たちが別れたのを知らなかったらしい。。
お見舞いに来てくれたの……
あなたの母は、悲しそうに私に行った。
私は何も言えなかった。
あなたの母は私を部屋に入れた。
そこには、白いベッドに横たわるあなたがいた。。
私はその場で立ち止まった。
あなたが私に気付いた。
驚いた顔をしていた。
元気そうな顔をしていた。
だから…私はただの風邪だと思っていた。。
あなたは私を見て、泣きそうな顔をしていた。
私はすぐに部屋を出た。
あなたの母が私を追って来た。
私を捕まえてその人は、病気なの…と言った。。
私は何の事かわからなかった。。
私はそのまま、またあなたの病室に来た。
あなたはさっきの元気がなくなっていた。
私を…見つめていた。
あなたの母は静かに語り出した。。
私は何も考えられなかった。
あなたは布団に潜り込んだ。
話の内容は…
あなたが病気で余命、後一年という事だった。病気がわかったのは、私と付き合いだして三ヶ月がたった頃だった。
私は思い出していた。
あなたと初めて喧嘩をした時、原因が…
俺が死んだらどうする?
何言ってんのよ、馬鹿じゃない?
あなたは怒ってそのまま帰った。
病気だった……
余命を知っていた?
何それ…
あなたは私の名前を呼んだ。
私は知らぬまに涙が溢れていた。
あなたは私にごめんと何度も言った。
なんで、どうして謝るの?
あなたも泣いていた。
なんで泣いてるの?
わかんないよ…
あなたは私の手を取り、引き寄せ抱き締めた。
私はあなたの胸で泣いた。
嘘
だった。
あなたは私を嫌いになってなかった。
私は嬉しかった。
たとえ、病気で残りわずかの命でも…あなたを好きでいられる。
そう思うと涙がこぼれた。
そして一年半…
あなたは余命より半年も長く生きた。
最後まで笑顔で、私を見つめてくれた。
だから…私も笑う。
これからも…ずっと
ありがとう
ありがとう