エピローグ,ここから始まる物語
間もなく、時計の針は十一時を回ろうとしていた。
棚の上に伏せてあった写真を、そっと起こした。少し色あせたその世界には、三人の人間が写っている。
真ん中で笑う少女の両隣には、青髪の少年と、黒髪の女性。
あれからもう二年。
彼女はなんだか嬉しくなって、自然と笑みをこぼしていた。
──今までも、沢山の思い出をつくることが出来たから──
「ルージュ、時間だよ」
声のした方へ振り向くと、部屋の入り口に青髪の青年がいた。
「うん、わかった今行くよ」
そして一旦閉められた扉だったが、直後再び勢い良く開かれた。
「おいルージュ! いつまでぐずぐずやってんだ? 早くしねーと置いてくぞ」
姿を現したのは、この写真を撮った張本人。
相変わらず、緑色の無造作な髪の毛と、自信に満ち溢れた瞳。
「そんな言い方ないでしょラティス。相変わらず仕事のことしか頭に無いんだから」
「そうだねぇ、この子は好きな女より、仕事を取ったらしいね」
エリザは彼を見ながらにやりと笑う。
「こんな奴ほっといて行きましょ、エリザさん、アイオン君」
「あっ、待てよ。置いていくなって」
「さあ、仕事仕事っと!」
そして四人は今日も、輝く夜の街へ出かける。
──ずっと私達のダリアは続いていく。
これから始まるのは、今もっともシーラカンス島を騒がせている盗賊団ダリアの物語。
あなたにも、近々彼らからの予告状が届くかもしれません。
今までご愛読くださった皆様、本当にありがとうございました。
無事に完結を迎えることができて、私も一安心です。
では、また次の小説でお会いしましょう☆