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【01】
懐かしい夢を見た気がした。あたしの幼い頃の夢……
あまり良い夢とは呼べないものだが。
「んー……ぁれー」
寝ぼけ眼をこすりながら、ベッド脇に置いてあったデジタル時計を
睨む。そこに表示された時刻はジャスト6時。
ちなみにあたしがいつも起きる時刻は、6時半。今から30分後。
つまりあたしは、いつもよりも30分も早く起きてしまった。
「目ぇ……冷めちゃったじゃんかぁー……」
懐かしい夢のせいで、夢見は最悪。
目覚めも最悪。気分は絶不調といったところか……。
このままベッドに潜り続けていても、寝られないことは重々承知
していたので、とりあえず重たい体をベッドから出す。
6月の朝はジメーっとしている。
まぁ、雨が降ってないだけでもマシか。と窓の外の穏やかな
風景を見ながら思う。
あぁ、晴れてるって良いネ。
「今年の誕生日も雨は降らないと良いね……母さん。」
あたしは、ベッドの傍に置いてある銀色の写真立てに向かって
微笑んだ。
そこに映っているのは、夢で見たままの若い頃の母の姿ー……