"绽放"
先生は、切開された僕の腹膜の内側に触れると、次に眼鏡を外して、顔を埋め始めた
無影灯の冷たい光の下で液躰音が、ぴちゃぴちゃとこだまする
僕は、先生が僕の深い所を感じてくれて居るのが嬉しくて愛おしくなり、彼の後頭部を、慈母の様に撫で擦った
麻酔が効いて居るのか、腹部には、ほとんどの感覚が無い
先生の手が触れて居る、その感触が感じられない事が僕にはつらかったが、少しすると麻酔をして居ても感じられるような、身をよじる様な悦びの波が全身に拡がって居った
視れば、先生が、紅い躰液に濡れそぼった僕の臓物───淫靡にぬらぬらと光る肉の管を咥えて、にっ、と嗤って居た
今日は
ここまでにしようか
先生が、顔に付いた躰液を拭きもしないまま、僕に言う
僕が「こんなものだけで」「本当は先生は、満足されていらっしゃない筈です」と返すと、先生は「しかし………」と困った様に笑った
「僕は」
「まだ満足して居ませんよ」
自分の唇を嘗めたあと、続ける
「もっと、僕を悦ばせて下さい」
切開された箇所に両手を差し込むと、僕は無理矢理にそれを左右に引いて、裂き開いた
噎せ返る僕の内側の匂いが、部屋いっぱいに散らばっていく
僕は、「この蜜が」「先生にとって、甘い物でありますように」と思った
先生は瞳を震わせて狼狽えながら、それでも抗え無い衝動に動かされて、少しずつ僕に歩き寄って来た
もう少しすれば麻酔は終わる
本当ならこんな遊びをして居る時間では無かったが、僕も先生も狂った昂奮に突き動かされ、既に後に戻れそうには無かった
平時とは違う、けだものの乱暴さで先生が僕の中へ顔を埋める
麻酔でも隠せないような激しい噛み傷の痛みが、快楽と共に僕の内面で跳ね返り暴れ狂った
先生が顔を離す
視れば、先生はすっかりいつもの物憂げな表情で、口の中ではもぐもぐと僕の肉を咀嚼して居る
僕が、嬉しさに瞳を濡らしながら「美味しいですか」と尋ねると、「まあ」「そうだな」と答える
程無くして、先生は眼鏡をかけて、いつもの顔に戻ってしまった
僕は身を起こすと、まばたきもせずに、先生が僕の躰に付けた不可逆的な痕を視た
「嬉しい………」
先生が、「縫合を始めるぞ」と事務的に僕をベッドに押し倒した




