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The story’s バスの進みち、(バスは決まりなく色んな街、色んな街に進いていて、 バスの窓から色んな場所色んな物語見て語る)  作者: San


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11/13

The story's バスの進みち ( 11 )

三人目は、

通り過ぎる人たちの中から、

特に理由もなく選んだ人だった。


年は四十代くらい。

背中は少し丸く、

服はいつも同じような色味だった。

顔をよく覚えようとしなくても、

歩き方だけで分かる人だった。


私はまず、

その人がどこへ行くのかを知った。

昼前、

駅から少し離れた路地に入っていく。

古い看板のランチの店。

昼どきになると、

近くの工場や事務所から人が流れ込む。

彼はその店で働いていた。


厨房の奥で、

黙々と手を動かす。

油の音に混じって、

ときどき短い返事だけが聞こえる。

笑顔も、

愛想も、

ほとんど見えない。


仕事が終わると、

寄り道はしない。

まっすぐ帰る。

同じ道を、

同じ角で曲がり、

同じ自販機の前を通り過ぎる。


私は何日も、

その後ろ姿を見た。

今日は違う道を選ぶんじゃないか、

そんな期待は、

毎回、裏切られた。


休みの日は、

少しだけ動きが変わった。

昼過ぎに家を出て、

近くの公園へ行く。

ベンチに座り、

しばらく空を見る。

特に何かをするわけでもなく、

時間が過ぎるのを待つみたいに座っている。


そのあと、

スーパーで買い物をして、

また同じ道で帰る。


それを、

何十年も続けているらしい、

というところまで調べて、

私は少し疲れた。

変化がないからではない。

変化がないことが、

あまりにも自然だったからだ。


彼の仕草には、

不思議な癖があった。

歩きながら、

同じ動きを何度か繰り返す。

ポケットに手を入れ、

出して、

また入れる。

肩を軽くすくめる。

足取りは、

もう身体に染みついた道を歩く人のものだった。


仕事帰り、

彼の部屋の灯りがついているのを、

外から何度か見た。

カーテンの隙間から漏れる光は、

温かいはずなのに、

なぜか虚しく見えた。


誰かが待っているわけでもなく、

誰かに見せるわけでもない明るさ。

ただ、

そこに人がいるという証明みたいな光。


ある日、

私はその店でランチを食べた。

豚カツ定食。

特別な味ではない。

でも、

なぜか少しだけ美味しかった。


衣が、

ほんのわずかに軽く、

肉は、

他よりも硬くならない。

理由は分からない。

ただ、

長い時間の中で、

無意識に身についた手つきが、

味に残っている気がした。


私はそれを食べながら、

彼の背中を見ていた。

何も変わらない毎日の中で、

ほんの少しだけ、

良くなっていった何か。


それが、

この人の全部なのかもしれないと思った。


この人を調べても、

劇的な結論は出ない。

悪い人でもなく、

特別に良い人でもない。

ただ、

同じ場所で、

同じ動きを繰り返し、

何十年も生きてきた人だった

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