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空を飛んで自由に生きたい籠の中の僕たち  作者: 月詠


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第一話 見知らぬ音

この作品は、前作「生れることも飛ぶことも出来ない殻の中の僕たち」の続編です。

 恐ろしい轟でピヨはハッと空を見た。

 空は血のように赤く、黒い影となって飛んでいく鳥たちが多くいた。

 どの鳥も南側から西の日の光に向かって逃げていく。いったい何があるんだろう。

 ピヨは何か見てはいけないものが近くにいる気がした。

「何事だい?」

 同じように日の光を受けて、オレンジ色になったルヴナンが、警戒した声でピヨに聞く。視線は空の向こうへ飛んでいった鳥たちに向けられ、ざわめく木々が静かになっていくのを待っていた。

「なにか、いる。みたい」

 ピヨは緊張して、たどたどしくしか言えなかった。

 だが、何かとても聞いた事のない轟が、ピヨ達のいる地面まで響いて伝わっていた。

「危険、なの?」

 アデリーが誰かに聞かれないようにか細い声で言う。

「まだ眠いよ~~」

 緊張感無くポポが、あくびをしながら夕焼けを背に受けていた。

「我慢しなよ。しかし、変な音だったね」

 ポポにツッコミを入れながら、レアールが言う。

 全員がいるのを見渡して、ルヴナンが口元に手を当てて言った。

「移動した方が良いかも、ピヨはどう思う?」

 ピヨも頭をひねってみた。そう、レアールの言う通り、蛇の這う音とも鳥の声とも違う恐ろしい轟だった。

 もし、そんな存在が近くにいるんだとしたら、急いだ方が良いとピヨは思った。

「早い方が良いと思う。僕たちも移動しよう」

 ピヨは低い声で、慎重にみんなに言った。


 飛べない鳥たち、5匹がそろそろと木の下から移動し始めた。

 先頭はひよこのピヨが率先して歩き、後ろからカグーのルヴナン、レア鳥のレアール、ペンギンのアデリー、最後にカカポのポポと言った順番だった。

 ここはしげみの多い広葉樹の森。朝から昼にかけて綺麗な透き通るような葉っぱの光のかわりに、夜は真っ暗になる森でもあった。

 そんな森の夕方から、見知らぬ音を警戒して、ピヨ達は移動を開始する。

 真っ赤な夕暮れ時。日が沈むまでもう少しだろう。

 5匹が卵から生まれて、一緒に行動してからまだ幾日も立ってない日の事だった。

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