バッチ
僕は、家を後にした。その他の家々を見ても、誰もいない。体力的にも疲れ切っていたが正常じゃなかった。今は、取り敢えず安心したかった。気持ちの落ち着ける場所を探して歩き回った、今思えばもっと他にすべき事はあっただろう。いつまた出くわすか不安に思うはず、でも、僕はあの怪物に襲われなかった。その事で本当に変になっていた。ライトを付けずに歩き続けた。空を見上げた。月が見えない、星が綺麗だった。2時間くらい歩いた。少し開けた場所に来た。本当に知らない場所だ。人に会いたい、今まで沢山拒絶してきた。人に会いたい。そこには人が沢山いた。いつの間にか光の中にいた。無意識に明るい方に歩いてたのかも知れない。僕は、少し安心してそこで横になった。そしたらぽっちゃりとした女性が近づいて来て、僕の体の傷を見て手当てをしてくれた。僕は何も話せなかった。その人が何か話していたが、多分ありきたりな事だった。目を覚ました。其処は何かの施設のようで、大きな建物だった。他にも怪我人が沢山いた。僕が目覚めた事を確かめて、ガタイのいい男性が話しかけて来た。2、3確認をしたい君を襲ったのは犬の様な化け物か?。そうです。僕はようやく声を出した。そうか、君の怪我はそこまで深くないから大丈夫安心してくれ。よくあの化け物から逃げられたな。はい。僕を襲ったのは凄く小さかったので、小型犬くらいでした。小型犬?そうか、それは初めて聞いたな。今色んな人から話を聞いているのだが、一つは熊のような大きさの顔がブルドッグの化け物と、もう一つが人並みの大きさの大型犬のような化け物、に襲われたと聞いている。そうか、三匹居るのか。その男性は腕を組み考え事をするかのようにした後頷いた。あの、そのブルドッグは僕も見ました。目が合ったんですけど、横を通り過ぎて行きました。ああ、そうか。そうだな観たなら話してもいいか。そのブルドッグは、意志があるのか、襲う場合と見逃す場合があるみたいなんだ。何故かは分からないが、襲われたらひとたまりもないだろう。そして、大型犬は無差別で襲う。そして今回初めて聞いた小型犬は何か特徴はなかったか?。特徴、僕は少し考えて、何か不気味で凶暴でした。そうか。分かった。話してくれてありがとう。後は、私たちに任せてゆっくり休みなさい。ここは安全だ。いえ、こちらこそありがとうございます。そう言って男性は何処かに向かった。もう大丈夫。本当に大丈夫なんだろうか?何故ブルドッグが襲ってこなかったのか?いや、考えても仕方ない。後は、プロに任せよう。僕は深呼吸して、もう一度周りを見渡した。そうか、皆んな僕が襲われたのよりも大きな化け物に襲われたのか。そこには、四肢の一部が欠損した人も多かった。少しして、ぽっちゃりとした女性が近づいて来た。具合はどうですか?。はい!。だいぶ良くなりました。そうですか。それはよかったです。何か困った事があったら仰ってくださいね。女性はどうやら病院の人みたいだった。はい。少し沈黙して。先ほどはすみませんでした。僕は女性に謝った。女性はきょとんとして、どうして謝るんですか?と言ったので、その、気が動転してて疲れていたのもあって無視してしまって申し訳ないと思いました。大丈夫ですよ。と女性はニコッとした。笑ってはなかった。それから、近くから声がした。あの人、顔は可愛いけど、太ってて残念だよな。命の恩人に対して凄く失礼だなと思いながら、それに対して返せる言葉の技量が無かった。痩せてたらなー。と歳が近そうな男の人が続けた。独り言だと思い聞き流していたらどうやら、俺に話してるようで、なぁどう思う痩せたら絶対可愛いのに。と言われたのであの人は綺麗です。と強く言った。その事にすぐしまったと思ったが。何、気でもあるの?お兄さんと軽口を叩いてきた。僕はもう無視を決め込もうと思っていたら、ごめん、怒らせたよなと男は、深々と頭を下げた。顔を上げてニコッと笑って。真剣な顔になって男は話を続ける。俺さ、初めて人が死ぬ所見たんだ。俺も足を食いちぎられて、本当怖かった。もうここで終わるんだって諦めてた。でも今こうしてる。助かってる。でもさーあの時どうしてたらって事ばっか考えて苦しくなって、そんで、これからどうしていいかも分からなぇ。あれ、なんか泣けてきた。あー。俺今まで軽く生きてたんだ。分かるよ。とだけ僕は返した。