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『それなりの生活』
「偉大な作家が述べた。
『多大な功績を上げるより、
その立ち位置から通常に戻ることこそが、至難である』…と。」
「兄さん、特に世間的には、何も、してないよね…。」
「…まさしく、その通りだ。
で、俺、ちょっと旅に出ようと思う。」
「え!?」
「旅と言っても、マイカーで1週間から10日間くらいの国内旅行♪気の向くままにマイカーを走らせて!」
そんな兄に、僕は言った。
「兄さん、旅先で何かロマンスがあればいいね♪」と。
兄は笑った。
そして僕に言った。
「おぞましいことには近寄らず、俺は他者の幸せが見たい…で、この街では味わえない、驚きと出会えればいいな…。
特に何も無かったとして、
弟よ、
俺は必ず普通に帰ってくるよ♪」