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第1話 クエスト「飛翔スキルの在庫が足りません」

「ちょっと、よく考えてほしい!」

異世界+チートスキル=無限大の可能性……

たしかに、チートスキルという言葉は転生者たちにとって非常であることは間違いない。


例えば、「○○」という激レアスキルをもらう者、「聖剣○○カリバー」・「虹鎧」等の武具をもらう者、反射神経など肉体的に超健康な状態で転生する者、転生後すぐに王族として温かく迎えられるもの等が人気のチートスキルだ。


転生後、温かく迎えられるのがチートスキル? と思う人もいるかもしれない。しかし、「王族として転生する」という事そのものがチートスキルなのである。別にこのチートスキルは転生後の世界で発動するわけではない。その人と転生前に面談して彼らに合う転生スキルを付与しているのである。

ここではチートスキルとは女神から異世界転生をする条件としてもらう全ての物、事、設定などを指す。


そして、チートスキルは全てにおいてプラスの方向に働くのがほとんどである。

例え「野菜を育てる栽培力に特化」しているスキルであっても、土やら草を操りドラゴンを倒すことも可能だ。また、たとえ悪徳領主に転生したとしても、考えを改め改革することで良い領主になることだってできる。

つまり、これらの「異世界あるある」のチートスキルは殆どの転生者が希望するのだ。誰もが夢を見て妄想にふけってしまうほど大人気なのである。


「「しかし! よくよく考えてほしい!」」

天界から転生者それぞれにこのようなチートスキルを付与していくと、「世界を救うというリターンが確約できないのにも関わらず、スキルを渡しているだけ」ということになる。

優しい言葉で言い換えるのであれば、子供が宿題をしないのに先にご褒美であるゲーム等を渡してしまうという事と同義である。

他の例で例えれば、戦国時代で勝利をする前にお酒をもらっているのと似ている。


つまるところ、「出し損」であるのだ。異世界転生者にチートスキルを渡すのは良いが、チートスキルにも限度があり在庫がある。

世界を救える等のこちらから提示した条件をクリアできれば、転生者の往生後に天界に来てもらい回収ができるが、夢半ばで息絶えてしまった場合に関してはそのスキルは異世界にとどまることになるのだ。夢半ばというのは戦死、病死、犯罪をしてしまい処刑された等も含まれる。

チートスキルが異世界に置きっぱなしになってしまい、今後の異世界転生者へ付与するはずであろう在庫がなくなってしまうのだ。


全てのチートスキルは無限ではない、有限なのである。

このお話は天界で生活している俺、「田中将大」が様々な異世界へ向かいチートスキルを回収する物語である。

◆ ◆ ◆

第1話 クエスト「飛翔スキルの在庫が足りません」


天界

異世界研究棟A1内、スキル貯蔵庫管理人室

「1,2,3,4……おっけ、群雄のスキルは足りているな」

俺の名前は田中将大、88歳、天界人である。

お風呂でスマホを充電しながら使ってた俺は、感電死で死んでしまった。

しかし、異世界転生をするためにやってきた天界で、なんだかんだあって異世界転生をあきらめてこの天界で暮らす事になった。

寿命も大幅に伸び今では天界で働いている。

見た目はこの天界に来た時が17歳くらいだったが、50年以上たった今でも見た目は全く変わらない。

天界人の寿命は人間の約10倍である。だから天界人の80歳と言えばまだまだお子様と言ったところで、ファミリーレストランに行った時もお子様ランチを余裕で注文できてしまうくらいお子様な年齢なのである。


そんな俺は今、スキル貯蔵庫の管理人として就労しているのだ。


「スキル貯蔵庫管理人」って何? と思っている人たちに解説しよう。

この施設は図書館のようなイメージをしてくれれば大丈夫だ。まるで蔵書がきれいに並べられており、この蔵書の背表紙に「爆発スキル」だったり「不老不死」などのスキルが保管されているのだ。俺はこの施設の在庫管理を任されている。


異世界転生の流れをおさらいしておこう。

天界に来た異世界転生候補に女神はぴったりの世界を提案する。

転生にあたって希望するスキルを貸与する。

転生後世界を救い往生後、天界に戻ってこれた時にスキルを返却してもらう。


転生者のリターンはこのチートスキルを使用できること、天界側のリターンは世界を救うことが出来ることである。


「1,2,……あ、やべ飛翔のスキルの在庫が切れかかっている」

最近は異世界転生が本当に流行っていて、たくさんのチートスキルを貸与しすぎた。

それに彼らは「スローライフを始めます」だったり「スキルを使って別方面で稼ぐ」ことをしていたり、本当に世界を救うことを考えているのであろうか……。在庫がなくなってしまえば、異世界転生者候補と女神に手間をかけてしまうことになる。


だから俺はスキルを補充しなければならないのだ!!!

「所長、すみません! ちょっとスキル回収してきまーす!」

そういって、自分の周りに魔方陣を作成しその魔方陣の中に突き進む。


「うぃー気をつけろよ!」

所長の声が遠くから静かに聞こえた。

こうして、俺は異世界転生者のチートスキルの残骸を回収するために異世界に向かうのであった。

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