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いつかこの手に幸せを

「次は、これだ」

氷の彫像とも噂されている若き領主が、私の机の上に書類を置いた。

うん。どうやらお疲れみたい。声の調子が少し不機嫌に感じるわ。

怖くて顔を上げられないけど、私は、机の上の書類を眺めながら

「すぐにとりかかります。」と答えた。


レティシアは、書類を見ながら、計算を始めた。計算仕事は得意。

夢の中の日本という国で、そろばんをずっと習っていたから。

私の夢の中には、いろいろな人の人生が詰まっている。

それが何か私には、わからない。ただ、今のこの世界とは

全く違う世界で、でも、ずっと同じ世界の記憶だ。時代は違うけれども。


ここは、日本とは、全く違う世界で、魔法もあるし、魔物もいる。

だけど、魔法があるから、技術は進歩せず、夢の世界でいうと中世ぐらいの生活様式の世界だ。


「何かおかしなところがあるか?」

領主に声を掛けられ、ぼっーとしていたことに気が付いた。

ダメだわ。しっかりしなくちゃ。お給料もたくさんいただいてるし

このおかげで、ずっと暮らしは豊かになるのだから。

私は、再び計算を始めた。今は、収穫期で、収穫高から税の計算、繁忙期だ。


そろばんがあれば、もっと早く計算できるけど、ないので暗算。

それでもこの世界では、優秀らしく、重宝されていると思う。



私が何とか帳簿をつけ終わると、教会から鐘の鳴り響く音が聞こえた。

お昼の時刻だ。

いつの間にか領主は、お付きの従者とともにいなくなっていた。

領主は、仕事人間だから、どこかで仕事をしているのだろうと思った。


そんなことを考えながら、隣を見ると、仕事仲間の文官が必死に仕事を

していた。


「ダンカンさん、まだまだかかりそう?間に合う?」

何といってももうすぐ監査があるらしいのだ。それで、領主をはじめ、みんな殺伐をしている。

「とりあえず、やるしかないよ」

「私、手伝いましょうか?私の分は、終わりましたから」

「たすかる」

ダンカンさんは、安堵した表情で、仕事を渡してくれた。

私も人の役に立てることは、うれしい。

みんなで幸せならば、もっとうれしい。


だけど、幸せになるのは難しい。。。






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