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第九話 やっと聞こえた足音 ※宮内視点
ガタンゴトン…
電車に揺られながら、わたしはスマホを眺めていた。
長いことずっと変わっていなかった友だちの数は、さっき峯田さんが加わったことで更新された。
わたしにとってのそれは、まるで空谷の跫音のようで、嬉しくてちょっと泣きそうになってしまった。
急いで出てきたから、峯田さんには見られてないと思うけれど。
お風呂から上がっても、ご飯を食べ終えても、ラ◯ンの通知が鳴ることはなくて、考えないようにしようということをずっと考えていた。
とりあえず交換しただけだったのかな…
待つのを諦めて寝支度を始めようとした時、ちょうど峯田さんからメッセージが届いた。
自然と顔が緩んでしまう。
わたしはずっと望んでいたのかもしれない…誰かがわたしの故郷へ訪ねて来てくれることを。
わたしはこの日、久しぶりに味わう充足感を抱きしめて眠りについた。
優しい足音が近づいてくる…そんな夢を見た。