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第七話 背中を押してくれた人

ある週末の仕事終わり、俺は柏木を飲みに誘った。


いつもは不快に感じる大衆居酒屋の騒がしさも、今日に限ってはちょうどよかったりする。


今回柏木を呼び出した理由は他でもない。


宮内さんのことで相談に乗ってもらう為だ。


普段から仕事の話ばかりで、恋愛のことなんて、柏木のほうから話されることはあっても、俺の方から話すことはほとんどなかった。


シラフだと小っ恥ずかしくて切り出せそうにないので、さっき来たばかりのビールを一気に飲み干してみる。


「えっ、ペース早!なんかあったの?」


「…実は俺、宮内さんのことが好きなんだ。今日はそのことで相談がある。」


俺はゲップを我慢しながら、単刀直入に打ち明けた。


「なんとなくそうだとは思ってたけど、やっぱりだったか。あの宮ちゃんへの過保護っぷりは異常だもんね〜。」


「やめろ。俺は公私混同はしない主義だ。」


「ふーん?それで、現状はどんな感じなの?」


「ただの上司と部下でしかないよ。今すぐどうこうなりたいってわけでもないし。」


…これから少しずつアピールしていこうとは思ってるけど。


「長期戦でいくんだ?」


「まぁそんな感じだ。それでさ、柏木の彼女って宮内さんと同い年だろ?だから、色々と参考にさせてもらいたいんだ。俺今までタメとしか付き合ったことないし。」


「んー、あいつと宮ちゃんはタイプが全然違うから、参考になるかわかんないけど…例えば?」


「普段ふたりでどんなことしてるかとか。」


「…そんなの決まってるでしょー?」


「いや、そういうことじゃねーよ!」


何が悲しくて柏木カップルのヤラシイ話を聞かなきゃならんのだ。


「ハイハイ、すみませんでした。俺達は向こうがインドアだから基本家でア◯プラ見たり、ゲームしたり、漫画読んだりしてのんびり過ごしてるよ。あー、でもこの前の休みは久しぶりに遠出して、ドライブがてらアウトレットまで行って買い物した後、日帰り温泉入ってきたわ。」


「へぇ〜…案外ノーマルなんだな。」


偏見だが、てっきり今の二十代女子とお付き合いすると、デ◯ズニーをはじめとするイ◯スタ映えスポットにめちゃくちゃ行かされまくるイメージだった。


宮内さんはそういうタイプではなさそうだけど。


「初めてあげたプレゼントは?」


「えっと、なんだっけ?ディ◯ールのピアスだったと思う…多分。」


宮内さんいつもピアス付けてるから、これは使えるな。


「どのくらいの頻度で会ったり連絡とったりしてんの?」


「会う頻度はタイミングによるけど、平均して週に二回くらいかな。一応毎日ラ◯ンはしてるよ。てか、峯はそもそも宮ちゃんのラ◯ン知ってるの?」


あ…そういえば…


「知らない。」


「そっからかよー!これは先が思いやられるわ…」




「柏木、今日は付き合ってくれてありがとな。奢るわ。」


「ラッキー!ゴチでーす。」


「んじゃ、また来週な。」


よし、まずはラ◯ンを聞くところから始めよう…!


「峯!」


「ん?」


「旦那さんのこと、あんまり気にしなくていいんじゃないかな。宮ちゃんはまだ若い女の子だし、旦那さんを想い続けたい気持ちもあると思うけど、やっぱり寂しい思いや将来の不安を少なからず抱えていると思う。そこに強く寄り添ってあげられたら、いつか宮ちゃんは峯を選んでくれると思うよ。それに…」


柏木は目の開きを強くして、さらに続けた。


「俺は峯みたいに優しくないから酷い言い方かもしれないけど、どんな形であれ、宮ちゃんを最後まで守れなかった男にいつまでも遠慮する必要はないんじゃないかな。これはあくまで俺の勝手な意見だから、嫌な気持ちになったらごめん。」


「…そうだな。ありがとう。」




あーあ、また柏木に借りを作ってしまった。

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