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第五話 曇り

歓迎会からしばらく経ったある日。


「ねぇねぇ、今日日食らしいよ!」


「まじ?めっちゃ見たい!何時頃見れんの?」


地下鉄のホームでJKがキャピキャピ楽しそうに話している。


朝から元気だな…


宮内さんも高校生の時はあんな感じだったのだろうか。


「プシュー…ガタンッ」


「あ。」



あーあ。乗り過ごしちまった。


ギリギリだなこりゃ。




ー やっと昼休憩。


オフィスには俺と宮内さん二人きり。


宮内さんは必ずデスクで昼食をとるから、俺も外で食べなくなった。


せっかく同じ空間にいるんだし、何か話しかけるきっかけはないものか。


…ふと、今朝のJK達の会話が蘇る。


これだ!!


本当は全然興味ないけど、話のネタにはちょうどいい。


「今日、日食が見れるらしいね。」


「そうみたいですね。楽しみです。」


「宮内さん知ってたんだ。」


「はい。日食メガネ持ってきちゃいました!」


「俺、見たことないんだよね。それないと見れないの?」


「そういうわけじゃないんですけど、直接太陽を見ると目を痛めてしまうので。」


「へぇ〜詳しいんだね。」


「…主人が天文学者だったんです。それで嫌でも詳しくなっちゃって。」


え…


「…そうなんだ。学者さんなんてすごいね!」


なんなんだろう…この感情は。天気だったら完全に曇りだ。


「ただの天文オタクですよ。」


そう言って、宮内さんは笑って見せた。




俺はそれ以上、会話を続けようとはしなかった。


宮内さんが旦那さんのことを想い浮かべているのが伝わってきて、なんとなくもう踏み込めなかった。


話題のチョイスミスったなー。


ライバルのこと考えさせてどうすんだよ。


でも宮内さんが自ら旦那さんのことを話してくれたのには少し驚いた。


職業だけだけど、情報量が少ないだけに、俺の中での旦那さん像が、どんどん勝手に構築されていく。


確かに知りたい気持ちはあったものの、いざ聞くと複雑だなぁ…


さてと、仕事すっか。

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