7 ポール エンド
「姉様、迎えにきたよ。さぁ、俺の手を取って。」
「ポール?」
シャナと共に私を迎えに来たのはポールだった。
私は促されるままに馬車に乗り込む。
「会いたかった。」
ポールはギュッと私に抱きつく。
「ようやく迎えに来れた。俺はね、ずっと昔から姉様の事が大好きだった。好きで好きで仕方がなかったんだ。ウッド伯爵子息と姉様の婚約が決まった時には絶望しか無かった。
けれど、姉様の婚約が破棄されたのは千載一遇のチャンスだった。
姉様が教会へ入っている間に父や周りを説得して姉様との結婚を取り付けたんだ。もちろん、無理はしない。ファナスタ、僕は生涯一人を愛し抜く事を誓うよ。俺と結婚して欲しい。」
「私でいいの?」
「ファナがいいの。ファナしか居ない。」
「ポール、有難う。こちらこそ宜しくお願いします。不出来な姉でごめんね。きっと奥さんになっても ポールを困らせてばかりだと思うわ。」
「ファナの事ならいつでも困っていたい。嬉しい。」
私達は家族や邸の者達に祝福され、ポールの学院卒業を待って結婚式を挙げ、夫婦となった。
ポールは魔法使いとして優秀だったため、父が隠居するまでは王宮の魔法使いとして働く事になった。
私は変わらず、邸で母とお茶をしたり、刺繍をしたりとのんびり過ごしているわ。
ロン様はというと、やはり聖女様の事が忘れられ無かったようで、聖女様に月一回の面会をしながら未亡人を婚約者に迎えたみたい。
苦しくて辛かった婚約破棄でしたが、いつも私を支えてくれ、側にいてくれるポールが愛おしい。
今は幸せを噛み締める毎日です。
【ポール エンド 完】