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悪魔狩りの魔女  作者: 華井夏目
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10.雪原に悪魔、舞台に魔女

 冷たい風が肌に痛みを伝えて頬を撫でる。(あかり)の髪が風でなびいているのが分かる。肉体強化魔術(ブースト)があるからそれ程感じないが、ここは相当気温が低いのだろう。


 私は閉じていた目をゆっくりと開いた。


 目の前に広がる白銀の世界。近くに並び立つ木々も彼方に見える山々も雪化粧に包まれ何とも幻想的な風景を見せている。


 私は息を吐いた。途端に息が白くなり、雪景色に同化して消えて行く。ここに足跡は一つとしてなく、人影もない。そう、ここはまるで人の立ち入る事の無い禁断の地であるかの様だ。


 ・・・などと、私が独り痛々しい感傷に浸っていると正面方向から動物の様な唸り声がする。


 声のした方を見れば木々の陰から一体の悪魔が姿を現す。タイプは個体数の多い人狼タイプ、体長は目測で二メートル程だろうか。悪魔にしてはやや小振りだが、完全に変異した個体。力も速度もこの前私が殺したあの犬の様にはいかないだろう。


「主はここに来たる。悪しきものよ、心せよ。主は汝の罪を咎める。主は汝の行いを罰する。主は汝に終局を告げる。——」


 悪魔が再び唸り声を上げた。大きく開いた口からダラダラと唾液が流れだし落ちた雫が雪を解かす。そして、足元の雪を撒き上げて悪魔は私に襲い掛かる。


「されど、主は汝を赦す。」


 目の前まで迫った悪魔がその大きな腕を私目掛けて振り下ろす。奴の鋭い爪が光を帯びて私に迫ってくる。瞬間的に感じる恐怖、導かれる死に強張る身体、襲い来る脅威に私の意識は収縮していく——


 私は身を翻した。ほんの僅かに身体を捻り爪の軌道から逸らして腰の帯を体の内側へ。


「魔に呑まれた哀れなものよ、その魂に救済を。」


 そして、悪魔の腕が私の顔のすぐ傍を通り過ぎるのと同時に私は帯を振り上げる。


 悪魔が声を漏らした。痛々しく苦しい声が私の耳元で響く。血を吐き出す音がゆっくりと流れ落ち悪魔は私の隣に倒れ込んだ。確認すると悪魔の身体は胸から肩にかけて切り裂かれ胴体が両断されている。


 だけど、まだ『核』を破壊出来ていない。


 私はすぐに破壊に掛かる。だが、私が核を破壊するよりも早く悪魔が耳を塞ぎたくなる様な荒い遠吠えを上げた。


 片割れの胴体を貫く帯が核を砕き悪魔の身体が崩壊する。でも、悪魔の声は山彦の様に辺りに木霊してしまう。


「・・・Amen.」


 程なくして辺りから唸り声が聞こえてくる。それも、一つだけではない。


 私は周囲を見渡した。すると、木と木の間に無数の赤い光が浮かび上がりゆらりと暗い影が現れる。


 気付けば私は人狼の悪魔の群れに囲まれていた。


 一つ、息を吐いた。瞳を閉じて風を感じて音を集める。そして、再び目を開ける。


 舞い散る雪、重なる咆哮と共に悪魔の群れが私に襲い掛かった。


「花衣・梅花。」


 私の身体は光に包まれ着物を纏う。それによって増幅する魔力を私は帯に流す。揺らめく帯が不気味にうごめき雪を払って目の前に迫る悪魔を断つ。先ずは二匹。


 後方から更に三匹の悪魔が私に接近する。帯の同時展開、二本から四本へ。脅威対象に対して攻撃を開始。私は魔力を帯に供給、帯の結い目から腰の帯に沿って四本の帯を伸長させ、しならせながら後方の悪魔達を攻撃し両断する。


 次は左方三メートルに二匹、うち一匹が腕を上げて振り下ろす。


 私は足を踏み込み跳び上がった。身体が悪魔を飛び越えその上空を滑空する。対象物を失った悪魔の爪は虚空を切り新雪を舞い上げた。


 その悪魔の失敗をカバーする様に後続の悪魔が追撃してくる。私はその悪魔を足蹴に飛び上がり身体を捻って舞い上がった帯を振り下ろした。二匹の悪魔は縦に割かれ見事に三枚におろされる。


 既に七匹。でも、まだ休む暇はない。


 次は下から飛び上がってくる悪魔が三匹、私は帯でくし刺しにしてそれを排除。姿勢を直し私が地面に下りた瞬間に四方から攻撃が降りかかる。四本の帯を螺旋上に回転展開し、文字通り粉砕。立て続けに前後からの同時攻撃。私は先ず前方の悪魔の両腕を切断、次に後方の敵の右足を切除、前方悪魔の核破壊、後方悪魔の胴体を十字に切断し脅威を排除する。


 次は上空からの奇襲。高い位置から振り下ろされる悪魔の腕。私は後方に跳んでそれを回避する。


 だが、見落とした別の悪魔が私に襲い掛かりその爪で私を切り裂いた。


 私は地面に強く叩きつけられ雪に塗れながらゴロゴロと雪上を転がる。ブーストの肉体保護と私の魔法で構築された着物が鎧になったが、真面に受けていたら腕ごと身体が引き裂かれていただろう。


 私は身体に付いた雪を振り払いゆっくりと立ち上がる。そんな私を悪魔達が赤い目を光らせながらじっと見つめている。


 帯を最大展開、八本へ。演算魔術同時展開、ブースト・アップ——


「花帯・桜」


 私は力強く地面を蹴って悪魔の群れに一気に接近する。その最中に私は帯を放射状に展開、低く滑空した私が再び地に足を付けて舞い上がると射程に入った悪魔達を独立した八本の帯が全て両断する。


 その体を、その腕を、その首を・・・


 私の思う儘に——


 私が舞う。返り血が舞う。彼らの遺灰が舞う。彼らの声と共に白銀の世界は赤く染まり、舞い散る白い雪が赤い雨へと変わっていく。


 彼らも必死に反撃をする。だが、それらは虚しく帯に切り裂かれて私には届かない。辛うじて帯をすり抜けても私の着物が彼らの爪牙を通さない。


 でも、これが彼らの——


 私の記憶の限り三十と四匹の悪魔を殺してようやく辺りは静寂を取り戻した。周りには無数の悪魔の死体が転がり、それは次第に灰の様に崩壊して消えて行く。


 私は息を一つ吐く。変わらず私の息は白く、忘れていた寒さを思い出させる。


「そこまで!」


 場外からリンの声が響いた。それと同時に周囲の景色が徐々に変わっていき、元の屋内演習場の姿を取り戻した。


「まずまずね。不測の事態への対処も悪くない。」


「ありがとうございます。」


 私が魔法を解除していつものワンピース姿に戻りながらそう言うと、リンの表情が険しくなり成績表を見ながら怖い声で私に言う。


「でも、油断したわね。最初の悪魔を一撃で倒せなかったのはあまり評価できたものじゃないわ。あれがなければ余計な戦闘をせずに済んだはずよ。」


「はい。すみません、油断しました。」


「油断しないで。死はいつも隣に居ると思いなさい。次。」


 リンは厳しくそう言って私に円形のシミュレーションステージから下りる様に促した。その指示に従ってステージを下りた私は肩を落としてフレンダが居る客席へ帰る。


「お疲れ様、あかり。カッコよかったよ!」


 落ち込んで帰ってきた私にフレンダがそう言って笑みを浮かべる。私はその隣にゆっくりと腰を下ろして彼女に言葉を返す。


「ありがと。ちょっとヘマしちゃったけど。」


「でも、凄かったよ!あれだけの数の悪魔を全部倒しちゃうなんて。私じゃ絶対無理だな・・・」


 私のあの戦闘を見て自分の実力に不安を感じるフレンダに私は「あんな数滅多に遭遇しないから・・・」と言って彼女を励ます。その言葉を聞いて彼女は少し安堵した表情を見せた。


「次!」


 再びリンの声が響く。ステージ上でシスターが再び入れ替わり彼女の言葉と共に次の模擬戦が開始される。次に受けるのはあのエカチェリーナだ。


 シチュエーションは私と同じ雪山、人狼タイプの悪魔。だけど、彼女は早々に祈りの言葉を捧げて自身の魔法で悪魔を瞬殺した。


 その余りの早さにフレンダが思わず声を漏らす。


「流石だね、彼女。」


「ええ、動きに一切無駄がない。最小限の魔法だけで相手を倒してる。」


 フレンダの言葉に私は同意して彼女を称賛する。その間、エカチェリーナは悠然たる態度で客席に帰ってくる。


 何だか、その姿が無性にムカつく。


 知らず知らずのうちに顔が歪む私をあざ笑っているように彼女はいつも一緒に居る友達に笑みを見せて静かに座った。


 始めて見る彼女の笑顔。私と話していた時は眉すら動かなかったあの顔で笑顔が作れた事に私は少し驚く。


 全員のシミュレーションが終わり、成績表を閉じてステージ中央に立ったリンがシスター達に向けて話し始める。


「授業の始めにも言ったように、対悪魔戦闘で重要となるのは、どれほど迅速・正確に核を破壊できるか。核が破壊できない限り悪魔は活動を停止しない。」


 彼女が言う『核』とは全ての生物が等しく持っている魔力炉心の事だ。つまりは魔力を生成している発電機の様な物であり、魔力を溜める器でもある。


 人間、動物、植物に至るまで、全生物の魔力耐性はこの核の大きさで決まり、私達の様な魔女や悪魔が魔法を行使する時は自身の核から魔力を供給している。


 そして、この核は魔力炉心であると同時に生命力を生み出す物でもある。だから、核を破壊できれば悪魔を倒すことが出来る。


 だが、これは悪魔に限らず他の生物も同じで、核が破損すればその生物は絶命してしまう。また、核の衰弱でも同様に絶命する。


 ——ただし、悪魔の核は衰弱する事が無い。


「だから、狩り人は的確に核を特定する観察眼と魔法の精密さを兼ね備えていなければならない。これができなければ悪魔狩りの素質は無いと言っていいでしょう。」


 リンは厳しくそう言う。相変わらずの彼女の厳しい指導にフレンダを含むシスター達の表情が暗くなる。


「だけど、脅威となるのは悪魔だけではなく、時に魔女も脅威となることがあるわ。その場合、貴方達ならどうする?」


 突然のリンの問いかけに演習場が騒めき、シスター達が返答に困惑して言い淀む。まあ、当然の反応か・・・そんな状況、できれば遭遇したくないものだろう。私だって嫌だ。


 だが、余りに返事が返ってこないのでリンが険しい表情をしてシスターを指名する。


「代表してあかり、エカチェリーナ、ステージへ。」


「はい。」


 リンの直々のご指名に私は返事をして渋々立ち上がる。でも、当たってほしくなかった・・・


 なんて私が苦悶する一方でエカチェリーナは無言で立ち上がりステージへ上がった。


「想定として、あかりが魔法を悪用する魔女、その魔女を止める為に要請された狩り人をエカチェリーナとします。シチュエーションは任せるわ。始めて。」


 そう言い残してリンはステージから下りた。そして、機械音を上げてシミュレーターが動き地形が生成される。


 生成された地形はストレガと同じ様な煉瓦造りの街並み。雰囲気のある街灯が並ぶ街路に私達は立っている。


 選りによって犯罪者の魔女か・・・何か、他人事のように思えない・・・


 少し気が乗らないがやらないといけない空気なので、残された私は帯をしならせて地面を抉りエカチェリーナを威嚇する。


 だが、彼女はそれに一切動じない。それどころか呆れた表情を見せる余裕すらある。


 仕方ないと思って私は帯を振り上げ彼女に向けて振り下ろした。


「花帯・桜!」


 大きくしなる二本の帯がエカチェリーナに迫る。すると彼女は、平然とした表情のまま徐に右手を私の方へ差し出し静かに口にする。


天使の円環カリツォー・アーンギラ。」


 その声と共に彼女の周りに複数の光の円環が現れた。それは細い円が何重にも重なった様な形状をしており、まだ昼間だというのに眩い光を放っている。


 更にその円環はその中心に光を集め始め輝きを増していく。そして、その光が集束すると私の帯に向けてレーザーの様な光線を照射した。


 放たれた光線は私の二本の帯に命中し帯を容易く溶断する。いや、それどころか帯越しに本体に対して攻撃を仕掛けてくる。


 私はすぐに後ろに跳んでそれを回避した。瞬間、さっきまで居た場所が光線で溶かされ蒸発していく。全身から冷や汗が滲むのを感じた。


 私は着地と同時に帯を確認する。


 すると、伸長させていた帯が半分以下にまで切り落とされており、溶断された帯の断面が赤く熱を帯びていた。見かけはただの布だが、鋼鉄以上の硬度を持っている私の帯があんな簡単に破壊されるとは——分かりきっていた事だが、やっぱり彼女の実力は確かな様だ。


 私は破壊された部分を修復し再び攻撃を仕掛ける。今度は素早く更に複雑に操りより相手の懐へ。


 ・・・だが、彼女の円環の光線は尽く私の帯を薙ぎ払う。まるでこちらの動きを分かっているみたいに迫る帯を破壊して攻撃を回避している。


 しかも、その間も私に対する攻撃の手を緩めない。私の帯を残らず受け流す一方で、常に私本体を目標に捉えてこちらに光線を向けてくる。


 その攻撃が来る度に私は四方八方に跳んで回避をするのだが、彼女はというと開始からまだ一歩も動いていない。


 これじゃ、こちらの体力が削られる一方だ。いくらブーストで基礎身体能力を上げているとはいえ継続維持にも限度がある。でも、じゃあどうする?何か策を練らないとこのままじゃ惜し負ける。


 そんな私の焦りが伝わってしまったのかエカチェリーナの攻撃が激しさを増した。


 私の攻撃を完全に抑え込み、回避を上回る量の攻撃を私に浴びせてくる。私は咄嗟に『花帯・芒』を展開、帯で防御の姿勢を取った。


 エカチェリーナの光線が降り注ぐ。私はどうにか防御用の帯で円環の光線を振り払おうとするが、彼女の攻撃力は予想以上に強く『芒』でも防ぎ切れない。


 帯を貫通した彼女の光線が私の身体を掠める。ブーストの肉体保護が少しずつ削られていく。


 やばい・・・彼女、本当に強い。


 でも、攻撃を受け続けて一つ分かった。


 あの光線は確かに強いが、私の帯も全く防げないと言う訳でもないらしい。正面から受けても僅かに耐えるし、傾斜が付けば弾くことも出来る様だ。


 なら——


「花帯・芒——芒に雁!」


 私は二本の帯を伸長させ自分の周囲に周回させる。帯が私の周りをぐるぐると回りだし幾重にも重なって身体を包み込んでいく。その姿はまるで、二羽の鳥が飛びまわっている様な幻想的な姿に見える——かもしれない。


 その帯がエカチェリーナの光線を受ける。始めは貫通を赦し私の身体を掠める。だが、次第に重なった幾つもの帯が光線を受け止め、その攻撃の威力を少しずつ弱めていく。


 そして、時間を掛けて何重にも重なり合った帯はあのエカチェリーナの強力な光線を何とか封じ込める。


「そこまで。」


 ここでリンの制止が掛かった。途端にエカチェリーナの攻撃を止めて澄ました表情を見せる。


 私も彼女に釣られて身体を包むボロボロの帯を収縮させると、役目を終えたシミュレーターがその機能を停止し元の演習場の姿を映し出した。


 コツコツと少し威圧的な足音を立てて再びステージに戻って来たリンはこの上なく不機嫌な顔をして私達に言う。


「二人ともふざけてる?」


 その言葉に周囲がざわつく。みんなリンの言葉の意味が理解できない様子で「何で?」といった言葉がどこからか聞こえてくる。


「間違った事はしてませんわ。」


 肩をすくめたエカチェリーナがリンに反論をした。その態度を見てリンは腰に手を当て、呆れた声で言葉を返す。


「ええそうね。バチカン条約、第七条『魔女が魔法を悪用し罪を犯す危険因子となった場合、即座に人権をはく奪し当該者を討伐の対象とする。』。だから、あなたの行動は正当と言えるわ。」


「でしたら、何が問題だと言うんですの?」


「あなた、手を抜いたでしょう?」


 それを聞いたエカチェリーナが表情を変える。目つきが鋭くなりリンを睨みつける様に見つめる。


「『躊躇した』ではなく、単純に『手を抜いた』。それは何故?」


 リンにそう尋ねられエカチェリーナは再び肩をすくめてあっさりとした口調で答える。


「この(わたくし)の力を見せる必要があると?」


 彼女の言葉にリンの表情が更に険しくなる。その姿に私は背筋が凍る様な感覚を覚えた。


 でも、表情が険しくなったのはシスター達も同じでエカチェリーナの挑発にも等しい発言に全員が引いている。・・・彼女の友達以外。


「あかり、それはあなたもよ。弁明は?」


 リンの威圧の矛先が今度は私へ向けられる。いや、確かに私も手を抜いて戦ったのは事実だ。言い訳しようもない。でも——


「エカチェリーナが手を抜いていたのは目に見えて分かったので、私も手加減をしただけです。そんな相手に全力で答えるなんて、なんか馬鹿みたいで・・・」


 それを聞くなりリンはため息を付いた。そして、冷たく私達に言う。


「全員、今日中に対魔女戦闘の重大性と危険性をレポートにまとめて提出しなさい。以上、解散。」


 終了の鐘の音と共にリンはこの場を立ち去った。


 残されたシスター達。皆一様にリンの予想外の発表に動揺を見せつつも次第にそれぞれ散っていき、リンから突然出された課題に文句を口にしながら演習場を出て行く。


 その中にはそうなった発端の私とエカチェリーナに厳しい目を向けてくるシスターもいて私は少し心苦しかった。


「あかり~!」


 そこへフレンダが声を掛けてくる。彼女は変わらずの優しい笑顔で客席から私に「次の教室行こ~?」と言った。


 私は置きっぱなしの自分の荷物を取りに客席に戻ってノートや筆箱を片付けて荷物をまとめる。すると、フレンダが突然私に尋ねる。


「・・・ねえ、あかり。本当に手加減してたの?」


「ん?どうして?」


 私がそう質問を返すと彼女は首を傾げて言う。


「だって、あかり結構必死そう見えたから・・・」


「あー、確かにそうだったかもね。・・・でもまあ、手を抜いてたのは確かよ。現に着物を出さなかった訳だし。」


 フレンダにそう言って私は真相をはぐらかす。彼女はその反応に対して「そうだけど・・・」と納得いかない声を漏らした。


 ・・・言える訳ないよね。元男だからあの姿が苦手だ、なんて。


 それにあれは・・・・


 そんな事を話しながら他のシスターと同じように私達が演習場から出ようとした時、私はエカチェリーナから刺さる様な視線を感じた気がした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。中々読み応えがありました。次回も楽しみにしてます!
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