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8話 共犯者

手を握りしめて宣言する私をまんまるくなった瞳でツバサは凝視している


「そんな事…できるわけ…」


「出来る、出来ないじゃない!やるのっ!!」

否定的な言葉に被せるようにミライは叫ぶ


「どうせ、諦めたところで、世界の強制力に無理やり動かされるんだもん!!

だったら自分から動く!!ただ流されて行くなんて私は嫌だよ!知っていて、出来る事があってそれを見てみぬふりなんて!絶対に、嫌だよ……!」


「園田さん…」


「きっと大変だよ、いくら、皆を助けるためでも、その為に嘘をつく事もあるだろうし、もしかしたら誰かに恨まれることもあるかも知れない。人を、誰かの運命を、思い通りにしようなんて、きっとそれは良くない事だと思う。でも、それでも。私は助けたいし、最高のハッピーエンドを目指したい。だから」


「園田さん…」


「私の共犯者に、なってください。」


真っ直ぐツバサの目を見て告げる


黒い瞳に真剣なミライの顔が映っている。



「……園田さんが園田さんで良かったなぁ」


ツバサは困ったように微笑む。


「うん、やろう。ふふ、共犯者かぁ、ふふ」


小さく笑うツバサの顔は何処か晴れやかだった。

それを見てミライもなんだか嬉しくなる。



〜〜〜



今私達は、カラオケボックス程の個室に居る。


軍学校には勉強会をしたりする為の個室があり、申請すれば生徒は自由に借りることが出来る。

ここならば人目につかないので心置きなくこれからの作戦会議が出来るのだ。



机の上にはジュースとお菓子を広げている

ノートとペンも勿論用意している。

準備はバッチリだ。


「よしでは第一回ハッピーエンド大作戦会議を始めます!」



「えぇ何その名前ェ、、」


ツバサはドン引きした目でこちらを見てくる


「なによー?、じゃあ何か案出してよ」


「え、いゃ別にそのままでもいいけど」


モゴモゴと落ち着かないようなツバサに怪訝な目を向ける


「もう少しこっち来たら?」


横に長いソファーの一番端で居心地悪そうにしているから声をかける

「え、!う、うん」


ちょっぴり移動したけどほとんど変わってない。


「?そこじゃ遠すぎない?」


なんとか横に来てもらうが、なんだか挙動不審だ。


もじもじと頬を染めてこちらを伺うツバサに、察する。


「…ウブすぎない?イチローさん時代も足したら、結構歳とってますよね?」


「ぅぅ、ごめんね気持ち悪いよね、でも僕女の子と個室で二人きりとか初めてだし、、」


頬を染めるツバサに思わずため息がでる



「そんなことではこれからハーレムを作ってもらうのに、困るよー」


ミライの零した言葉に


落ち着こうとジュースを飲んでいたツバサは吹き出した。


「ブー!!、げほげほ!?ぅえ?今なんてぇ??!」


「ちょ、汚い、、」


「あ、ごめん」


「こほん、では説明するね」


零したジュースを拭いてけほけほと咽ていたツバサが落ち着いたので

話をもどす


「まず、このハッピーエンド大作戦には、ツバサハーレムが絶対に、必要なのです!」


「はいっ!」 

勢いよく手を上げるツバサに指を指す


「なにかなツバサ君?」


「何故か聞いても?」


「ふむ、ではこちらを見てくれたまえ、」


作った口調でノートを指差す


「女の子の名前?だよね」


そこには

5人の女の子の名前が書いてある


名前、それからその横に説明文と言う感じだ。


ヒロイン1


リリン

猫耳メイド

幼少期に盗賊に奴隷として囚われていたのを、主人公に助けられて、

主人公のメイドになる


暗殺術を仕込まれているので強い

主人公に、惚れている。


「何これ?」


ツバサはその一つに目を通して、胡散臭そうな目でミライをみる


「心当たり無い感じ?」


「いや、無いよ!何これ?幼少期に盗賊から助けたとか書いてあるけど、子供がそんな事できるはずないよね?!」


「うーん、やっぱりちょこちょこ変わっている感じなのかなぁー」


本来であれば、

ツバサが6歳の時に、森で遊んでいたらたまたま、連れ去られるリリンを発見して、そして盗賊から助け出す


勿論、子供のツバサが盗賊に勝てるわけは無くなんとか隠れて連れ出そうとするのだがバレて殺されそうになる

だが、そこに通りかかった、老剣士が

間一髪二人を助け出してくれるのだ


そしてリリンは助けてくれようとした主人公に惚れてメイドになり


主人公はその老剣士の強さに憧れて

弟子入りする。


補足として猫耳や犬耳の人間がこの世界には存在している。

獣人と言うわけではなく。

魔物に対抗しようとして生み出された、

人間の出来損ないと言う扱いであり

耳付きと呼ばれている。


動物と人を掛け合わせて、身体能力は上がったが、魔法は、全く使えない失敗作。

人との交配可能で生まれてくる子は耳付きと普通の人半々。


耳付きは差別されていて良く奴隷に、されていることが多い。



「耳付きはわかるよね?」


「え、うん。それはわかるよ、一応16年間この世界で育ってきてるわけだし、最初はびっくりしたけどね。」


「そうだよね、そういう意味ではこの世界の事はツバサ君の方が詳しいかもね。」


「うーん、まあそうなるかなぁ」


「あ、ところでツバサ君って老剣士に弟子入りとかしてないの?」


「いや、無い無い、僕本当そういう野蛮な事には全く関わりないし! 剣術なんて全くできないよ!」


ブンブンと振られる首にミライはさらなる疑問を口にする


「一応、その老剣士イベント?ってツバサ君のおじいさんの差し金なんだけど、なんかそう言う心当たり無い?、 

本来なら復讐の為にツバサ君に戦闘訓練受けさせている筈なんだけど、、」


「あーなんか昨日そんな話してたよね」


「うん、と言うかツバサ君のおじいさんってどんな感じ?」


「んー、あのさその、お祖父様の話って本当なんだよね?、正直ちょっと、園田さんの言うお祖父様と僕のお祖父様ではかなり、齟齬があるというか、、正直別人の話に聞こえる。確かに僕には両親は居ないけどさ。でもそれも強盗に襲われて亡くなったって聞かされてて、、」


「あーごめんね、昨日家族の話無神経にしちゃったもんね。そのおじいさん、どう違う感じなの?」




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