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7話 世界の意思

ふと頭に浮かんだ考えはスラスラと口から出ていた


「これは、私の勝手な考えだけど、きっとストーリーは多少のズレが合っても、ほとんどその形に沿って進んで行くと思うんだ。」



「何故なら、少し結果は変わってしまったけど、実際にヒロインが絡まれるイベントは発生したし、助ける相手は変わったけど。それはストーリーの強制力というか、そういうのがあって無理やりストーリーに沿うように出来てるんじゃないかと思う、それになんで私がこの世界に来たのかも、それすら強制力が働いた結果なんじゃないかと思った。」



ゴクリとつばを飲む音がして、

ツバサはミライへ問う


「それはなんでそう思ったの?」


「きっとツバサと言う主人公をハッピーエンドに導くために、この世界に呼ばれたんじゃないかな?、まあ勝手な想像だけど」


そうあり得ない話ではない


何故主人公に何も知らない田中一郎が生まれ変わったのかはわからないが

それによって色々と物語の進行に問題が起きた。



そして小さな事であれば強制力で歪んだ形で、なんとか取り繕って来ていたが

いよいよ、アニメ本編が始まるにあたってどうにもならない程の歪みが生まれて



その結果なんとかストーリー通りに進めるために、園田ミライとしてこのアニメのファンであり設定を知っているワタシが世界の意思に呼ばれたのだとしても何もおかしなことはない。



ピースがカチリとハマったような気がした。


「と言うわけだけどもツバサ君はどう思ったこの話を聞いて、」


「う〜ん、いや、納得は出来るけども、でも実際じゃあ主人公やりますとは、ならないかなぁ、、大体僕に戦いなんて無理だし。というか人工精霊とかもなんかそんな気はしないっていうか、、」


「まあ、いきなりだもんね。それに今の話だって、私の妄想だしね、それこそ、アニメとは似ているけど別物の世界だって事も、あり得るわけだし」


空になったお皿を眺めながら、食後の紅茶をすする


「それに、まだ時間は有るわけだし。まずツバサ君が特別クラスに編入しないことにはストーリーが進みよう無いし、それは私にはどうする事も出来ないしさ」


そう問題はそこである


今のツバサ君はただの通常クラスの落ちこぼれ

しかもフリでは無くて本当にそのまま落ちこぼれなのだ。


ヒロインイベントも取りこぼしているわけだし、もし絡まれているのを助けようとしても、今のツバサ君では無理だろうと、



「そろそろ出ようか?」


静かになったツバサに声をかける

「うん」


色々と考えているのだろう、眉間に皺を寄せて唸っている

少し人相が悪くなっているが

その顔はアニメで見知ったツバサに似ているなと思い、苦笑する


「とりあえず、今日はこの話は一旦保留で、また明日の放課後も時間取れる?

ちょっとまだ聞き足りないこともあるし」


「あ、うん大丈夫。あ、寮の近くまで送るよ。」


「ありがと」




〜〜〜


世界の強制力が本当にあるんだと

次の日私達は理解することになる




「特別クラスへ編入ですか?」


朝早く先生に指導室に呼ばれて、そう告げられた。


隣には真っ青な顔のツバサがいる


「待ってください!

私達の実力では到底無理です!

何かの間違いでは?」


「あー、まあそうなんだがな」


先生は気の毒そうな顔をしている


「…推薦…ですか」


「そう、とある方からのな」


「その方とは?」


「悪いが答えられんな。あーはっきり言うがこれは君たちに拒否権は無いから、観念してくれ。」


本当に申し訳なさそうに先生は言う


「これ、ネクタイと書類な、とりあえず今日は、休みで明日から特別クラスに行ってもらうからそのつもりでな」


「おら、ツバサ・ブラウンしっかりしろ」


隣で真っ青で震えているツバサは一言も発しない

今にも倒れそうである。

先生に肩を叩かれて、ビクリとするがまたすぐに震えだす


「先生、ツバサ君の書類とネクタイも私が預かります。」


「おー悪いな。園田。じゃあ俺は授業行くから、ついでにブラウンも送ってやってくれ。」



 




震えるツバサの手を引いて誰も居ない中庭のベンチに腰掛ける


「始まっちゃうね、、」


ビクリとしてツバサはこちらに瞳を向ける

「うっ、、」

ボロボロとまた涙を流し始める


本当に泣き虫だなとミライは思う



ツバサが泣き止むまで空を見上げる


ああ空は何処の世界でも変わらないなぁなんて思いながら、隣の泣き声に耳をすます


スンスンと鼻を啜る音に目をやれば

なんとか泣き止んだツバサが居た。


「…本当に、僕が主人公、なんだね

「うん」

「戦わないと、皆死んじゃうんだよね…」

「うん」

「戦っても、死んじゃう人も、居るんだよね、」


「……」

何も答えられなかった。


そうストーリー通りに進めるのなら、何人かは必ず死ぬ。

私はアニメでそれを見てきたのだ。


「そんなの…嫌だよ…ぅっ」


そう言ってまた泣き出すツバサを見ていると、

湧き上がってくる気持ちがあった


「…ない」


「ぐすっ…?…っ何?」


「死なせない!!」

そしてそう叫んでいた


そう私だって、アニメで死んでいくキャラクターを見ていた。 

悲しかった

死んでほしくなかった。


あの時は見ているだけしかなかった。




でも今は違う!

この世界に私も、居る!

それにストーリーだって知っている!


そうだ、強制力は確かにある!

でも小さな事なら変えられる、そのはずだ!


だから


驚くツバサの手を握りしめて宣言する


「絶対に、仲間は、家族は、大切な人達は死なせない!、私の知識で必ず!だからツバサも私を手伝って!!私にもハッピーエンドにも主人公が必要なの!」


「一緒に頑張ろう!!最高のハッピーエンドを迎えるために!!」




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