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5話 オーマイゴッド

ふと自分の意識が浮上して、周りを見渡した時の事は今でも覚えている


洋風の室内にはメイド服と呼ばれている物を身にまとった女性が二人居た。


ふと、こちらの視線に気づいた女性が一人近づいてきたのだが、その姿に慄く。


巨人だったのだ。

自分よりも遥かに体の大きい女性に抱きあげられて、ひっと声をもらした、はずだったが、

自分の口から出たのは

泣きわめく赤子の声だった。

「あーよしよし、坊ちゃん、大丈夫ですよ?お腹空いてしまいましたか?」


泣くのが止まらない自分に戸惑っている間にも女性は私の体をまさぐり、色々と確認しているようだった


「うーん?おしめはまだ大丈夫なようですね。よしよし、良い子ですから泣き止んでくださいませ」

ゆらりゆらりと揺らしながらもう一人の女性へと声をかける


「アンリエッタ、ミルクの用意を」

「はい、和子様」


その後はミルクを飲まされてそのまま次に気がついたらまた少し時間がたっているようだった。


(赤ん坊になっている?ひどい夢だ)


夢だと思い、やれやれ早く目が覚めないかと思案する。


それから3日経ちどうやらこれは夢ではなく、自分が赤ん坊になっているのだと、理解する。


理解したからと言って、納得できるかと言えばそれは別問題だが。


今は周りに誰も居ない。

一人広い部屋のベッドに寝かされている




この状況に至るまでの記憶をなんとか思い出そうと頭をひねっていると、珈琲ショップで買い物をした事を思い出す。


いやはや注文一つするのも、大変だったなと冷や汗をかく

呪文の様な名前のトッピングやサイズも日本語では無かったので、大分無様な有様だった筈だ


店員さんは優しく微笑んでいたが内心はわからない


(そうだ、珈琲を買って、、買って、それから?それから、。)


店を後にしようとしていた筈だ。

そこまでははっきり思い出せた。


その直後?



思い出そうとして一郎はじっとりと全身に汗をかいている自分に気がついた


心臓がドクドクとうるさい


そうだ、あの後


(すごい音がして、、爆発か? そして最後に見たのは、、)  


一郎が最後に見たのは、自分へと降り注ぐ瓦礫の破片だった。


(私は死んだのか?、、そして生まれ変わった?)


何故か今の体は精神との連携がとれていない様で、一郎のショックにひきづられるように大声で泣きわめく。


その声に、部屋へとやって来たのは今まで見たことのない人物だった。


厳しそうな面差しの白髪の混じった黒髪を後ろへと撫でつけた初老の男。


「…」

ぎょっとして泣くのも忘れてその男をまじまじと眺めていると

男も無言で自分を見ていた。


「…」


暫く無言が続いたが、男の後ろから明るい声がした

「おやまぁ、大旦那様がお祖父様だとわかるのかしらねぇ!坊ちゃんたら、普段はなかなか泣き止まないのに」


弾んだような声で姿を表したのは、よく世話をしてくれる

くすんだ黒髪をひっつめてお団子にした

和子と呼ばれるメイドだった。

年は40代と言ったところか。


そして一郎に手を伸ばし抱き上げると、その男に押し付けるように渡したのだった


「ほらほら、大旦那様抱いてあげてくださいな。」

「むっ!」

(ひぇっ!)

ぐんっと眉間に皺を寄せた男だったが、受け取る手は優しく、壊れ物を扱うかのようだった。

(あ、なんか落ち着く、かも?

この人が私のおじいさん?)


なんだかホッとして、にこりと笑みが浮かぶ。


すると男は眉間の皺を緩めて、ほんのりと優しい色をその瞳に浮かべた。


「あらあら、ごきげんになっちゃって!まあ珍しい!お祖父様が好きなのかしらねぇ」


ニコニコと言う和子の声に

「うむ」

と男は言葉を返す。


(そういえば両親は、どこだろうか?)


一郎は疑問を浮かべる


まだ3日ほどだが、会った事のあるのは、アンリエッタと呼ばれた若いメイドと和子とこのおじいさんだけだ。


ニコニコとおじいさんを眺めていると、

頬を指でつつかれる

(わぁくすぐったいなぁ)


体はその感覚にキャッキャと笑い出す


(怖い人じゃ無くて良かったなぁ)


一郎は優しく何度も頬を突かれながらそんな事を思った



暫く頬を堪能してか、男は去って行った。


その後は和子さんにミルクとおしめを世話されてまた寝かしつけられる



また一人になった部屋で一郎はこれからの事を考えるのだった。



それから、なんだかんだと月日が過ぎて、判明したのは

やはり男は自分の祖父で

名は、源一郎・ブラウンと言うらしい。

そして自分の名前はツバサ・ブラウン

と言うみたいだ。

それなりにお金持ちの家みたいで、使用人もそこそこいるようだ。


話し言葉は日本語なのだが、ちょこちょこと見かけるようになった大人達は、多種多様な人種に見えた。


それに奇抜な色の髪色の人たちも度々目撃した。


わかったことはそれだけでいまだよちよち歩きの赤ん坊ならばこれが限界である。


2日に一度は顔を出す祖父は、優しい眼差しではあるが特にお喋りをするわけでもなく、頬をつついたり、抱き上げてみたりとするだけで特に情報らしい情報は得られない。


ただ、一つ憶測だが言えるのは、自分に両親は居ないのでは?と言う事だった。


生まれ変わって半年程が過ぎた、

一郎改めツバサは

今度はちゃんと生きようと決意を新たにしていた。


(せっかく生まれ変わったんだ!両親は居ないみたいだけど今度はちゃんと家族を大事にして友達も作るぞ!、、そして自分もいつかは家族を、持ちたいな。)



それからは、日本と、違い魔法や魔物、 など非現実的な物や元日本人の常識とこちらの常識の違いに頭を悩ませながらも、スクスクと育ち、

お祖父様や屋敷の者たちとも良好な関係を築いて、魔力適正が発現して、軍学校に通うことになるのだった。




〜〜〜



「あーまあ大体は理解できたよ、、、」


かなり端折られては居るがツバサの話を聞いて、ミライは頭を抱えている。


「えと、とりあえず大分話こんじゃったね、あの一度着替えに戻らない?」

ツバサが起きてからすでに時計の針は二度まわっている。

18時過ぎを指す時計に目をやりツバサがそろそろ一度戻らないかと、提案する。



それにミライも頷いて、お互い一時解散となる

「う、うん。じゃあまだ話足りないし確認したい事もいっぱいあるし、着替えたら外の店で集合で良いかな?」



学園の中には食堂以外にも食事が出来る店がいくつかある


一応校舎外なので皆外の店と呼んでいる。

喫茶店やファーストフード店の様な店だ


食堂の方が値段は安いが、晩御飯は外の店で食べる生徒も多い。



一度寮に戻り私服に着替えるとミライは、外の店へと向かった。


(あ、もう来てる。はや)


ツバサは制服に着替えてすでに待っていたので早足で近づく。


「ツバサ君、待たせてごめんね、」


「え?あ、私服に着替えてきたんだ?大丈夫僕が早すぎただけだし。寮まで戻ってたなら時間かかっても仕方ないよ」


「ツバサ君は寮に、戻ってないの?」

「うん、制服でごめんね。」


「え?別にいいけど、こっちこそごめん」


じーっと見てくるツバサに少し居心地が悪い

「どうかした?」


「え?いやその、私服だと雰囲気変わるね、あはは、に、似合ってるよ」

「あ、ありがと?。…とりあえず店はいろか?」

なんだか変な雰囲気になりそうだったので、とりあえず店の中へ促す


「あ、うん。何か食べながら話そうか。」


食事を頼んで奥の席へと向かい、ツバサと向かい合った。


「こほん、えっと色々と質問しても良いかな?」

咳払いをしてそう告げると、キラキラした目でツバサが答える


「もちろん、なんでも聞いてくれて良いよ。僕で答えられる事なら、だけど」

へニャリと笑う顔にミライは複雑な心境になる


(あー、マジで中身が違うだけでこんなに別人になるんだなぁ)

今のツバサにアニメのツバサ・ブラウンの面影はない

同じ顔形でもこうも、変わるのかと

内心思う。

「あ、そうだ。僕からも聞きたいんだけど、それは大丈夫?」

ツバサが少し不安げに聞いてくる

「うん、こっちも答えられる事だけなら」


「あの、じゃあ園田さんは、転生する前はどんな人だったの?」


「え?私、私は、、?」


そこまで言って、頭が真っ白になる


思い出せないのだ

名前や歳を


それ以外なら思い出せるのだけど。

何故か名前や歳には靄がかかったかのように思い出せない。



(あれ?あれ?なんで。)

ぎゅうっと手を握るとツバサが焦ったように声をかけてくる


「あ!ごめん。話したくないなら別に大丈夫だから!」


「あ、、ちがくてその、別に話したくないわけじゃないの。あー元日本人の女で多分成人はしてたと、思うんだけど。」


端切れが悪くなる言葉にツバサは複雑な顔でこちらを見ていた

「大丈夫?」


「あ、大丈夫、大丈夫なんかあんまり思い出せなくて、」


「無理しないで、」

心配そうな顔でこちらを見るツバサに申し訳なくなる


「あははほんと平気だから」


とりあえず覚えている自分の死んだときの状況を話すことにする


「え?、園田さんは生まれ変わったわけじゃないの?」


「うーん、多分ね。だって私が自分の意識持ったのってほんとに今日の午前中だし、それまでの記憶は探ればわかるけどなんか他人目線で映像を見てるみたいな感じなんだよねー」


「へえーそうなんだ。不思議だなぁ」

まじまじと不思議そうにツバサはミライを見ている


「そんなに見られると恥ずかしいんだけど」

そう言うとツバサは顔を真っ赤にして慌てる

「わぁ!ご、ごめん!」

「ほんとツバサとは全然違うなぁー」


ポツリとつぶやいた言葉に目の前のツバサは怪訝そうな顔をした


「えと?ツバサと違うって、どういこと?」


「え、だって全然違うじゃん、イチローさんって。ツバサっぽく振る舞ったりしないし」


 

「?」

「だって、もし自分が主人公になれたら少しは真似したりしない?」

疑問を投げかけてみるもツバサは頭に疑問符を浮かべていた


「主人公って、どういう意味?」


その本当に意味がわからないと言う顔を見て、色々感じだ違和感や、疑念が濃くなる

もしかして


「あーその、オワセカって知ってる?」


「なにそれ?」


本日3度目

ピシリと固まってしまうミライであった



色々と感じてはいた。

何かがおかしいと


まあツバサの中身が転生者と言うので納得できた部分もあった。

ストーリー知ってても中身が違うなら少しは流れが変わるのも仕方ないかなーと


しかし

まさかのアニメ知識ゼロとはどう言う事!?

だって主人公だよ?

しかもその主人公がこの世界の運命を左右するのに!?


固まるミライの頭の中は今や大荒れだった。



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