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3話 なっなんじゃこりゃー■

挿絵有ります。

ご注意ください

昼休みが終わったので、ジャージに着替えて校庭に来た。

すでにほとんどの生徒が集まっていて

その中に黒髪が見えた。

ツバサだ。


(この世界ってアニメだけあってカラフルだよねー)


クラスメイト達の髪を眺めてそう思う 


黒髪黒目は特別珍しいわけではないけどうちのクラスには少ない。


ミライは焦げ茶のボブヘアーだ。


(うーむ、なんでさっき来なかったんだろ?、もしかしてここは私の知ってるオワセカでは無いのかな?)


でも助けた相手は違うけどヒロインイベントはあった


それともまた別の日にイベントが起こるんだろうか?


ぐるぐると頭を悩ませていると先生が手を叩く


「あー、全員揃ったか?委員長!点呼!」


「はーい!」


〜〜〜


点呼が終わると、二人組を作るように言われた。


(よしっ、これはチャンスでは?)


ツバサを近くで観察する為にペアになるのはなるほど良いアイデアだと思って、声をかけることにする


「あー、ツバサ君?私と組まない?」


「え?」

キョトンと目を開いた彼は間抜けな顔に見える

(うわ、アニメでは見たことない顔!)


ツバサはキョロキョロとあたりを見回して、自分の顔に指を指す

「えと、僕に言ってるんですよね?」

挿絵(By みてみん)



(ん?)

へニャリと眉を下げて困ったような顔をするツバサに、ミライはピシリと固まってしまう


(ぼ、ぼくぅ!?え?ツバサって一人称俺だよね??!僕って言った?!しかも何この情けない顔!!) 


だがいつまでも固まっては居られない

「えと、うん。ツバサ君に言ってる。

あの、駄目ならいいんだけど、、」


「あー、いや駄目とかじゃないけど、あのーそのーえーと君」


「あ、私園田、園田ミライ」

「あーあはは、ごめん。園田さん、僕たちって話すの初めてだよね?」


記憶を探ってみるけど、ミライとツバサの絡みは今日が初めてだ

「う、うん。そうだよ、」

「だよねー?なんで僕と?」

「え?いやーなんとなく?」

焦ってまともな返しができなかった


少し怪訝そうな顔を、したツバサだったが結局了承してくれた。


「うーん。まあいいけどね、よろしく園田さん」

周りも着々とペアを作っているみたいだ。

全てのペアが決まるのをとりあえず座って待つことにした

ちらりと横のツバサを盗み見る


(なんか、おかしい、、演技?アニメでも落ちこぼれのフリしてたわけだし、)


アニメのツバサは、一人称は俺だし

もっとぶっきらぼうな感じだ。

例を上げるともし、アニメそのものだった場合ツバサをペアに誘うと

「はぁ?なんでアンタと俺がペア組まなきゃならないわけ?まあどーしてもってんなら考えないでもないけど、」

となるはずなのである。


それか

「はぁめんどくさ、仕方ないからペア、アンタとでいいよ。」

こうなるはず。


「あ、あの、何かな?」

思わずじーっと見つめていると

ツバサがかすかに頬を染めて照れくさそうにこちらに声をかけてきた


(なっなんじゃこりゃー!)

内心大絶叫である


「あ、ごめん。なんでもない。」

スッと視線を外す


暫く横顔にツバサの視線を感じで居た。


全てのペアが揃ったみたいで先生が、はちまきを渡して来た。


「お互いペアの相手の名前書いて、それから頭に巻いてくれ」


言われた通りツバサ・ブラウンと書いてはちまきを巻く

「あー園田さんのミライって漢字ある?」


「うー?いやカタカナでミライだよ」

「オッケ、了解です」

ツバサもはちまきを巻き終わる。


「あーじゃあ、今からペア組んだお前らは敵同士だ!

自分の名前の書いてある相手のはちまきを奪った方の勝ち!」


「魔法は身体強化以外は、無しな!

時間は、今から2時間だ、では始めっ!!」


ヒュウっと先生が打ち上げた閃光を合図に、敵同士になったペア達は、お互いから離れ散り散りになっていく。


即はちまきを取り合う者達は、居ないようだ。



(おっと、まずは私もツバサから隠れて、様子見かな?)


校庭には、色々な訓練に使う為の壁や、アスレチックのような遊具が有り身を隠す遮蔽物には困らない。


とりあえず、敵はペアの相手だけであるから、他の生徒の事は余り気にせず、手頃な壁の陰に隠れる


(うーん、チート主人公に勝てるのかな?、まあ別に勝たなくてもいいっちゃいいんだけど。なんか様子おかしいし)


しゃがみ込みながら、ここ一ヶ月と少しのミライの記憶を探る。


今は入学式から大体それくらいだろう。

その間のツバサ・ブラウンの事を考えてみても、特にこれと言って特筆した所は無かった。

実力を隠しているのだから、当然と言えばそうなのだが

(今回みたいな実技の授業でも、目立ったりはしてなかったみたいだし。)


だが、違和感がある。


(なんか、あまりにも普通の男子って感じ?)


ふとある考えが浮かんでくる。


もしかして、

(もしかして、彼も憑依者?または転生者とか?)


小説でよくあるお決まりのパターンであれば、主人公も日本からの転生者で、現代知識&原作知識で、チート!である


(うーん?あり得るなぁ、でもそれならなんでイベント発生しないの?)


原作知識ありなら、とりあえずストーリー通りに動くものでは無いのかな?と考える。


それか、他に何か狙いがあっての事なのか?


(ストーリー通りに進むはずだって思ってたから、安心してたけど。もし違うならこの世界って結構ヤバいんだけどなぁ、、)


魔物や魔獣が存在して、尚かつ軍なども存在している。

しかもその学校に自分は通っているのだ


元いた日本と比べたら、本当にいつ死ぬかわからない。

実際小さな街や村などが被害にあっている。

かなり危険な世界である


原作知識があればなんとか、生きていけると思っていたけど、もし全く違うストーリーになっていったら?


ゾッとしてミライは自分の体を抱きしめた。


(安全な所から傍観しようと思っていたけど、、これは確かめて見るべきか?)


ツバサに直接聞いてみても良いかもしれない。

貴方は元日本人ですか?と

万一違ったとしても、頭の可愛そうな女だと思われるだけだろうし


最悪もしこの世界がアニメと違うストーリーになるのなら、なんとか死なないように立ちまわらなければならないのだから。

事は早い方が良いだろう。


(よしっ!、、、あっ、)


ふと気配を感じで顔を、上げるとツバサと目が合った。


伸ばされた手がはちまきへと近づいてくる


(しまった!考え込みすぎて、周り見えてなかった!!)


条件反射でその腕を掴んで、ぐるりと引っ張る。


「うっわ!!」


ドカッと言う音をたてて、ツバサが壁に顔から激突して、そのまま倒れた。


「ひゃあ!!え?ちょっごめっ!」


ピクリともしないツバサを抱え起こすと鼻血を出してのびていた。


「えー!?ちょ!」


「あー?怪我人か?保健室行ってこい!」


慌てていると先生が駆けつけて来て、保健室へと行くように言われる。


「終わったやつ。誰か手伝ってやれ!」


その声に二人の男子が近づいてきてツバサを、抱えてくれる


そのうちの一人がツバサのはちまきを、取るとミライに手渡す


「はい、君の勝ちでしょ。てかツバサ君ダサっ。女の子に負けて鼻血とか、、」


ププっと笑うとそのまま、保健室へと向かっていった。



「あ、待って!私も行きます!!」


慌ててその背中を追う。



〜〜〜


ベットに寝かされたツバサの寝顔を眺めながらミライは頭を抱えていた。


(あー、どうしてこうなった)


あの後男子達はツバサをベットに降ろすとそのまま、校庭に戻っていった


「あれ?先生留守だね。、んじゃとりあえず俺達は行くから、ツバサ君に着いててあげてよ。君ペアなわけだし」


一人はひらひらと手を振り

もう一人は黙って小さく会釈をしてその場を去る


残されたミライは、とりあえずツバサの鼻の穴にティッシュを詰め込んで彼が目覚めるのを待つのであった。



(ま、間抜けな顔だなぁ、、)

鼻にティッシュを詰めたのはミライなのだが、その間抜けな姿にため息を吐く。


(これ、やっぱ中身主人公じゃないよねー。あんまりにも残念過ぎるわ)


暫く眺めているとふるりと男にしては長い睫毛がかすかに震えて


ゆっくりと目が開く


まぶたから覗いた黒い瞳は未だ意思を持たず虚ろに見える。


「ん?、、あれ?何これ?」


身動ぎしたツバサは鼻の痛みに眉根を寄せて、それから手をティッシュの詰まった鼻の穴に沿わせる


「ティッシュ、か?なんで?あ、鼻血、、?」


「あー、大丈夫?」


がたりと今気づいたと言うように大袈裟にツバサは驚く


「え?!あ、園田さん!え?なんで、な!うわ、え?うわ見た?」


ツバサは哀れなくらいに動揺して鼻のティッシュを見られた事に顔を青くしたり赤くしたりしている


(ごめんね、見ただけじゃなくてティッシュ詰めたのは私です。)


心の中で、ツバサに謝りながら

ミライは一つ呼吸をして、


そうして、きりだす

「えーと、とりあえず落ち着いて?まず今の状況なんだけど。ツバサ君が壁に顔から突っ込んで気絶しちゃったので、保健室に運んでもらったんだけど、それはわかるかな?」

「あー、、わかる。ごめんね、迷惑かけてしまって、、あーはちまき。」


「あ、うん。私の勝ちかな。」

サイドテーブルに置かれたはちまきに目をやるとツバサは、うなずく。

「あーだよね、えと授業は?」


「あ、もう終わったはず。なんか保健室の先生が、留守だったから私がツバサ君起きるまでそばに着いてて。」


時計は16時を指していた。

授業が終わって一時間と少したっている


「あー、ありがとね。重ね重ねごめんね。とりあえず先生に声かけに行ったほうが良いのかな?」

ベットから立ち上がろうとするツバサを手で、制してミライは緊張しながら口を開く


「あー、その前にツバサ・ブラウン。

貴方は元日本人ですね?」


目の前でまんまるく開かれる黒い瞳を見ながらミライは確信した。


(やっぱりそうなのね。)


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