36話 嘘つきは誰と誰?
「そろそろ、僕も帰るよ。」
そう言って立ち上がったツバサにユアンが、声をかける
「あ、待って。二人だけで少し真面目な話があるんだが良いだろうか?」
「?うん。時間は全然平気だよ」
「すまない。、、ライ。隣の部屋を借りても?」
ユアンがライアンに問うと
どーぞと返される
「じゃあ、隣で話そうか」
移動するユアンに着いていくツバサは
一体何の話だろうと首を傾げていた。
襖を閉めて、ひと呼吸
ユアンは一度目を瞑るとゆっくりと
ツバサに尋ねた
「君はミライをどう思ってるのかな?」
〜〜〜〜
「君はミライをどう思ってるのかな?」
「は」
ユアンの問いかけに一瞬意味がわからなくて
口から吐息と意味のある音にならない声がでた
僕が園田さんをどう思ってるかって?
「え、そりゃ友達だよ。いい子だなって思ってるよ?」
共犯者だと思っている。
でも二人で、この世界を救おうなんて事はバレちゃ駄目だし
当たり障りなく答える
「いや、すまない。、、僕の聞き方が遠回し過ぎたね」
ユアンは苦笑する
それから
「単刀直入に言うね、僕はミライに恋しているよ」
はっきりとツバサの目を見て告げたのだ。
世界から音が消えたかと思った
しかしひゅーひゅーと言う音がして
なんだろうと思ったら
自分の呼吸音だった。
ツバサは、震えていた
目の前の男の言葉にハッキリ自覚して、恐怖した。
『なにそれ。、、あのさもしユアンが園田さんに好意的なら今はそれを利用したほうがいいんじゃ無いの?』
前に園田さんに言った言葉が頭に浮かぶ。
そう、ユアンが園田さんを好きなら、こちらとしても願っても無いチャンスの筈である。
なのに、今ツバサは恐怖している
自分自身の身勝手さに。
〜〜〜〜
黙り込むツバサにユアンがため息を吐く
「すまない、別に牽制のつもりじゃないんだ」
ビクリとしてこちらを見たツバサの顔色は悪い
内心苦笑してそのまま続ける
「ただ、僕はツバサとも仲良くしていきたいし。
もし、ツバサが本当にミライをただの友達だと思っているのなら相談にのってほしいと思ってね。」
続ける
「勿論無理強いはしないけどね」
続ける
「そして、もしツバサもミライを好きならライバルとして正々堂々向き合いたいだけなんだ。」
ツバサは何も言わない。
〜〜〜〜
今ツバサの中では色々な感情と罪悪感が渦巻いていた
味方を作れ、好意を利用しろ?
本気で思っていたわけじゃない
否定してほしくて、わざと何度も
その言葉をぶつけていた。
僕は嘘つきだ
もし、園田さんにいっぱい守ってくれる人が見つかったら?
その人に主人公がいなくても世界を救える力があったら?
僕はまた一人ぼっちになってしまう。
それが怖い。
ユアンは男の僕から見てもカッコいい。
それに強い。
安藤との戦いにもなっていなかった一方的な蹂躙を目の前で見て
この世界は、園田さんは、僕が居なくても、なんとかなるのでは?
と思った。
園田さんは良い人だし笑うと可愛いと思う。
でも僕にはまだ恋愛感情はわからない。
僕は恋をした事が無い。
でも目の前の男を見て
もし僕が彼女を好きだと言わなかったら?
ユアンが彼女に好きだと言ったら
僕は捨てられるんじゃないのか?
ぐるぐるする思考でユアンに何か、言い返さないとと
口を開く
「僕に相談なんかしなくても、魔眼で園田さんの心を読めばいいじゃないか」
そう口から出ていた
そうだ心を、読めば。
今は園田さんだってユアンを好きじゃないのがわかって
ユアンも諦めてくれるかもしれない
そう思った
思ってしまった。
「………勝手に人の心を読んだりしないよ。」
そう言ったユアンの言葉に、顔が赤くなった。
恥ずかしい恥ずかしい
僕は自分のことしか考えていなかったのに目の前の男はちゃんと園田さんの事を考えていたのだ。
下を向いて、震えていたら
ユアンが、近づいてきた
優しく背中を叩かれる
「すまない。、、事を焦り過ぎていたようだ。 今の話は忘れてくれ。
僕も忘れるよ」
ユアンはニコリと何事も無かったように笑うと
「さ、今日はもう帰ろうか!」
と明るく言う
僕はホッとした
ホッとしてしまった。
〜〜〜〜
ツバサを玄関に送り出して戻ってきたユアンの顔を見て
ライアンは言う
「バレバレの嘘ついて、怒られるのを待っている子供みたいな顔してるねぇ
」
「………ああ」
「とりあえず、顔洗っておいで?」




