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32話 否定





「あ、勝手に決めてしもて悪いけど、もし用事とかあるんなら言ってなぁ、そしたら別の日にするさかいなぁ」


「え、ううん。何も無いよ。えとありがとう」


「ふふふ、なんやツバサちゃん。

ちゃあんとした子やん。ちょっと安心したわぁ」


ホッとしたようなライアンにツバサは頭に疑問符を浮かべた。

「?」


「ほな、スーパー寄って帰ろかぁ。

あ、ユアンちゃんなら後からくるから大丈夫やよ?」


パチリとウィンクして


ほら行くでーと


まだバンバンしている伊吹虎の背中を押していた。


「……ごはん」


その後ろでフラフラ西園寺が揺れている




買い物をして部屋に着いたツバサは

キョロキョロと辺りを見回していた。


先に行った自分の部屋は洋室だったのだが

ライアンの部屋は和室だったのだ。


食材を冷蔵庫に片付けながらライアンがおかしそうに言う


「あー、部屋は自費でカスタム出来るんよ。

私は、親が入学祝いに和室にしてくれてん元々実家はおっきいお屋敷なんよ

親バカで困るわぁ。」


嬉しそうにそう言うライアンは家族に愛されているらしい。


確かにノートにも

ライアンにはこれと言って問題は無いと書かれていたなと思い出す。

常識人かぁ


「あー、ごはん作るさかい、皆でゆっくりとなかよぉしといてなぁ」


ツバサは手伝いを申し出たが、「台所に入られたくないんよ」と申し訳なさそうに断られた。


後でお皿並べたりは頼むはぁと

言われたのでしぶしぶ引き下がる


伊吹虎と西園寺は我が物顔で机を囲んで座布団にどかりと腰を落としていた。

掘りごたつになっているようだ。



二人は良く来ているらしい。


ツバサも腰を下ろすと伊吹虎が興味深そうに見てくる


「あ、えーと何?」


「むっ!!すまんすまん。少し気になってしまったのである。

ツバサは、どの様に戦うのだ?」


ジロジロとツバサの体を見て不思議そうに首をかしげている


「いやはや、筋肉の付き方からしてあまり武人には見えんのでなぁ!!」


伊吹虎はツバサの腕を掴むと手のひらをしげしげと眺める


「獲物は何を?あまり手は使わないのか?」

次々と質問攻めにされて困っていると

西園寺がボソリと言う


「……眼鏡」


「むっ!!おっとすまんなあ!!編入生と聞いて興奮してしまったのである


一応西園寺は止めてくれたようである


ホッとして、そちらを見ると


「……ガチョウ。…ガチョウ」 

とブツブツ言っている


怖い


「ああ!!彼女か!!」

心得たと言うように

また伊吹虎はツバサに向きなおる


「一緒に編入して来た、園田という女子はツバサの彼女なのか?」


彼女、彼女?園田さん?


彼女?! 


慌てて

「ち、違うよっ!!友達友達だよっ!!」

と言うと

ふむ、と頷いて


「では、ユアンの彼女か」


とうんうん納得していた


「え!!それも違うよっ!!!」

力いっぱい否定すると


伊吹虎は不思議そうな顔をしていた


「ふむ、しかし昼に食堂で見かけた時は、かなり親密な関係に見えたのである!!」


「……ガチョウ」

西園寺に何故かしっかりこちらを見て言われた



ガチョウって園田さん?


彼のあだ名センスは良くわからない。



「とにかく違うから」


「?」

尚も不思議そうな顔をして、伊吹虎が呟く

「まあ、ユアンにも聞いてみるか」


その言葉に何故かツバサはモヤモヤした。




暫くして、ユアンが、やって来た。


「やあ、皆揃っているね。」


「あら、ユアンちゃん思ったより遅かったなぁ、どないしたのぉ?」


「いや、加減したつもりだったんだけど。

結構壁の中にもダメージが行っていたみたいで、修復に時間がかかってしまってね」


ああまあそうなるよね、と

実習室での事を思い出して納得する。



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