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宿とわたし

 ギルドを後にしたわたしは今日泊まる宿屋を目指します。

  ラティさんにオススメの宿屋を何軒か聞いておきました。その中でわたしが選んだのは、中の上くらいの宿屋です。

 安い宿屋はセキュリティに不安があります。

 平和な日本と一緒にしてはいけません。

 セキュリティと値段のバランスを考えた結果、そこそこ稼げる様になった冒険者や余裕がある行商人などがよく利用する《ロック鳥のさえずり亭》に決定しました。


「一人部屋で取り敢えず一泊お願いします」


  カウンターに居た17歳位の娘さんが対応してくれました。


「いらっしゃいませ。

  一泊二食付きで小銀貨2枚です。お湯が必要でしたら銅貨2枚です」


  小銀貨2枚を支払います。

  お湯は魔法で出せるので必要有りません。


「二階の1番奥の部屋になります」


  鍵を受け取り部屋にむかいます。

  部屋には、簡素なベットと机と椅子があるだけです。決してフカフカとは言えませんが昨日は野宿でしたのでベットで寝られるのは嬉しいです。


  まだ日も高いので少し街を散策しようと思います。


  カウンターに居た宿屋の娘さんに鍵を預けて街に繰り出しました。

  迷ってはいけないので、大通りからあまり離れない様に街を見て回ります。

  良くある表現ですが中世ヨーロッパ風の街並みと言うやつです。

  ところどころに魔法技術と思われる物があります。

 また、馬車を引く動物は馬が多いですが少数ながらシリウスとおなじバードランナーや蜥蜴の様な魔物、獅子の様な魔物などが馬車を引いているのを見かけました。

  憧れのファンタジー世界をこの目で見ることが出来てわたしは大満足です。

  屋台で定番の串焼きを買い、食べながら歩いていると本屋を見つけました。

  ギルドでも使われていたように、この世界では紙は安くはないですがさほど高価でもなく、平民にも日常で使われているようです。また、活版印刷が広まっていて多くの書物が売られています。


「いらっしゃい、お嬢ちゃん。何か探し物かい?」


 店番をしていたお婆さんが話しかけてきました。

 この世界の本にも興味が有りますので何か買って見るのも良いですね。


「魔物に関する本はありますか?」

「魔物の本かい?何冊か有るけどお嬢ちゃんが読むのかい?」

「はい。わたし、冒険者になったので魔物について勉強しておこうと思いまして」

「まぁ、冒険者に?気を付けるんだよ。余り無理しない様にね。

  本を持って来て上げるから少し待ってて貰えるかい」


  お婆さんはわたしが冒険者だと知ると少し驚いたようです。

  わたしはこの世界に来て若返っているので15歳くらいの時の容姿に成っています。

 西洋風の人達のなかで15歳くらいの日本人の姿はかなり幼く見える様です。

  これも異世界物では鉄板です。

 しかし、これは周りの人達が大きいのであって、わたしは日本人として年相応の平均的な身長です!

 ………ごめんなさい。

 平均より少し小さいです……少しだけですよ?


「魔物に関する本はこの3冊がおススメだよ」


  お婆さんが本を持って来てくれました。

  本のタイトルは『魔物図鑑』、『魔物の分布と生態』、『魔物解体術』です。

  魔物解体術はこれからの冒険者生活で必須です。

  魔物図鑑と魔物の分布と生態も神様に頂いた知識は有りますが、少し興味がありますね。

  値段は何れも銀貨5枚です。

  お婆さんに聞いた話ですが、800年ぐらい前にケンタと言う人物が紙の製法や活版印刷を広めた事で、大分本の値段も下がり、多くの人達に読まれる様になったそうです。

  しかし、「ケンタ」ですか。恐らく転移者ですね。

  転移、転生がブームらしいのでわたし以外にも日本人が居ても不思議では有りません。

  今生きている転移者も居るかも知れませんね。

  会ってみたい気もします。


「では、魔物解体術と魔物図鑑下さい」


  わたしはお婆さんに銀貨10枚を渡しました。


「はい。ありがとね」


  本を受け取りお婆さんに挨拶して店を出ました。

  今日はこの辺で宿屋に戻り、魔物図鑑を読もうと思います。


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― 新着の感想 ―
[一言] >しかし、これは周りの人達が大きいのであって、わたしは日本人として年相応の平均的な身長です! 中世ヨーロッパだと男でも平均160前後とかなんで、絶対に平均的な身長じゃ無いよね(笑)。 ちな…
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