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共闘とわたし

 太陽が頭の真上に来る頃、わたし達は最後に装備を点検して、湖を目指しました。


 湖に着くと背の高い草に身を隠して辺りを窺います。

 湖は静かでとても凶暴なナーガの縄張りだとは思えません。


 湖の特に魔力の強い場所にミリス草が生えています。

 そしてあの場所こそ、ナーガの縄張りの中心なのです。


 わたし達はお互いの顔を見合わせ、頷き合うと、わたしとジャギさんが草むらから姿を現します。


 ザジさん達はまだ身を隠しておいて貰います。


 わたしとジャギさんがナーガの縄張りに入ると、直ぐに湖の中から強力な威圧感を感じます。そして、水しぶきを上げながら、東洋龍の様な姿のナーガが現れました。


「勝手に縄張りに入って済みません。

  少しだけミリス草を分けて頂きたいのです」


 わたしは取り敢えず交渉してみます。

 長く生きたドラゴンは時に人間の言葉を理解し、意思の疎通が可能な事もあると本に書いてありました。


「グルラァァア!!」

「ドラゴン流の挨拶でしょうか?」

「んな訳ねぇだろ! だから交渉なんて無理だって言っただろうが!

 だいたい、人間の言葉を扱えるドラゴンなんて、そりゃ古龍の領域だぞ!」

「仕方ありませんね。言葉を交わせないなら戦うしかありませんね」


 わたしの交渉術(物理)を見せてあげましょう!

 ナーガは大きく息を吸い込むと猛烈な勢いで水を吐き出しました。

 ウォーターブレスです。


 わたしとジャギさんは左右に分かれて躱すとナーガに駆け寄ります。

 湖の中に逃げられると厄介です。

 ナーガが地上にいる間に討伐したいです。

 

「は!」


 わたしは水魔の戦斧に魔力を込めて渾身の力で振り抜きます。

 しかし、ナーガの強固な鱗はうっすらと傷が付いただけで肉まで届いていません。


「【クレイ】」


 ジャギさんの棍に粘土の様な土が纏わり付き、三又の槍の形に変わります。

 

「【トランス】」


 粘土で出来た三又の槍は瞬く間に鋼の穂先に変わります。

 土属性魔法で作った粘土の穂先を上位属性の金属魔法で鋼に変えたのです。


「はぁあ!」


 ジャギさんの突きは下半身の筋力を腰のひねりによって、上半身へ余す事なく伝えた完璧な突きでした。


 しかし、その突きを持ってしても、ナーガのウロコをわずかに削るだけでした。


「くっ、ダメだ生半可な攻撃じゃダメージにもならねぇ!」

「もっと強力な攻撃が必要ですね」

「カルルルルゥ!」


 大量の水の圧力で高い制圧力を持っているウォーターブレスでしたが、攻撃範囲は広くても発射までに僅かにタメが必要だった為、わたしとジャギさんは、なんとか避ける事が出来ていました。


 するとなんと、ナーガは高圧水流のブレスから弾丸型のブレスに切り替えて来たのです。

 なかなか器用な奴です。

 攻撃範囲は狭くなりましたが、ブレスの速度は段違いに早くなりました。

 また、高圧水流のブレスに比べ、連射性能も格段に上がっています。

 

「わっ、しまった!」


 つい、高く跳んで回避しようとしてしまいました。

 空中ではブレスを避ける事が出来ません。

 ナーガと目が合いました。

 僅かに喉が動き、少し高く頭を持ち上げます。


 弾丸型のブレスのモーションです。

 わたしはブレスに耐える為、身体中に魔力を巡らせます。


「【断空】!」


 ナーガがブレスを吐こうとした瞬間、ナーガの頭に何かが命中し、衝撃でブレスが逸れました。

 

「一体何が?」


 わたしが何かが飛んで来た方を見ると、剣を振り切った姿勢のザジさんが居ました。

 どうやら彼が何かした様です。

 それから魔族の3人のフォローもあり、なんとかブレスを避け続けています。


 しかし、決定打が有りません。

 わたしに思い付くのは以前、ストーンドレイクにダメージを与えたアレです。


 しかし、ストーンドレイクと違い、ナーガはブレスを巧みに使いこなしています。

 アレはかなりの集中力が必要です。

 このブレスの雨のなかではとても繰り出す事など出来ません。


「風よ 引き裂け 【ウインドスラッシュ】」


 ナーガの顔面に、キルトさんの風魔法が命中します。


 あまりダメージは与えていない様ですが、ナーガは顔に当てられてイライラしている様です。


「【疾空】!」


 カルラさんの声が響き、矢がナーガの口に突き刺さります。

 歯と歯茎の隙間に突き刺さった矢によってナーガは、その長い胴体を地面に叩きつけて悶えています。


 初めてダメージらしいダメージを与えました。

 クリティカルヒットです。

 しかし、ザジさんと言い、カルラさんと言い、何故、技名?を叫んでいるのでしょうか?

 魔法の詠唱は良いですよ。

 あれはそう言う物ですし、魔法を使うにあたって必要な物です。


 しかし、技名?は別に叫ばなくても良いのではないでしょうか?

 この戦いが終わったらあの技の事を聞いてみましょう。

 もしかしたら、ただの厨二病かもしれませんが。

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