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提案とわたし

「クソ! あのナーガだけでも問題なのに人間のハンターまで現れるなんて」


 あ、魔族も言葉は同じなんですね。

 ハンターとは冒険者の事でしょうか?


「おい、魔族ども、見た所なかなかの使い手みたいだが、それでも俺達の方が明らかに格上だ。今、引くなら見逃してやるぞ」

「黙れ人間! 俺達はどんな手をつかってでもミリス草を手に入れなければならないんだ!

 ミリス草を手に入れなければ妹は……

 俺達は絶対に諦めない!」

「なら実力で排除するしか無いな!恨むなよ!」


 ジャギさんの周りに魔力が集っています。

 張り詰めた空気の中、わたしは冴え渡る頭脳を駆使して考えます。


「いくぞ‼︎」


  閃いた‼︎


 わたしは裂帛の気合いと共に飛び出そうとしたジャギさんのジャケットの襟を掴みます。


「がぁ!」


 ジャギさんが少し危険な感じの声を出して止まりました。


「何しやがる‼︎」

「ジャギさん、ここはわたしに任せて武器をしまって下さい」


 わたしはジャギさんに、そう頼むと自分の水魔の戦斧もアイテムボックスにしまいます。


「お、おい、大丈夫なのか?」

「はい、大丈夫です……………多分」

「おい‼︎」

「まぁ、任せて下さい」

「たく、頼むぞ」


 ジャギさんが武器をしまったのを確認するとわたしは魔族達に近づきます。


「止まれ! それ以上近づけば攻撃する」

「では、これ以上近づかないのでわたしの話を聞いて下さい」

「………………なんだ?」

「あなた達はミリス草が欲しいのですよね?」

「そうだ、妹の病を治せるのはミリス草を使った薬しか無い」

「わたし達もミリス草が欲しいのです。

 見た所、ミリス草の数は十分有りました。

 問題はナーガです。

 魔族と人間が対立している事は知っています。

 ですがここは一時休戦して、共闘しませんか?

  一緒に戦ってナーガを倒せば、お互いにミリス草を手に入れる事が出来ます。

 損はない話だと思いますが?」

「俺達に人間の手を借りろと言うのか!」

「違います。

  わたし達はお互いを利用するのです。

  わたし達はあなた達を利用し、ナーガを倒す。

  あなた達はわたし達を利用し、ナーガを倒す。

  何も問題は有りません」

「ぐ……だか……しかし……」


 お、もう一押しですね。


「どうですか? この提案を受けて貰えるなら薬師であるわたしが妹さんの治療に必要な薬を調合して差し上げます。

 ミリス草が絶対に必要であり、あなた達が無理をしてまで取りに来なくてはならない程、急いでいると言う事は妹さんの病はモーガン病ではないですか?

 モーガン病の治療薬の調合は難易度が高く、調合できる薬師は少ないはずです。

 薬師の当てはあるのですか?

 わたしなら調合が可能ですよ。

 ついでにそちらの女性の毒も解毒して差し上げます」

「‼︎」

「先ほどあなた達はどんな手を使ってでもミリス草を手に入れると言いましたよね。

 あの言葉は嘘だったのですか?」

「ぐっ………………本当にモーガン病の治療薬を調合出来るのか?」

「兄貴‼︎」

「はぁ、はぁ、兄さん、人間の話など‼︎」

「いや、あいつは急いでミリス草が必要だと言うだけでマルカの病をモーガン病だと言い当てた。当てずっぽうではない」

「当然です。

 ちなみに、そちらの女性の毒、ポイズンアントに噛まれましたね。

 命に関わる程の毒ではありませんが早く解毒しなければ後遺症が残りますよ」

「…………分かった。お前の提案を受け入れる」


 魔族の男性は、剣を鞘に収めました。

 女性2人もまだ警戒していますが武器を下げてくれました。

 

「わたしはユウと言います。Bランク冒険者です」

「俺はザジ、ゴールドクラスのハンターだ」


 わたし達は休戦し打倒ナーガの為、共闘する事になりました。

 ラブ&ピースですね。

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