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ハーピィとわたし

「そうと決まればグズグズしてられねぇな!

 お前ら直ぐに出るぞ!」


 リュミナスさんが声を掛けると彼のパーティメンバーは皆、力強く頷きます。


「待って、リュミナス。

 この子も連れて行って頂戴」


 リゼさんに肩を掴まれリュミナスさんの前に出されます。


「あ? 何でこの嬢ちゃんを連れて行かなきゃいけねぇんだ。

 まぁ、かなりの実力者だってのは分かるが」

「この子は薬師よ、それもユーリアちゃんの奇病を完治させた程の凄腕よ」

「な、ユーリア様の病は治ったのか!」


 リュミナスのパーティが驚愕しています。

 今まで長期の依頼で街を離れていたようですし、知らなかったのでしょう。


「あなたのパーティは専門の治癒魔法使いがいないでしょ。

 ユウちゃんがいれば現地での治療も可能だし、戦闘力も問題無いわ」

「…………お前、ランクは?」

「Bです」

「なら大丈夫か。

  よし、付いてきな」

「は、はい」


 リュミナスさん達と街道を駆けていきます。

 わたしはシリウスに、リュミナスさん達はギルドが用意した馬に乗っています。


 数回の小休止を挟んだわたし達の目に、空を覆うようなハーピィの群れが見えて来ました。

 目算ですが40~50体程の群れです。


 かなりの数ですがリュミナスさん達はひるむ事なく馬を走らせます。

 小休止の間に行った打ち合わせでは、ハーピィはリュミナスさんたち《虹の大河》に任せ、わたしは負傷者の手当てに当たる事になっています。


  《虹の大河》には治癒魔法を専門に使える人は居ません。

 剣士のリュミナスさんとブライアンさん、弓士のカナンさん、魔法使いのマナさんの4人はブライアンさん以外の3人が簡単な治癒魔法を使えるので大きな怪我や毒などはポーションに頼っているそうです。


 空を飛ぶハーピィとの戦いは弓と魔法がメインとなるので魔力を治療に回すのは避けたいそうです。

 ハーピィの群れの下に破壊された数台の馬車が見えてきました。

 その街道の近くの岩山にハーピィが群がっています。

 恐らくあそこに商人さんと冒険者が逃げ込んだ洞窟があるのでしょう。


「ユウ! お前は洞窟で怪我人の手当て、ブライアンは洞窟の入り口でハーピィが入り込まない様に守れ!

  残りは俺とハーピィを狩る!」

「はい」

「おう!」

「「了解!」」


 ハーピィの群れに突っ込む前に馬を乗り捨てます。

 出来れば守りますが無理なら仕方ありません。

 無事、逃げてくれる事を祈るしか有りません。

 わたしもシリウスを送還し、水魔の戦斧を手に駆け出します。


「邪魔ですよ!」


  魔力を通し、前方のハーピィ3体を切り飛ばします。

 おお! まるで抵抗が有りません。

 素晴らしい切れ味です。


「穿て 水の槍 【ウォーターランス】」


 水で作られた槍がハーピィの胴体を貫き、更に背後にいた別のハーピィ数体を巻き込みました。

 水魔の戦斧の効果なのか、以前より格段に威力が上がっていますね。


 水魔の戦斧と烈風の斧に持ち替え、魔力を込めると上空からわたしを狙っていたハーピィに向け投擲します。


  風の魔力を纏った斧は凄まじい速度で回転し、ハーピィの胴体を真っ二つに切り裂きました。

 想像以上の威力です。

 突き刺さる程度かと思っていたらまさか真っ二つとは……

 アポーツを使い、烈風の斧を手元に戻します。

 投げ斧は召喚魔法との相性がとても良いです。


 その時、背後からハーピィが1体、鋭い爪を振りかざし襲い掛かって来ました。

 烈風の斧を雷鳴の鉈と入れ替え、爪を鉈で受け止めました。


 すると、わたしに襲い掛かって来たハーピィは1度体を震わせ倒れます。

 雷鳴の鉈のスタン効果です。

 すかさずハーピィの喉を切り裂き、洞窟を目指します。


 雷鳴の鉈は便利ですね。

 行く手を阻むハーピィを一振りで行動不能に出来ます。

 少しでも擦れば雷属性魔法により行動力を奪えるのです。


 目の前のハーピィを倒すと洞窟の前で血みどろになりながら入り口を守っている冒険者が居ました。


「洞窟の中に入って下さい!」


 わたしは入り口を守っていた冒険者を突き飛ばす様に洞窟の中に入って行きました。


 わたしの背後から付いて来ていたブライアンさんが先ほどの冒険者の様に洞窟の入り口に立ちはだかりハーピィを寄せ付けない様に剣を構えました。

 

「はあ、はあ、あ、あんた達は?」

「ガスタの街から来た救援です。

  怪我人はどれくらいいますか?」

「怪我人は奥だ、君が治療してくれるのか?」

「はい、残念ながら動ける治癒魔法使いが居ませんでしたが、わたしは薬師です。

  薬も用意していますから直ぐに治療を始めましょう」





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