新装備とわたし
投稿ミスにより1話飛ばしていた為、《経過観察とわたし》を挿入しました。
m(_ _)m
「はい、大きく口を開けて下さい」
喉の奥が腫れていますね。
「風邪ですね。後で薬を調合するので朝と夜、ご飯の後に飲んで下さい」
「分かった。
お姉ちゃん、ありがとう」
うん。うん。
子供は可愛いですね。
さて、今の子で子供は最後みたいですね。
「ユウさん、ありがとうござました」
おっと、まだ終わってはいませんよ。
「次はミリアさんと院長さんの番ですよ」
「え、私達もですか?」
「当然です。院長さん達が病気になったら子供達が困りますからね」
問答無用で院長さんとミリアさんの検査をしました。
ミリアさんは健康ですが少し栄養が足りないようです。
院長さんは腰を悪くしているようです。
ミリアさんにはわたしが調合した栄養剤を渡しました。
院長さんにはあとで湿布薬を調合しましょう。
全員の診断が終わったので部屋を借りて薬を調合します。
「お姉ちゃん、何してるの?」
孤児の少女リリちゃんがわたしの手もとを覗き込みながら尋ねてきました。
「先生やみんなのお薬を作っているんですよ」
「リリもお手伝いする!」
「ありがとうございます。では、この木の実のかわを剥いてこの皿に入れて下さい」
「うん!」
リリちゃんに手伝って貰いながら調合した薬をまとめて院長に預けます。
子供達に渡して誤飲してはいけませんからね。
薬は用法、用量を守って正しく飲まなければいけません。
「すみません。リリがご迷惑をお掛けしたようで」
「いえいえ、リリちゃんはしっかりと手伝ってくれましたよ」
実際リリちゃんはなかなか手際がよかったのです。
薬師の才能が有るのかもしれません。
「これが皆さんの薬です。用法や用量は紙に書いておきました」
「ありがとうございます。
ユウさんにご寄付頂いた食材ですが、夕食をお作りしたので是非召し上がって下さい」
「はい、ありがとうございます」
今日は孤児院で子供達と夕食を頂きました。
デザートは定番のプリンです。
この前、護衛依頼でガナの街に行った時にロック鳥のさえずり亭で大量に用意して貰いました。
もちろん材料費は出しましたし、わたしも手伝いましたよ。
手間賃は断られたので代わりにアイスクリームの作り方を教えました。
ミーナさんは水属性の魔法が使えたのです。
水属性の上位属性である氷属性は扱いの難しい魔法ですが氷を出すだけなら少しコツを掴めば習得できます。
暑くなるまでにいろいろと研究すると張り切っていました。
ロック鳥のさえずり亭のプリンは子供達にも大好評です。
何度か街の近くの森に採取に行ったりもしましたが、数日を街の中で過ごしたわたしはガルフさんの工房に来ています。
戦斧が完成したと連絡が有ったのです。
工房に併設された店舗に入るとガルフさんとエドガーさんが迎えてくれました。
「なぜエドガーさんがここに?」
「エドガーには俺の武器に魔法付与を頼んでいるんだ。
ユウの戦斧もマジックアイテムにして貰った」
「まさか君が依頼主とはね。
お陰でAランクの魔物素材を扱うと言う珍しい経験をさせて貰ったよ」
「それとあずかっていた魔鋼の戦斧の柄だがな、一度溶かして打ち直し、投げ斧と鉈に作り変えた。
これもマジックアイテムだ。
ユウの魔力で変質した魔鋼だからな、魔力の通りや相性は申し分ないはずだ」
「本当ですか⁉︎」
ガルフさんが取り出した2本の投げ斧と鉈を手に取ります。
烈風の斧、エルダートレントの柄に風晶石を使って付与を施した魔鋼の刃を持った投げ斧です。
緩やかなカーブが付いた持ち手と計算された重心がとても良い具合です。
雷鳴の鉈、こちらもエルダートレント製の持ち手が手に馴染みます。
上質な風晶石を使って風属性の上位属性、雷属性の魔力が付与されています。
「どちらも素晴らしい性能ですね!」
「そうだろ、自信作だからな」
「ただ、性能にこだわり過ぎたせいで少し予定の予算を超えちまった。
すまねぇな」
「いえいえ、これ程の物を用意して貰えたのですから多少の予算オーバーは構いませんよ」
「ありがとよ、それでこれがメインの戦斧だ」
ガルフさんが店の奥から出して来たのは、わたしの身長と同じくらいの大きさの両刃の戦斧です。
エルダートレントの素材を加工した柄は並みの金属よりも頑丈で、刃には錬金術に依って水晶石が合成され、魔法を補助する為の魔法文字が彫り込まれています。
「水魔の戦斧だ。
ユウの魔力に合わせて水属性を付与している」
申し分ない仕上がりに満足したわたしは、ガルフさんとエドガーさんに代金(少しですが色をつけました)を支払い、ギルドに向かいます。
早速、簡単な依頼を受けて新しい武器の性能を試してみましょう。