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調薬とわたし

「ジーク!しっかりしろ!!クソ!奴ら矢に毒を!」

「兄さん!!ロキさん、解毒ポーションは無いのですか!?」

「すみません……解毒ポーションは余り手に入らず、森で使ったのが最後で……1番近い街まで約1日です。それまで持てば……」

「ごほ、ぅ、はぁ、はぁ、これは、かなり強力な毒薬だ。はぁ、ぐ!もう数時間も持たないだろう。ごほ、」



  どうやら盗賊の矢に毒薬が塗られていた様です。

  わたしは彼等の元に走ります。


「ガイル、はぁ、リーナを頼む」

「馬鹿野郎!何いってやがる!」

「兄さん、諦めないで!」

「これ程の毒を解毒できる解毒ポーションは、簡単に、ごほ、手に入る、物じゃない」

「兄さん!!」

「はぁ、はぁ、ガイル。頼む」

「……………分かった」

「ガイル!」

「リーナは俺が守る。約束する」

「兄さん…私は……うぅ…」

「ジーク、何か言い残す事はあるか?」

「ガイル…辛い役を、ごほ、押し付けてすまん。2人共、はぁ、はぁ、ありがとう」


  女性が泣き崩れ、手当てをしていた男性が剣を抜きました。

  介錯するつもりの様です。静止の声を上げますが聞こえてないようです。

  不味い!このままでは間に合いません。


「水よ 疾れ ウォーターバレット」


 わたしの左手に直径5センチ程の水が現れて、勢い良く放たれました。


「うぁ!?な、なんだ!新手か⁉︎」


 水の弾丸で撃たれた男性は慌てて周りを警戒します。

  良かったこれで間に合いそうです。


「はぁはぁ、わ、わたしの魔法です」

「君は…助けてくれた事には感謝してる、だが話は少し待って欲しい。

 仲間をこれ以上苦しませたく無い」

「待って下さい!わたしは薬師です。わたしが解毒ポーションを調合します」

「な!ほ、本当か!?

 だが、かなり強力な毒薬だぞ」


  わたしは横になり吐血を繰り返す男性を観察します。

 すると神様から貰った薬師としての知識が洪水の様に溢れてきます。

  彼は虚ろな目で此方を見ています。余り時間が無いですね。


「ポイズントードの毒薬ですね。大丈夫です。

 解毒ポーションなら手持ちの素材で調合可能です」

「お願いします!兄を助けてください」

「可能な限りのお礼をする。解毒ポーションを調合してくれ」

「僕からもお願いします。どうか彼を助けてください」


  妹らしい女性と仲間の男性、それに護衛されていた商人らしき赤毛の青年まで頭を下げて来た。

  まさか初めての薬の調合がこんな緊急事態になるとは思っていませんでしたが、ここはチートに頼るしか有りませんね。


「分かりました。直ぐに調合します。その間周囲の警戒をお願いします」


 わたしはカバンから取り出した様に見える様に調合道具と森で採取した薬草や木の実、キノコなどを取り出し調合を始めます。




「みなさん。解毒ポーションが完成しました」

「本当か!?」


 3人がわたしの元に集まって解毒ポーションを見つめます。


「これは……確かにポイズントードの解毒ポーションです。

 本当にあの最低限の道具のみで高難度の調合を成功させるとは」


 商人さんはなかなか目利きの様ですね。


「さぁ。速く解毒ポーションを飲ませてください」


「ありがとう。さぁ兄さん。薬よ」


「うぁ…ごほ…こく、こく」


 なんとか薬を飲ませる事が出来ました。これでしっかりと休憩をとれば命に別状は無いはずです。


 さて、恩を売った所で、彼が眠っている間に彼らと情報交換と行きましょう。


 よくファンタジー作品でチートを貰った主人公は自分の努力や才能ではなく、貰っただけのチートで活躍することに罪悪感や遠慮を感じたりしますがわたしは気にしません!貰った物なのだからわたしの物です。

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― 新着の感想 ―
盗賊たちの財布の中身も回収しないと、勿体ない。
[一言] もらったモノはオレのモノ 良い性格してますね 確かに、些末なことで一々悩んでいたら、早死にしそうな世界のようですからね そんな思い切りの良さ、嫌いじゃないですw
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