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ピンチとわたし

 振り下ろした戦斧が魔物の頭を叩き斬りました。

 目の前の魔物を倒すと、死体を確認する間も無く、斜め前方へ転がります。

 現在、リーフウルフやマンイーター、キラーパペットなど大量の魔物に囲まれています。


 ピンチです……マジで!

 魔物は何を考えているのか、付かず離れずで、じわじわとわたしを追い詰めてきました。

 

「凍てつけ 輝く吹雪 ブリザード!」


 幸い、植物系の魔物ばかりなので、最近習得した氷属性魔法が有効です。

 わたしの周りに居た魔物を一掃し、森の出口に向かって駆け出します。

 しかし、数メートル進んだところでキラーパペット1体とマジックパペット3体が立ち塞がりました。


『しかし、まわりこまれてしまった!』


 ……ふざけている場合では有りません。

 わたしはマジックパペットが放ったストーンバレットを躱し、戦斧から短剣に持ち替えます。

 

「貫け 凍てつく槍 アイスランス」


 魔法で氷の槍を3本作り出し、マジックパペットに向けて放ちました。

 わたしの魔法はマジックパペットに命中しましたが、一撃では倒せず、動きを鈍らせるだけです。

 キラーパペットのロックバレットが、わたしの右頰をかすめました。

 頬に血が伝いますが構わずにマジックパペット2体を切り捨てます。

 短剣をアイテムボックスに仕舞い、投擲用ナイフを3本取り出し魔力を込めて、魔法を放とうとしていたマジックパペットに投擲しました。

 魔力を込められたナイフはマジックパペットの核に突き刺さりました。


 これで3体目のマジックパペットはようやく動きを止めました。

 キラーパペットが突き出してくるナイフをなんとか躱し、木を背に魔法を詠唱します。


「突き立て 凍てつっ!?」


 慌ててその場から飛び退きました。

 なんと、わたしが背にしていた木の枝がしなり、襲いかかってきたのです。


「くっ、トレントでしたか」


 キラーパペットのロックバレットを短剣で弾きながら戦斧を取り出し、トレントを切り裂きます。

 しかし、片手での攻撃だったので狙いがずれてしまいました。


「がはっ!」


 仕留め損なったトレントの枝が叩きつけられ、わたしは数メートルほど吹き飛ばされてしまいました。

 戦斧を手放さなかったわたしを褒めてあげるべきです。


 痛みを堪えて素早く立ち上がります。

 フラつくわたしを見て、好機だと思ったのか、リーフウルフが駆けて来ました。

 喉を狙って噛み付いて来たリーフウルフをすれ違い様に斬り伏せて、キラーパペットに迫ります。

 数回の打ち合いの末、キラーパペットを倒したわたしは、魔物の少ない方に移動しながら治癒ポーションを飲み干します。

 自分用に作った強力な治癒ポーションです。

 トレントから受けた身体の痛みは無くなり、キラーパペットにやられた頬の傷もすでに回復しています。


「なにか妙ですね」


 よく考えればおかしな事ばかりです。

 同じ植物系の魔物とはいえ、まったく別の種類の魔物が連携を取って来たことや、森の奥にわたしを誘導しているかの様な動きをしたりと不自然です。

 マンイーターを切ったわたしは開けた場所に出ました。

 そこは森の中にぽつんと出来た空間で辺りに木はなく、真ん中に大きな木が1本有るだけです。


 わたしを追っていたリーフウルフやキラーパペットなどの魔物はなぜかこの広場に入って来ません。

 ゲームとかで良く有る安全エリアみたいなものでしょうか?

 御神木の聖なる力とか?


「取り敢えずひと息つけますね」


 わたしがそう呟いた時、今日数え切れない程味わった感覚が、今までで1番強く背中を走りました。

 軽い地響きを感じたわたしは、木から離れるように跳びました。


 その瞬間、地面から鋭い木の根が飛び出しこちらに向かって伸びて来ました。

 慌てて後ろに下がり、更に距離をとります。

 すると広場の真ん中に立っていた木は自らの根っこを引っこ抜くと、根っこを足のようにして歩き出しました。


「こいつが魔物を操っていたのですね」


 これは多分トレントの上位種エルダートレントですね。

 Bランクの大物です。



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