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治療とわたしと龍の短剣

 

「ん?」

「あ、目を覚ましましたか?」

「ユウちゃん……私、どうしたの?」

「リゼさんは転魔症を発症して寝込んでいたのですよ」


 コンジキヤシャタケとサーリスさんが集めてくれた素材を調合した薬を飲ませたリゼさんは、数時間後に目を覚ましました。

 今頃は他の龍族の人達も目覚めている頃でしょう。


 コンコン


「はい」


 わたしがノックの音に返事をすると、サーリスさんが部屋に入って来した。


「リゼッタの目は覚めたのか?」

「ええ、迷惑を掛けたわね」

「気にするな。と言うか転魔症を発病するとは、本当に人間か?」

「失礼ね、人間に決まってるでしょ!」

「まぁ、少なくとも魔力的には龍並って事ですよね」

「ユウちゃん!」


  わたしとサーリスさんは声を上げて笑うのでした。


 それから数日、転魔症を発症していた龍族全ての治療が完了しました。

 アルルのお母さんも目を覚まして、すでに家族の所に戻っています。

 アルルの父親であるボーガンさんからとても感謝され、お礼にとお酒の樽を頂きました。

 このお酒は、龍仙境で作られている龍酒と呼ばれるお酒らしいです。

 わたしは嗜む程度ですが、お土産にはちょうど良いです。

 アルルなど、『大きくなったら薬師になる』と言っていました。

 でもアルルが大きくなるまでどれくらい掛かるのでしょうか?

 龍族は長命種らしいですが、どう成長するかはわかりません。

 

 リゼさんが完全に体調が戻るまで暇なので、龍仙境の商店にも寄ってみました。

 龍族の方々は結構頻繁に人間の国に出向いている様で、龍仙境でも人間の通貨が流通している様です。

 

「おお!これは良いものですね」


 わたしが見つけたのは短剣です。

 

「これは龍鱗の短剣だな」

「龍鱗の短剣?」

「ああ、我々龍族は成人するまでに少しづつ鱗が生え替わる」


  …………乳歯みたいですね。


「この短剣はその鱗を使って作られているんだ」

「龍族の鱗でできた短剣ですか」

「大人の龍族の鱗はしなやかさと魔力の通りやすさと頑丈さを併せ持つ物だが、子供の鱗はしなやかさや魔力の通りやすさが劣る代わりに大人の龍族の鱗よりも頑丈なんだ。

 そして、頑丈な鱗から順番に抜けて大人の鱗に生え替わる。

 特に5枚目までの鱗はとても硬い。

 そして龍族には、1番始めに抜けた最も硬い鱗は自分用の短剣に加工し、2番に抜けた鱗は両親に贈り、3番目から5番目の鱗を売って、成人の儀式で着る衣装を作ると言う風習がある」


 そう言うとサーリスさんは自分の短剣を見せてくれました。

 確かにお店で売っている短剣よりも上等な短剣です。

 サーリスさんの短剣よりは劣りますが、それでも売っている龍鱗の短剣はかなりの一品です。

 マーリンさん達へのお土産に良いかも知れません。

 

「ご主人、この短剣を頂けますか?」

「龍鱗の短剣か……龍族以外には売らないと言いたい所だが、嬢ちゃんはこの街の恩人だからな。

 だが負けてやる事は出来ねぇぞ?」

「はい、勿論適正な価格で購入します」

「何本買うんだ?」

「そうですね……では15本お願いします」


 15本もあればいいでしょう。

 

「15か……かなりの値段になるぞ?」

「大丈夫です」

「そうか……流石魔境の奥地まで来るだけの事はあるな」

 

 わたしはアイテムボックスから金貨を取り出し代金を支払うのでした。


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