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薬師のユウさん、大斧担いで自由に生きる  作者: はぐれメタボ
第二章《暗躍する魔族》
268/322

◆ランスロットの目的

誤字報告、ありがとうございます。

m(_ _)m

 ランスロット……アルさんは白髪の青年をそう呼びました。


 ランスロット…………ランスロット………ランスロット?


「……………ユウ先生、彼の事を覚えていますか?」


 失敬な!

 忘れた訳では有りませんよ。思い出せないだけです。


「も、もちろん覚えていますよ。ランスロットさんですよね。

 あの……ほら、王都の……冒険者の……ねぇ?」

「いえ、ユウ先生に絡んで父上と揉めて王都を追放になった僕の同級生です」

「あ!あ〜あぁ!はいはい!自分の実力も立場も弁えず、親の権力を振りかざしたあげく、フレイド様の目の前で辺境伯家の紋章をはたき落として廃嫡された貴族の跡取り(笑)のランスロットさんでしたか!」

「うぐぅ……そ、そうだ」


 ランスロットさんは若干苦そうな表情を浮かべて肯定しました。


「それでランスロット、何故君がこの国に?

 それにその髪は一体……」

「あ、あぁ、これは……っ⁉︎」

「なっ⁉︎」

「おや?意外でしたね。魔力を通していないとは言え、わたしのピリオドを魔力による【身体硬化】のみで受け止めるとは……以前とは比べものにならないくらい腕を上げましたね」


 首を狙って振るった戦斧を魔力で防御力を上げた腕で受け止めたランスロットさんは、わたしから素早く距離を開けました。


 その動きも無駄はなく、【身体強化】の応用である先程の【身体硬化】にしてもかなりの練度が伺えます。


 突然ランスロットさんに切り掛かったわたしにアルさん達は驚き戸惑っています。


「ユウ先生、いきなり何を⁉︎」

「て、敵なのですか?」

「おいおい、知り合いじゃ無かったのか⁉︎」

「知り合いですよ。知り合いの盗賊です」

「と、盗賊⁉︎」


 アルさんが声を上げてランスロットさんを見ます。


「アルさんには言っていませんでしたかね?

 ランスロットさんは王都を出た後、盗賊になっていたんですよ。

 あの時、殺したと思っていたので驚きました」

「盗賊⁉︎」


 アルさんはランスロットさんに視線を向けます。


「…………そうだ、漆黒の言っている事は真実だ」


 ランスロットさんは後悔の滲む表情で認めます。


「俺は……自らが罪人である事は理解している。

 だが……だが、今の俺にはやらなければならない事がある。

 その目的を遂げた暁には、必ず法の裁きを受けると約束する。

 たからこの場は見逃してほしい」


 ランスロットさんは深々と頭を下げました。


「むぅ……」


 わたしはチラリとアルさん達の方を見遣ります。


「ユウ先生、話くらいは聞いても良いのではないですか?」

「私もアル様と同意見です」

「それに奴はかなりの手練れだ。

 此処で一戦交えるのは如何なものかと思うぞ」


 そうでした。

 わたしは現在、アルさんの依頼を受けて隠密行動中でした。

 人気のない街道とは言え、あまり騒がしくするのも不味いですね。


「ふぅ〜、仕方ありませんね」


 わたしは臨戦態勢を解き、ピリオドを背負い直しました。


 ランスロットさんも安堵の息を吐き出しました。


「ただし、その目的とやらが何なのか教えて貰いますよ?」


 わたしの問いを聞くと、ランスロットさんが纏っていた気配がガラリと変わります。

 緊張していた様な気配から、怒りや憎悪、そして濃密な殺気です。


「っ!」


 ヴァルさんが咄嗟にアルさんとコゼットさんを庇う様に前に立ちます。


 わたしも反射的に手放していた戦斧の柄を握りしめていました。


 ランスロットさんはそれほどの殺気を放っていたのです。


 自身の殺気に気が付いたランスロットさんは数回深呼吸をし、殺気を抑えます。


 数秒後、幾分か落ち着いたランスロットさんは、怒りを押し殺した様な声色で自身の目的を口にしました。


「俺の目的は………………魔王コルダールを殺す事だ」

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― 新着の感想 ―
[一言] 続きが読みたいです。
[一言] 強くなりすぎでしょ(´・д・`) 前世を思い出して、今流行りのザマァ(笑)中なのかな?
[一言] よしやろう
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