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薬師のユウさん、大斧担いで自由に生きる  作者: はぐれメタボ
第二章《暗躍する魔族》
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◆後始末

 さて、後やっておく事は…………ああ、コレが有りましたね。


 わたしはアイテムボックスから数本の短剣を取り出しメリンダさん達に差し出しました。


「わたしは復讐は悪い事だとは思いませんよ。

 こっちのアホはフレイド辺境伯様に引き渡すのでダメですが、あっちのバカなら構いません」


 わたしはバカールを指差します。

 メリンダさん達は少し驚いた顔をしました。

 

「アホール以外は生死問わずと言われていますからね。

 出来れば生かしてある方が良いですがバカールなら最悪死んでも良いです。

 勿論、無理にとは言いません」


 わたしの言葉に戸惑っていたメリンダさん達でしたがメリンダさんを始め元冒険者の3人はすぐに短剣を手に取りました。

 もう1人の女性は村娘だったらしく、血生臭いのは苦手な様です。

 短剣を手にした3人はバカールにゆっくりと近付きます。


「ひっ、ひっ、や、止めろ!

 お前ら、俺が誰か分かっているのか!

 止めろ、く、来るな!

 来たら殺すぞ!

 や、止めがぁぁあ!」


 哀れですね。

 バカールは3人に滅多刺しにされています。


 あの3人はみんな元冒険者、すぐに死なない様に急所を避けて苦しめる様に刺していますが、わざとでしょう。

 特に身体中に鞭の痕が有った女性、カムパネルラさんが笑顔でナイフを振るう姿は、見ているだけのわたしも恐怖を覚えます。


 アホール(元)男爵は息子が血塗れになるって行くのを見て、恐怖に震えています。

 因果応報って奴ですね。


 わたしは屋敷を包囲しているであろうフレイド様の騎士達に連絡を取るべく、召喚したままだったデネブを向かわせるのでした。




「ユウさん!」


 アホールを騎士達に引き渡したわたしの所にアルさんが小走りでやって来ました。

 今は辺境伯家の家紋が入った鎧を付けています。


「おや、アルさん。

 アルさんが騎士達の指揮を執っていたのですか、大変ですね?」

「ははは……完全に他人事ですね。

 しかし、すでにこの屋敷にいた人間はすべて捕縛してありますからね。

 これから犯罪に関与していた者と何も知らなかった者を判別する為に聞き取りや尋問などがありますがそちらは専門の者がいますから」

「そうですか。

  メリンダさん達や他の場所に囚われていた被害女性はどうなるのですか?」

「彼女達からも事情を聞く為、しばらくガスタの街に留まって頂くつもりです。

 その後は故郷がある者は送り届け、帰る場所がない者は支度金を出すか住み込みで働ける場所を紹介する事になると思います」

「まぁ、そんなところですか」

「ところでユウさん。

 バカールの遺体には無数の刺し傷が有りましたけど?」

「抵抗されたので殺しました。

 確かアホール以外は死んでも構わないはずですねよ?」

「ええ、それは構わないのですが……急所を外して執拗に刺した傷跡が有りましたから……」

「抵抗されましたからね。

 刺し傷が沢山有るのはあのバカがすごく抵抗したからですよ」

「………………ユウさんなら一瞬で殺せたと思いますが?」

「………………抵抗されましたから」

「………………わかりました。

  抵抗されたから殺したんですね?」

「はい」


 アルさんはいろいろ言いたい事が有ったみたいですが、それらを飲み込み話を終わらせる事にした様です。


 アルさんもいろいろと経験を積んで大人になったのですね。



 アルさんに挨拶したわたしはリリの待っている雷鳥の止まり木へと戻る事にしました。


 それとあの地下牢に有った魔力の操作を妨害する結界を作るマジックアイテムは迷惑料としてわたしが貰える事になりました。

 後始末が終わった後になりますが引き渡せる状態になったら連絡をくれる約束です。


 アレを設置すれば魔力操作の訓練が捗るでしょう。

 だった5日の間で黒い鱗を作れる量が明らかに増えたのですから。


「ただいま帰りました」

「あ、師匠」


 雷鳥の止まり木に帰って来ました。

 扉を開けて中に入るとリリが駆け寄って来ます。


「リリ、突然留守にしてすみませんでした。

  問題は有りませんでしたか?」

「はい、大丈夫です。

 辺境伯様の使いの方が事情を教えてくれましたから。

 それと師匠が留守にしている時に来客が有りました。

 数日は戻らないと伝えたら師匠が戻ったら連絡をして欲しいと言われました。

 コレが連絡先です」


 リリから受け取ったメモに目を走らせます。


「師匠のお知り合いだと言っていましたが?」

「何度かお世話になった行商人さんですよ」

 

 メモに書かれていた名前はわたしがこの世界で初めて会った行商人、ロキさんでした。


 特に重要な用事などはないけれど、もし時間が有れば挨拶したいと書かれていました。

 ロキさんは今、雪獅子のたてがみ亭に泊まっているそうです。


 今日はもう日が暮れるので明日にでも店に来て貰える様に手紙を送っておきましょう。

 デネブに雪獅子のたてがみ亭まで届けてもらえればロキさんに渡して貰えるでしょう。


 わたしはサラサラと手紙を書き上げるとデネブを召喚し、雪獅子にたてがみ亭へと向かわせました。

 さて、ロキさんに会うのは明日。


 今日は早めに店を閉めてリリと手の込んだ物でも食べましょうか?

 仕込んでおいたトーフがいい感じに出来ているのでマーボー豆腐とかいいかも知れません。

 確かグリント帝国で買った香辛料がまだ沢山有ったはずです。


 美味しかったら風切羽でも出してもらいましょうか?

 わたしは今晩のメニューを考えながら店の奥へと足を踏み入れるのでした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんでもユウがやってあげるんじゃなくて被害者に復讐させるのが良かった。 本来ならこういうクソ男は長期間鞭打ち、ケツを掘り、皮膚と尻をズタズタに引き裂かれる苦しみを自ら味わった上で滅多刺し…
[一言] やっぱ香辛料って貴重なんかな
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