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薬師のユウさん、大斧担いで自由に生きる  作者: はぐれメタボ
第二章《暗躍する魔族》
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◆大武闘祭・決勝戦②

 ザムさんは、今までとは明らかに違うスピードで、わたしとの距離を詰めると流れる様に剣を振るいます。


 ギリギリ目で追えるかどうかの高速の剣閃を何とか回避しています。

 とてもではありませんが反撃など出来る状況では有りません。


「くっ!」


  どうにか距離を取りながら牽制に【ウォーターボール】を打ち出しますが、あっさりと核を斬られ霧散してしましました。


 なんと言いますか、相性が良くないですね。

【鱗戦斧】での攻撃は剣や槍に比べると、どうしても遅くなってしまいます。

 その辺の盗賊相手なら問題ありませんが、ザムさんのようなスピードタイプの強者とはやり辛いです。


 魔法は掻き消されてしまいますし、どうしたものでしょうか?

 いえ手が無い事は無いのですが…………


 ザムさんもそれに気づいているのでしょう。

 わたしが距離を開けると直ぐに距離を詰めようとして来ます。

 仕方ありません。

 本当はこんな事したくは無いのですよ?

 

「はっ!」


 手にしていた【鱗戦斧】を全力で振り下ろします。

 ザムさんは余裕で躱しましたが、問題は有りません。

 狙いは別に有ります。


 わたしの【鱗戦斧】は足下の石畳へと突き刺さりました。


 ドォ!


 普段は【鱗戦斧】を形成している魔力は薄く、硬く、切れ味を鋭くイメージしてあります。


 しかし今は兎に角硬く、頑丈にして、鋭さは意識的に落としてあります。

 結果、石畳は断ち切れる事なく、粉々に砕け散りました。


「いだだだだだ!」


 う~、痛いです。

 飛び散った石飛礫がわたしの全身を打ち据えます。


 しかし、ダメージを負ったのはわたしだけでは有りませんよ!

  【鱗戦斧】を躱し、追撃の為わたしの背後に回ろうとしていたザムさんも石飛礫を食らっています。

 

「…………!」


 腕を上げ、顔(仮面)を庇った隙に距離を開けます。

 そして……。


「はぁぁあ!」


 わたしは【鱗戦斧】を思いっきり振り抜きます。

 高校球児も真っ青なフルスイングです!

 全身の力を余す事なく込めたスイングを受けた石畳は、無数の瓦礫の弾幕と変わり、ザムさんへと殺到します。


「……………………」


 瓦礫の弾幕は【ウォーターボール】の様に打ち消したりは出来ません。

 石ですからね!


 わたしの知的な戦術です!


 飛ばした瓦礫が次々とザムさんに叩き込まれて行きます。


「ぐぅっ」


 とうとうザムさんが膝を着きました。

 これで決めます!


「【断空】」


【鱗戦斧】を形成していた残りの魔力を全て使い【断空】を放ちました。


 わたしが放った魔力の刃は瓦礫を受け、体勢が崩れていたザムさんの身体を捉えます。


 強力な魔力を受けたザムさんは、堪える事は叶わず、吹き飛ばされてしまいました。


 そして、フラフラと立ち上がったザムさんでしたが、2、3歩歩いたところで倒れこみました。

 数秒間、会場がシンとした空気に包まれ、そして、盛大な歓声が上がりました。


「そこまで、勝者ユウ!」


 わたしの優勝です!

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