神様とわたし
すみません、3話を重複して投稿しておりました。
m(_ _)m
気が付くと、何処までも続く白い空間にわたしは立っていました。
いつから此処に居たのか、何故此処に居るのかは思い出せません。
しかし、心は落ちついているし、頭も冷静、こんな状況なのに全くパニックになっていない自分に少し違和感を覚えます。
「やぁ急に呼び出して済まないね」
いつの間にか目の前に男性が立っていました。
男性…多分男性だと思います。
その男性?は少し目線を離せば顔を思い出せません。
しっかりと見えている筈なのに霞がかかった様な不思議な人物でした。
「楠木 優香さん、残念ながら君は2025年3月25日03時46分に、就寝中の心臓発作により死亡しました」
なんと!どうやらわたしは死んでしまったらしいです。
では、何故此処にいるのでしょうか?
そして、彼は何者なのでしょう?
疑問は尽きませんが、わたしにはこの状況に心当たりがあります。
高校に入学したばかりの頃、事故で両親を亡くして、ショックでしばらく引きこもっていた時に、現実逃避で幼馴染に借りて読み始めたファンタジー小説の類いです。
心の整理がついて、両親の為にも頑張って生きて行こうと決めてからも、その手の作品は大好きです。
小説でのセオリー通りならわたしが死んだのは神様のミスとか言うのが定番です。
「確かに僕は君達人間が神と呼ぶ存在だけれど、君の死はもともと決まっていたもので、僕は何もしていないよ」
違いました⁉︎
恥ずかしいです。
状況からして、てっきりお詫びに異世界転移の流れだと思いました。
「僕のミスではないけれど君に異世界に行って貰いたいと言うのは合ってるよ」
マジですか!?
え?
マジ?
わたしは勇者とか聖女とかそんな感じなのですか?
「いや確かに邪神とか居るけど……そっちはちゃんと勇者が居るから大丈夫だよ。
君に転移して貰いたいのは、まぁ、僕の趣味みたいな感じかな」
趣味!?
驚愕の事実が発覚です。
神様ってやつはフットサル感覚で人間を異世界に送るのでしょうか?
「なんか最近僕達の間で異世界転移が流行っててね。
僕もやってみようかなって思ってさ」
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
「地球の特に日本の作品は人気でね。
品薄でなかなか手に入らないんだよ」
さすが日本のサブカルチャー、クールジャパンですね。
「向こうの世界に行っても、特にやらなければならない事とかは無いから、君の好きに生きてくれればいいよ。
そして向こうの世界の文化に少しだけでも良い影響が出てくれたら嬉しいね」
どうやら本当に使命とか目的とかは無いようです。
となると後はお待ちかねのチートタイムでしょうか?
最近は、チートなしで転生とかも多いので少し心配です。
わたしにはハーブの知識とか、ミリタリ知識とかは有りませんよ?
「あぁ 安心してくれ。
ちゃんと用意してある」
おぉ!良かった。
どうやらチートは貰えるようです。
神様はCDケースの様な箱から2枚のカードを取り出しました。
あのカードがチートと何か関係があるのでしょうか?
「はい、これ持って」
神様はわたしに3枚のカードを手渡してきました。
カードには【アイテムボックス】【人気技能・知識セット】【技能:武芸百般】と書かれています。
この怪しいカードでチートが貰えるのでしょうか?
!?
すると、突然カードが燃え上がり灰がわたしの身体の中に吸い込まれて行きました。
その瞬間わたしの頭の中に異世界の知識や習慣、手に入れた技能や魔法の使い方などの知識が流れ込んで来ました。
まるで、初めから知っていた事を思い出した様な不思議な感覚です。
「これで君に技能や知識を付与できたはずだ。
どんな感じだい?」
「た、確かに魔物の種類や解体方法が分かります」
「ああ、それに武芸百般の技能によって高い戦闘力を得られているし、精神力も強化してあるから例え盗賊なんかに襲われても冷静に対処できる。
それに、毒や幻惑などにも耐性を付けておいたから安心だよ」
実感は有りませんがそれだけの力を与えて貰ったみたいです。
「後はこれだね」
神様が腕を振ると、私の前にスロットマシーンが現れました。
「このスロットのリールは左から技能、魔法、マジックアイテムに成っている。
それぞれ1つ君に与えよう」
なんと更にチートを頂ける様です。
ですが、なぜスロットマシーンなんでしょうか?
わたしはスロットマシーンの横にあるレバーを引きました。
するとスロットマシーンのリールが凄いスピードで回り始めました。
とても目で追えるスピードではなかったので適当に押すしか有りません。
! ! !
・薬師
・召喚魔法
・夜天のローブ
スロットの結果この技能と魔法、アイテムを頂きました。
「ではそろそろ転移してもらうよ」
神様がそう言うとわたしの意識は朦朧としてきました。
「神様、色々とお世話になりました」
わたしは薄れて行く意識の中なんとか神様にお礼を言う事が出来ました。
「2度目の人生を楽しんでくれ」
神様のその言葉を聞きながら、わたしは意識を手放したのです。