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薬師のユウさん、大斧担いで自由に生きる  作者: はぐれメタボ
第二章《暗躍する魔族》
199/322

◆弟子のお使い

「はい、いつものです」

「ああ、ありがとう」


 私は商品が入った籠を手渡して、お婆さんから代金を受け取った。


「では私はこれで」

「あら、お茶でも飲んで行かないかい?」

「すみません。まだ届け物が有るんです」

「そうかい。気をつけて行くんだよ」

「はい、ではまた」


 私はお婆さんの家から大通りに出る。

 危ない危ない。

 あのお婆さん、良い人なんだけど話が長いんだ。

 勿論まだ用事が有るのは嘘じゃないけど、捕まったらすごく時間がかかってしまう。


 その後も数件の届け物を終えた私は、今度は商業ギルドへとやって来た。


 ギルドに入ると正面にカウンターがあり、右手側にクエストボード、左手側に商談スペースがある。


 私は空いている受付に向かうとマジックバッグからいくつもの瓶を取り出してカウンターに置いた。


「納品をお願いします」

「はい、いつもありがとうございます」


 私はいつもの様に商業ギルドで納品を済ませると代金を受け取る。

 しかし、そのまま立ち去ろうとした私は、商業ギルドの職員に呼び止められた。


「これ、あなたのお師匠様に手紙が届いているわよ」

「ありがとうございます。預かります」


 私は師匠宛の手紙を預かると、今度こそ商業ギルドを後にした。

 最後に市場でいくつかのお使いを済ませ、私と師匠が暮らすお店に戻る。


「ただいま~」

「ん?ああ、リリでしたか。お帰りなさい。

  すみませんね、色々と頼んでしまって」

「いえいえ、あ、師匠宛の手紙を預かって来ました」

「わたし宛の手紙ですか?

 これは…………シアさんからですね」

「シアさんってたしか……『レブリックの才女』様ですよね?」

「そうですよ」


 師匠はレブリックの才女様からの手紙を読むと立ち上がった。


「リリ、私は少し出掛けて来るので店番をお願いします」


 師匠はフットワークが軽い。

 いきなり何処かに出かけるのはよくある事だ。


「何処に行くんですか?」


 師匠はニヤリと笑うとその黒い瞳と同じ漆黒のローブを羽織る。


「東方の島国『リュウガ王国』です」




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 ポーション屋『雷鳥の止まり木』の店番を弟子のリリに任せたわたしは、オリオンに乗ってシアさんの待つレブリック公爵領を目指しています。


 シアさんの手紙は、東方の島国、リュウガ王国のお偉いさんの病気の治療を依頼する内容でした。


 リュウガ王国は最近までは激しい潮流や危険な海の魔物に阻まれ、大きな交流が無く、命懸けで航海した少数の個人が交流していたくらいです。

 リュウガ王国のお偉いさんの治療を成功させれば貿易にも有利に働くでしょう。

 

 そうすると、シアさんから送って貰っているリュウガ王国の食べ物も更にグレードアップすると言う絡繰りです。


 現在はシアさんに会い、詳しい話を聞く為、レブリック公爵領に向かっていると言う訳です。


「ん?」


 下の森に気配を感じたわたしはオリオンから身を乗り出して様子を窺います。


「あれは……ゴブリンですか」


 近くに村も有りますし、始末しておいた方が良いですかね?


「あ!」


 ゴブリンの近くの茂みに誰か隠れて居ますね。

 森の木々が邪魔でよく見えませんが、逃げている訳ではなくゴブリンを狙っている様です。

 ベテラン冒険者が新人に身の隠し方を教えている様に見えます。


「冒険者みたいですね。なら放っておいても良いですね」


 獲物の横取りはマナー違反です。

 

 わたしはレブリック公爵領へと急ぐのでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] ユウさん店番できる弟子を採ったみたいですね。ユウさんお米の国に行くようですね。昔の侍が居る日本みたいな国なのかな。
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