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契約とわたし

 送別会の後、わたしとシアさんは机を挟んで対峙します。


 今のシアさんはわたしの教え子ではなく、大商会を率いるAランク商人。

 契約書を前にしたシアさんのプレッシャーはまるでネームドモンスターの様です。


「ではユウ先生、今回の取引ですが、わたくしからはお米と東方の島国の珍しい食べ物をご提供できます。

 そして、わたくしはユウ先生の故郷の調味料、味噌と醤油の製法を教えて頂きたいのです。

 対価としてお米とわたくしのおすすめの珍しい食べ物、そして味噌と醤油が完成した後にはその売り上げの3%を10年間お支払いすると言うのは如何でしょうか?」

「そうですね…………」


 正直わたしにはその条件が好条件なのか、足下を見られているのかも分かりません。


「お米と珍しい食べ物は嬉しいです。

 ですが売り上げの3%と言うのは頂けません」

「やはりそうですか。では売り上げの5%では如何でしょうか?」

「いえ、お金は要りません。

 その代わり、完成した味噌と醤油を分けて下さい」

「え⁉︎しかし、それでは売り上げの3%にも満たないと思いますよ?」

「わたしは冒険者ですからね。

 この契約でお金を儲ける必要は有りません。

 そもそも、わたしが味噌と醤油を自作していたのはこの大陸で手に入らなかったからです。

 それを作ってくれるなら、わたしもわざわざ作る事もないのですよ。

 大商会の方が色々と工夫してくれた方が良い物が出来るでしょうしね」

「……そうですか、ではお言葉に甘えさせて頂きます。

 契約はユウ先生から味噌と醤油の製法や活用法を教えて頂き、わたしは対価としてお米と珍しい食べ物、そして完成した味噌と醤油を定期的にガスタまでお届けすると言う事でよろしいでしょうか?」

「はい、それで構いませんよ」


 そして、シアさんが書き上げた契約書をお互いに確認します。


「では失礼して契約魔法を使わせて頂きますね」


 そう言うとシアさんは魔法を詠唱し始めました。


「契約と法を司る者よ 新たなる約定に 祝福を 【ギアス】」


 シアさんが使用したのは契約魔法です。

 効果はわたしが前にフレイド様から貰った誓約の呪具と同じようなものです。


 今回の契約ではどちらかが契約を反故にした場合に相手の持つ契約書が燃え上がると言うものです。

 たいして意味の無い契約ですが、大商会の会頭であるシアさんとしてはキチンと契約を結んでる事が重要らしいです。


「これで契約は終了です。

 良い取引が出来ました、ありがとうございます」

「こちらこそありがとうございます」


 とても疲れました。

 しかし、これが今回の臨時教員の依頼で1番の報酬かも知れません。


 何と言ってもお米を手に入れる事が出来たのですから。

 そして、別れ際にシアさんからかなりの量のお米を貰いました。

 とても嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公の故郷の主食だって知ってるのにシア側は調理法とか活用法の情報の類は契約に入れないのね 別の土地の食べ物を売るなら食べ方を広める事は常套手段なのに
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