追跡とわたし
生い茂る木々を抜けて森の奥へと入って行きます。
そして強力な魔物の魔力を感じた場所に到着しました。
そこには、またあの貴族のバカ少年達とオークキングが対峙していました。
オークキングと取り巻きのオークジェネラルやオークは、草むらで分かりづらいですが、洞窟の様なところから出てきているみたいですね。
オークの群れはゴブリンと同様、粗末な小屋などを建てて村をつくる事が多いです。
洞窟をそのまま巣にしているのは珍しいですから、間引きの冒険者達も見逃したのでしょう。
オークはバカ少年達を取り囲もうとしています。
「くっ、逃げるぞ! 走れ!」
お?
てっきり根拠の無い自信で戦いを挑むと思ったのですが相手の数を見て逃走を選びましたね。
単にびびっただけかも知れませんが……
逃げ出したバカ少年達をオーク共が追いかけます。わたしも後を追いましょう。
必死で走るバカ少年達の後に続く様に10体程のオーク、オークジェネラル、オークキングが後を追っています。
学生にはちょっと多いですね。
わたしはアイテムボックスから烈風の斧を取り出して振りかぶりました。
狙うのは10体も居るオークの脚です。
半分くらいに間引いておきましょう。
「ふっ!」
「ブッ!」
鋭く渦巻く風を纏った斧に足を切り裂かれたオークが悲鳴をあげて転がります。
「ふっ!」
「フゴッ!」
「ほっ!」
「プギィ!」
「やっ!」
「グボっ!」
こんな物ですか。
バカ少年達を追っているオークの数は5体になりました。
わたしは転がっているオークに素早くとどめを刺して再度、追跡します。
「えい!」
「プギィ!!」
オークキングの背中に突き刺さった烈風の斧はその風によりオークキングの背中をズタズタに切り刻みました。
オークキングは瞳に怒りを宿してわたしの前に立ち塞がりました。
さ、作戦通りですね。
オークキングの槍を躱しながら考えます。
今、バカ少年達を追っているのはオークジェネラルとオーク5体、生徒達だけでは勝つ事は出来ないでしょうが、少しくらいなら持ち堪える事が出来るでしょう。
わたしは少し掃除をしなければなりません。
「【光鱗】」
「グブゥゥウ!!」
オークキングの槍がわたしの心臓を目掛けて突き出されます。
「【魔装:鱗鎧】」
魔力で出来た光の鎧が槍の穂先を砕きます。
「プギィ!」
わたしは、驚愕しているオークキングに【威圧の魔眼】を全力で掛けながら雷鳴の鉈を取り出します。
「【魔装:鱗鉈】」
光の鱗が宿った鉈を振り、オークキングの両腕を切り飛ばします。
「グブゥゥウ!!」
「お疲れ様です」
オークキングの首を切り飛ばしたわたしは、手早く死体を回収しバカ少年達を追いかけるのでした。