表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/322

条件とわたし

  ロック鳥のさえずり亭でお菓子を作ってから数日が経ちました。

  わたしは幾つかの依頼をこなして異世界生活を満喫しています。

  それにしてもゴブリンが多いです。

 依頼で外に出ると必ず現れます。確定エンカウントです。

 ギルドから調査隊が出されたと耳にしたのですが、そろそろ戻ってくる頃だと思います。


  依頼の魔物を討伐してガナの街に帰って来たわたしは軋むスイングドアを開けてギルドに入ります。


「何だてめぇ、ガキがなぎょっ!!」


  ギルドは何時もと変わりません……平和です。


「ただいま帰りました。査定をお願いします」

「ユウさん、おかえりなさい。査定の間少しお待ち下さい」


  ラティさんも大分慣れて来た様で、わたしに絡んだ冒険者が吹き飛ばされても特になにもリアクションしなくなりました。

  人間とは環境に適応する生き物なのですね。

  わたしは背負っていた戦斧を立て掛けて椅子に座ります。

  なんとなくカウンターの方を見ているとギルドの職員さん達が慌しくしています。

  なにかあったのでしょうか?


「ユウさん、査定が終わりました」


  あ、お呼ばれしました。


「こちらが討伐報酬と素材の売却金です。

  それと今回の依頼でランクアップの条件を満たしたので、ユウさんはDランクに上がりました」


  Dランクになりました。

  このランクからは護衛依頼を受ける事が出来ます。

  Eランクの冒険者はDランクまでの依頼を受けることができますが、例えDランクの依頼でも護衛依頼を受注できるのはDランクからです。


「ランクアップの条件ってなんですか?」

「いろいろ有りますが、Dランクにあがるには、討伐依頼を規定の数こなす事と、採取依頼を2回以上、そして対人戦の経験がある事が条件です。

  Cランクには規定の数の依頼をこなす事と、ギルドへの貢献度が一定以上ある事でランクアップできます。

  Bランク以上はギルドマスターが許可した人がランクアップ試験に挑戦出来ます」


  なるほどCランクまでは依頼をこなしていれば自動的に上がる様です。

  しかし、1つ疑問があります。わたしはギルドで対人戦の依頼は受けていません。

  そもそも対人戦のある依頼はDランク以上にしか有りません。

  まさかギルドで絡んできた冒険者を叩きのめしたが対人戦の経験なのしょうか?

 ラティさんに尋ねると……


「Dランクに上がる条件を満たした方で希望する方にはギルドから指名依頼扱いで盗賊の討伐などの依頼を受けて貰う事に成っています。

  対人戦の経験と言ってはいますが、要は人を殺せるかが問題なのです。

  Dランクからは護衛など対人戦の可能性が高い依頼が有ります。

  いざという時、盗賊などを殺す事に戸惑ったりすると自分だけでは無く、仲間や依頼人を危険に晒す可能性が有りますのでDランクの条件と成っているんです。

  ユウさんの場合はギルド登録前ですが複数人の盗賊を討伐していると衛兵から報告を受けていますので条件はクリアしています」


  ラティさんに聞くと、冒険者になる前でも問題はないそうです。

  元兵士など、条件を満たしている人も結構いるそうです。

  わたしはもう1つ、気になった事を聴きました。


「ギルドの職員さんが慌しいですが、何か有ったのですか?」

「それが……ゴブリンの調査に出ていた調査隊が帰ってきたのですが、かなりの規模の村を発見したらしいです。

  近いうちに討伐隊が組まれる筈です」

「ゴブリンの村ですか」


  やはりゴブリンは近くに村を作っていたようですね。

  村まで作っていると言うことは率いているのはゴブリンリーダーやゴブリンコマンダー程度ではないですね。

  最低でもゴブリンジェネラル位は居るのでは無いでしょうか?


「しかも、調査隊はゴブリンキングの存在を確認したらしいです」

「ゴブリンキングですか!?」

  ゴブリンキングはCランクの魔物です。

 ベテランがパーティを組んでようやく互角に闘える魔物です。

  厄介な奴が出てきました。


「恐らく辺境で縄張り争いの末、流れて来たものだと思われます」


  ラティさんから情報を貰っているとカウンターの奥で職員に指示を出していたギルドマスターがこちらへとやって来ました。

  わたしに何か用事でしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ