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落書きとわたし

 

 わたしの前にはメイスと盾を構えたシアさんが緊張の面持ちで合図を待っています。

 新たな串焼きを手にしたわたしは、砂時計をひっくり返しました。


「始め」

「はぁぁあ!」


 わたしの合図と同時にシアさんは飛び出して来ました。


 シアさんは、先に戦ったアルさんとクルスさんの戦い方を見て、最初の肉を齧るのを妨害するべきだと判断したのでしょう。


「正解ですよシアさん、しかし!」


 わたしはシアさんのメイスを弾き返すと大きく横振りの攻撃を繰り出します。

 

「くっ!」


 シアさんが盾を構えて受け止めようとしますがその攻撃は囮です。


 わたしは盾に弾かれる前に攻撃を止めるとガラ空きになった腰に回し蹴りを命中させます。


「戦略が合っていても戦い方が素直すぎます。もっと相手の裏をかく様に考えて下さい」


 天才お嬢様だと思っていたのですが、意外とシアさんは強いです。


 ただ、その強さは天賦の才によるものです。

 実戦による『経験』が圧倒的に足りません。

 この世界に来たばかりのわたしより少し弱いくらいです。


「はぁ、はぁ、も、もうダメですわ」


 わたしが最後の肉を食べるのと同時にシアさんが崩れ落ちます。


 戦闘態勢をとると無意識のうちに【威圧の魔眼】が発動してしまいますね。

 早くなんとかしなければ。


「シアさんが今のところ1番筋が良いですね。

 それでも、やはり実戦不足です。

 簡単なフェイントや視線による誘導などを使いこなせる様になればもっと強くなれますよ」


 息も絶え絶えのシアさんに評価を告げた後、わたしは最後の1人、マーリンさんに笑顔で告げます。


「最後はマーリンさんですね。

  始めましょう」

「は、はい」


 マーリンさんもシアさん達と同様に倒したわたしは、前にアルさんに教えた事と同様に、武器と魔法を組み合わせて戦う事の利点を説明、実演しました。


 そして、2度の模擬戦で力尽きているSクラスの皆さんに余った串焼きを渡し、訓練場を後にします。


 続きはまた次の授業です。

 1度に詰め込めばいいというものではありませんからね。


 武器と魔法を上手く組み合わせて戦うには、しっかりと考える事が必要です。

 しっかりと考えて、身体に叩き込み、『無意識に考える』事が出来なければなりません。


 ん?

 わたしですか?

 わたしはちゃんと考えていますよ。

 ただ、普段戦う盗賊程度では、そこまで高度な戦闘技術は必要ありません。


 では、わたしの戦闘技術は何処から出て来たのかと言うと、『漫画』です。

『小説』や『アニメ』でも可。


 漫画の強い魔法使いはほとんど体術や剣術も強いのです。

 こんな方法でいいのかって?

 いいんです!

 わたし自身、漫画やアニメの修行を取り入れて強くなれましたからね。




 授業を終えたわたしは、また図書館に来ています。

 ここは素晴らしいですね。


 今回の報酬として図書館に自由に出入り出来る権利を貰いましょうか?


 わたしは表紙を流し見しながらフラフラと歩いていました。

 すると、足元の床石に何やら幾何学的な模様が彫り込まれてのを発見したのです。

 ただの生徒の意味のない落書きにも見えますがこれは…………。


「まさか!」


 わたしは急いで図書館の地下に降りて行きます。


 そして、地下14階、2年前に事件が起こった地下室に繋がる通路がある場所です。

 現在は王国兵さんが3人、警備に付いています。


「む、何者だ!」

「怪しい者ではありません。

 わたしはユウと言います。

 この学院の臨時教員です。」

「臨時教員……ああ、聞いているぞ。

 では君がAランク冒険者なのかい?」

「はい、そうですよ」


 わたしはギルドカードを、提示します。


「確かに確認した。

 それでここに何か用か?」

「はい、隠し通路の入り口を少し見せて欲しいのです」

「入り口を?

 まぁ、入り口くらいなら良いか、中には入るなよ」

「はい、ありがとうございます」


 わたしは地下室に繋がる通路の入り口を丹念に調べました。


 すると隠し扉の辺りにまた、あの幾何学的な模様を見つけました。


 やはりわたしの推測は正しかった様ですね。

 わたしは次の場所に向かうため、警備の王国兵 さんに軽く手を振りその場を後にしたのでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] ユウさんは何を見つけのでしょう。マーリンさんたちが遠征に行くまでに解決するかな。
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