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斧とわたし

  わたしは貸していた剣と槍を返してもらい、これから報告すると言う《大樹の絆》の3人と別れ、ギルドの近くにある武器屋にやって来ました。

  ここはギルドと提携していて、飛び抜けて性能の良い武器は無いものの、量産品で安めの武器を主に扱っているそうです。

  《大樹の絆》に聞きました。


「こんにちは」

「いらっしゃい。今日はなんの用だい?」

「武器のメンテナンスと買取、あと良い武器が有ったら買いたいです」

「分かった。じゃあ先ずはメンテナンスからやるか。見せてみな」

「このショートソードなんですが前の戦闘から少し違和感があるんです」


  武器屋のお兄さんは、わたしが手渡したショートソードをくるくる回しながら点検していきます。


「芯に歪みがあるね。この剣を振ってみてくれるかい?」


  お兄さんはカウンターに立て掛けてあった剣をわたしに差し出しました。


 ピッ、ヒュ、シュ


  受け取った剣を何度か振るいます。

  もう良いと言うのでお兄さんに剣を返します。


「やっぱり、君の技量にこのショートソードの性能がついていけてないみたいだね。

  どうする?

 直す事も出来るけど…多分またすぐに歪みがでるよ?」

「では可能なら下取りしてください」

「分かった。あと買取る武器はどれだい?」


 アイテムボックスから剣を7本、槍を2本、短剣を8本、ナイフを9本、戦斧を1本取り出し、カウンターに並べます。


「結構あるな。

  査定するから少し店内で待っていてくれ」

「分かりました」


  少し時間が掛かるようです。

  その間わたしは武器を見て回ります。


「おぉ!これは良いですね」


  1本の戦斧が目に留まりました。

  柄がわたしの身長ほど有る大きな戦斧です。

  盗賊の頭が使っていた戦斧を振り回すのはなかなか爽快で楽しかったです。

  メインの武器を戦斧にするのも面白いですね。

  小汚い盗賊の戦斧と違い、この戦斧はピカピカでかっこいいです。


  品質も悪くない様ですし、これならわたしが振るっても大丈夫だと思います。

  戦斧やナイフなどを見ている内に査定が終わった様です。

  お兄さんに呼ばれてカウンターに向かいます。


「ショートソードも合わせて、ぜんぶで金貨2枚と小金貨3枚、小銀貨5枚だな」

「はい。それで構いません」


  わたしはお金を受け取り、先程の戦斧を指差します。


「あと、あの戦斧と短剣を2本、投擲用ナイフを10本ほど頂けますか」

「え!?君が戦斧を使うのかい?」

「はい。そのままだと少し重いですが、身体強化の魔法を使うので問題有りません」

「そ、そうかい。あぁ、短剣と投擲用ナイフだったね」


 お兄さんは2本の短剣を持って来てくれました。


「君の技量だとこれくらいか……できればもう1段階上等なものが良いんだがな、生憎とウチには在庫は無い。

 こっちはアイアイマンティスの甲殻から作られた短剣だ。鉄以上鋼以下ってとこだね。

 それでこっちは鋼製の短剣、ウチにある中では最高ランクの短剣だよ」

 

  2本とも良いものですね。

  お兄さんはカウンターの下から簡単な鞘に収められたナイフを取りだしました。


「投擲用ナイフならこんな物かな」

「ん?短剣に比べると少し劣りそうですね?」

「投擲用なら回収出来ない可能性も高いからね。これくらいで良いと思うよ。

  まぁ、念の為、別に少し品質の良いナイフも持つ人もいるね。」

「ではこれと別に、もう2本質の良い投擲用ナイフをお願いします」

「あいよ」


 お兄さんはまたカウンターの下からナイフを取りだしました。


「欲しいのはこれで全部かい?」

「はい。お会計をお願いします」

「え~と全部で金貨4枚、小金貨8枚、銀貨1枚だな」


  流石にかなりの値段になりました。

  武器を売ったお金と指名依頼の報酬の殆どが無くなってしまいます。

  でも、命を預ける武器に妥協は出来ません。

  お金を支払い、お店を後にしました。


  わたしはピカピカの戦斧を背負ってご機嫌で宿に帰ります。

  アイテムボックスが有るのでわざわざ背負う必要はないのですが、こっちの方が冒険者っぽくてカッコいいです!




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― 新着の感想 ―
[一言] 今更ながら最初にもらった技能:武芸百般は武器の扱いは雑で、歪みを産まない技術などは含まれて無いんだな
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