表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
145/322

犯罪組織とわたし

 暗殺者を捉えた翌日、ヤナンさんが尋問の結果を教えてくれました。


「あの者は『高き釣鐘』と言う組織に所属する暗殺者である事が分かりました。

 高き釣鐘は古くからこの帝国に根を張る組織の1つなのですが、貴族の中にも繋がりがある者もいる大きな組織なのです。

 彼女の生家であるフラン子爵家に兵を遣りましたが、すでにもぬけの殻で使用人すら居なかったそうです」

「貴族が暗殺者なんてやっているのですか?」


 わたしはてっきり本物を殺して成り代わっていたのだのだと思っていました。


「それだけ根が深いと言う事です。

 また、高き釣鐘の暗殺者は様々な場所に潜入していると言われています。

 冒険者ギルドや商業ギルド、兵士や市井の民に紛れ込んでいます。

 そして、上からの指示があると暗殺者として活動するのです。

 潜入してそのまま生涯を終える者も多いと聞きます」


 今回、わたしを暗殺する為、彼女に指示が出たのだそうです。

 毒が致死量に足りなかったのは、わたしがどの料理を食べるかが分からなかった為、全ての料理に毒を仕込、弱ったところを仕留めるつもりだったそうです。


「高き釣鐘ですか……」

「はい、高き釣鐘はもともと帝国が建国された時に民によって作られた自警団が元となった組織なのです。

 帝国は初代皇帝陛下によって邪神に壊滅的な被害を受けた国々が纏められ建国した国でございます。

 その為、建国当初は至る所で争いや意見の食い違いが有ったのです。

 そう言った国の手が届かない問題を調停したり、潰したりしていたのが高き釣鐘の前身である自警団なのです」


 日本のヤクザみたいですね


「そして、現在帝国にある大きな組織はもう1つ有ります。

『堅固な水門』と言う組織なのですがこの2つの組織は非常に仲が悪く、稀に民を巻き込んでの抗争などに発展する場合もあるのです」

「堅固な水門の方は宮廷に暗殺者を送り込んだりはしていないのですか?」

「絶対に無いとは言えませんな、堅固な水門も建国当初から存在する組織ですので……暗殺者では無いにしても諜報員は確実にいるでしょう。

 また、堅固な水門は主に違法薬物の取り引きや誘拐、人身売買、密漁などを行なっている組織なのですが高き釣鐘は諜報や暗殺、闇市や用心棒などを行う組織です。

 高き釣鐘はその成り立ちから誘拐や人身売買は厳禁としている為、対立しているのです」


 ヤクザとマフィアみたいですね。


「 ルクス様の治療が可能なユウ様を狙っている者が高き釣鐘に依頼したと思われます。

 お気をつけ下さい」

「分かりました。

 依頼主は分からなかったのですか?」

「様々な方法で聞き出そうとしたのですがどうやら上からユウ様を殺すよう指示を受けただけで、詳しくは知らなかったようです」


  『様々な方法』ですか、恐ろしいです。

 まぁ、皇帝陛下に毒を盛ろうとしたのですから仕方ないですね。

 わたしはヤナンさんの話を聞きながら作成していた薬を確認し、ヤナンさんに手渡します。


「この薬を食後に飲ませて下さい」

「畏まりました」


 今朝早く、ルクス様は目を覚ましました。

 しかし、今は高熱で寝込んでいます。

 この薬は高熱の原因であるバレクスパイダーの毒を解毒する薬です。


「わたしは城下町を見てみたいので夜まで少し出かけて来ますね」

「え⁉︎ しかし、ユウ様は現在、高き釣鐘に狙われているのですよ」

「まぁ、大丈夫ですよ、多分」

「わ、分かりました。

  ではすぐに護衛を……」

「護衛は要りませんよ」

「いえ、しかし……」

「そもそもわたしはAランク冒険者ですよ、そう簡単にやられたりはしませんよ」


 慌てるヤナンさんを尻目にわたしは城下町へと繰り出すのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ