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報告とわたし

「助けて頂きありがとうございます」


  そう言ってわたしに頭を下げるのは、Fランクパーティ《大樹の絆》の3人です。

  剣士のカイ、槍使いのマルク、魔法使いのレナと言うお手本のようなバランスの良いパーティです。


「たまたま近くに居ただけだから気にしないで下さい。

 皆さんはあのゴブリンを討伐しに来たのですか?」

「いえ、僕たちはまだFランクなので、街の近くで薬草を採取してたんです」

「そろそろ切り上げて帰ろうとしてた時にゴブリンに見つかってしまって」

「1匹、2匹なら兎も角、5匹もいたんじゃ私達では、とても勝てないから全力で逃げたんです」


  なるほど、剣士に槍使いと聞きはした物の彼等は剣も槍も持っていません。

  恐らく少しでも身軽になる為に棄てたのでしょう。

  その判断が正しいかは分かりませんが、今回に限っては正解だった様です。


「ユウさんはなぜ森に居たのですか?」

「わたしも依頼ですよ。薬草採取の指名依頼です」

「薬草採取の指名依頼?」

「ええ。こう言う薬草やキノコを採取していました」


  わたしが採取した薬草やキノコの一部を見せると3人は驚きの声を上げました。


「えぇ!この薬草、採取方法が特殊で扱いが難しいものじゃないですか!」

「ん?このキノコは毒キノコじゃないのか?」

「いや。たしか、あの毒キノコには良く似た薬効が高いキノコが有ったはずだ」

「わたしは薬師ですからね。それでこの依頼を持ち掛けられたんですよ」

「く、薬師……あの強さで……」

「まじかよ……」


  おぉ、このままでは幼気な若者たちの自信を打ち砕いてしまいます。

  急いで話を逸らさなくては!


「まぁ、それより街に戻りましょう。

  早くしないと完全に暗くなってしまいます」


  既に日は沈み辺りは薄暗くなっています。

  しかしここでひとつの問題が有りました。

 彼等3人の内前衛2人の武器が有りません。

  さらにわたしのショートソードもなんだか違和感を覚えるのです。

  このまま使い続けるのは危険でしょう。

  そうなると戦力はわたしとレナの魔法のみになってしまいます。

  ここは『ひのきのぼう』で行くしかないかと思っていた所、わたしはある事を思い出しました。

  わたしにはこの世界に来た時にクズ共から奪った武器が有ったのです。

  ばっちいので、さっさと売る積りだったのですが、すっかり忘れていました。

 何にせよラッキーです。

  わたしは剣と槍を取り出すとカイとマルクにわたします。


「街に帰るまで丸腰は不味いですよ。これを使って下さい」


  カイとマルクはお礼を言って受け取ります。

  そして、わたしは盗賊の頭が使っていた戦斧を取り出すと2、3回振り回してみます。


「なかなか悪くないですね」


  戦斧を背中に背負っているとカイたちが苦笑いしていました。

  一体どうしたのでしょうか?

 その後、わたしは数匹のゴブリンを戦斧で叩き切りながら《大樹の絆》の3人と共にギルドへと帰って来ました。3人はずっと苦笑いでした。解せぬ。


 ギルドに入ると丁度ラティさんと筋肉……ギルドマスターが何やら話しています。

  わたし達がラティさんの前までいくとこちらに気づきました。


「おぉ、嬢ちゃん。帰ったか」

「はい。今戻りました。これが今回の納品分です」


  わたしはカバンから薬草やキノコ、木ノ実などを取り出します。


「助かるぜ。これだけ有れば暫くは大丈夫だ」

「ところで森で彼らがゴブリンに襲われたのですが……」

「なに!お前らはたしか、Fランクの《大樹の絆》だな、怪我はないか?」

「はい。危ない所をユウさんに助けて頂いて……」

「そうか。嬢ちゃんありがとな。しかしこんな近くの森までゴブリンが出るとはなぁ」

「帰りにも何匹か出ましたし、かなりの数がいるのではないでしょうか?」

「こりゃぁしっかりと調査する必要があるな。

  ラティ、俺は調査隊を編成するから嬢ちゃんの依頼完了の手続きを頼む」

「は、はい」


 どうも大ごとになってきましたね。


「あの……なんでユウさんは戦斧を背負っているですか?」


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