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薬草採取とわたし

  ロック鳥のさえずり亭で朝食を頂いたあと、わたしはギルドに来ています。

  ギルドランクがEランクに上がったことで受けられる依頼が増えました。


「《鉄鉱石の納品》ですか…《シャドードックの討伐》も良いですね」

「嬢ちゃん、ちょっといいか?」


  わたしが依頼ボードを見ていたところにギルドマスターからお呼びがかかりました。


「何でしょうか?」


  カウンターに移動してギルドマスターのお話を聞きます。


「嬢ちゃん、確かギルド登録の書類に薬師だって書いてたな」

「はい。書きましたよ」

「《遥かな大地》の連中から大体の事情を聞いたんだが嬢ちゃんは大陸の外の国から来たんだってな。」

「はい。大和と言う国の出身です。ご存知ですか?」

「悪いが大和と言う国は知らねぇな」

「そうですか……それで、わたしが他国の出身だと何か問題が有りましたか?」

「いや。それは何も問題ない。ただ嬢ちゃんは腕の良い薬師だとも聞いてな」

「腕が良いかどうかは分かりませんが、わたしの国は薬術が発展していたのでそれなりに自信はあります」

「その腕を見込んで嬢ちゃんに指名依頼が有る」

「指名依頼ですか?」

「依頼主は俺……と言うかギルドだ。

 依頼内容は薬草採取を頼みたい」

「薬草採取ですか?それなら常時依頼として買取しているじゃないですか?」

「確かに買取っているが冒険者が依頼の序でに採取して来る薬草は見分けが簡単で効果の低いものが殆どだ。

  嬢ちゃんは昨日、扱いの難しい薬草や見分け難いキノコをギルドに持ち込んだだろ。

 ああ言った効果の高く、専門知識が必要な物を採取して貰いたい。

  それに嬢ちゃんはマジックバッグを持っているからな」

「なるほど、分かりました。

  お引き受けしても良いですがなんでそんなに薬が必要なんですか?」

「今年は例年よりゴブリン共が多いみたいでな、ギルドの備蓄の薬が少し心許ないんだ」


  今年のゴブリンは多いのですか。

  ダムドの森にも多くのゴブリンがいました。被害も多いのですね。


「報酬は銀貨3枚しか出せないが、薬草などの買取額に色を付ける。

  沢山採取すれば報酬も上がるってことだ」

「分かりました、お引き受けします」

「そうか、助かる」


  わたしはそのまま手続きをして薬草採取に向かいます。

  今回は街のすぐ近くの森に行きますので日帰りです。




  真上にあった太陽がだんだんと沈み始めた頃、わたしのアイテムボックスの中には、かなりの数の薬草やキノコ、木の実など、薬の材料が集まっていました。

  全て納品する必要は有りませんね。

 自分用に少し残しておきましょう。

 そろそろ切り上げて帰りましょうか。


 ガナの街に戻るべく、街道を目指して歩いていたわたしの視線の先に3人の人物がゴブリンに追われている姿が映りました。


「う~ん、見捨てるのは寝覚めが悪いですね」


  わたしは追われている3人の下に駆け出します。

  神様に頂いたこの身体は身体能力が高く、ぐんぐん加速して驚くほど速く走れます。


  わたしの視界に3人の人間がはっきりと見えてきました。

  身に付けている物から冒険者の様です。

  3人を追っているのは、5匹のゴブリンです。

 その内2匹はゴブリンアーチャーとゴブリンメイジですね。

  わたしは冒険者とゴブリンの間に割り込む様に飛び込みました。


「木の陰に隠れて下さい」


  冒険者達に叫ぶと、急に現れたわたしに驚き、一瞬動きが止まったゴブリンの首を斬りつけ、後ろに跳びながら魔法を放ちます。


「穿て 水の槍 アクアランス!」


  高速で飛翔した水の槍にゴブリンが貫かれます。

  瞬く間に2匹の仲間が殺されたゴブリンは、怒り狂いわたしに狙いを定めます。

  ゴブリンアーチャーの矢を斬りはらい、厄介なゴブリンメイジを始末しようと間合いを詰めます。

  するとゴブリンメイジをかばう様にゴブリンがわたしの前に立ちはだかりました。

  ゴブリンは手にした棍棒を振り上げます。

 棍棒……ただの木の棒ですね。『ひのきのぼう』と言うやつです。

  檜かどうか分かりませんが。


「無駄ですよ!」


『ひのきのぼう』ごとゴブリンを真っ二つにします。


「っ!?」


  今、ショートソードに違和感を感じました。

  普通のショートソードを武芸百般で得た技術と高い身体能力で性能以上の使い方をしてしまった反動かも知れません。

  目の前で慌てて呪文を詠唱しようとしているゴブリンメイジを袈裟斬りに斬りつけます。

  ゴブリンメイジが倒れるのと同時にわたしの頭を狙った矢を躱わし、ショートソードを投擲しました。

  ショートソードはゴブリンアーチャーの胸に突き刺ささり、ゴブリンアーチャーの命を奪います。

  静かになった周囲の安全を確かめてショートソードを回収するわたしの視界に、こちらに駆け寄ってくる3人の冒険者達が見えました。

  一応、事情を聞いておきましょうか。

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